第10話 戻ってきた結人
「愛の神様、イユさんとビスムさんを連れてきました」
「うむ、ご苦労だ。ラブ」
イユとビスム、そしてラブは自分たちの世界へと戻ってきたところだ。三人は今、アイジンと向き合っている。
「イユ」
「……うん」
ビスムに名前を呼ばれ、イユは返事をする。まず自分が何をすべきなのかを、再確認したのである。
「……愛の神様、先程は無礼なことをしてしまって……すみませんでした」
イユから謝罪の言葉を聞いて、アイジンは目を丸くしている。あれだけ上司である自分に無礼な態度で接していたイユに、何があったのか。アイジンは不思議に思った。
「これからは態度を改めます。どうか、お許しください」
イユは頭を下げている。ビスムは真剣に謝っている親友を、じっと見ていた。
……さすがだな。
そんなビスムを見て、アイジンはイユの変化を受け入れた。
「……けれど、あたしは」
そこでイユは頭を上げた。
「自分の考えを改めるつもりは、全くありません」
「えっ! ちょっ、イユさん……!」
「ラブくん、ストップ」
また争いが起こるのでは……と恐れてイユを止めようとしたラブを、ビスムは注意した。心中は落ち着かないけれど、ラブはビスムの目を見て大人しくすることにした。大事な何かを壊すかもしれない、とラブは察したのである。そしてイユは、しっかりとアイジンの目を見ながら話を続けた。アイジンも何も言わずにイユの目を、じっと見ている。
「好きになった相手が誰であろうと、あたしは愛することは素晴らしいと思います。あたしは愛する喜びや、愛することで築き上げられる幸福を崩したくありません。それが男性と女性による、愛でなくても。同性同士だろうが、人間と犬だろうが、猫と宇宙人だろうが……これからも、あたしは幸せなカップル成立のために活動します!」
「……そうか……」
イユの話を聞き、アイジンは静かに返答する。そしてアイジンは、本の少し間を作った後、再び口を開いた。
「イユ……私は君に、この世界を任せようと思う」
「えっ?」
アイジンからの予想外の言葉を聞き、イユたちは驚いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。