第4話 困る結人

「……んん~っ!」


 アイジンからの攻撃を受けて気を失っていたイユだったが、とても早く目覚めた。アイジンが人間界にイユを飛ばした直後、彼女を起こしたのだ。長い間イユが気絶していると、たくさんの人間に迷惑をかけてしまう可能性がある。アイジンは、そう思ったのだ。


「……イタッ」


 しかしイユの体には、まだ痛みが少々残っているようだ。

 ここは……?

 痛む体を起こしながら、イユは辺りを見回す。そして、すぐにイユは理解した。自分が知らない間に、自分が知らないどこかへ移動していることに。

 ……えー、もう何なの……?

 ズキズキする体、いつの間にか全然分からない場所にいる自分。

 ちょっと……あたし、これからどうなるの?

 一気に不安が押し寄せてきて、とうとうイユの目からポロポロと涙が流れた。あれだけアイジンの前で強気に振る舞っていたというのに、今ではすっかり泣き顔が仕上がっている。

 ……こんな惨めな姿、あいつにだけは絶対に見られたくないよ……!

 あいつとは、もちろんアイジンのことである。どうやらイユの負けん気は、そう遠くへは行っていないようだ。

 どうすれば良いの、あたし……。

 それでも、イユの涙は止まらない。


「イユ」

「へ……?」


 名前を呼ばれた。

 聞き慣れた声だ。

 イユが振り向いた先にいたのは、


「ビスム……!」


 大好きな親友だった。


「イユ、大丈夫?」

「……うんっ!」


 イユは泣きながらビスムに抱きついた。


「もう、どうなっちゃうのかと思ったよ~! 体は少し痛むし、気がついたら知らないところにいるし~!」

「あのね、イユ……」

「うん、何?」


 ビスムは、これまでに起こったことをイユに説明した。

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