第146話 A.D.4021.あなたを愛してる
自宅のバルコニーから空を見ていたシルバ。
オレンジ色に染まる空。美しい夕暮れ。誰もいない自分だけの時間。
シルバは二千年前に七海がオレンジ色に染まりながら、未来を示唆した時を忘れられないでいた。
後ろから近づく気配に、昔話を始めたシルバ。
「私と七海とは千八百年間も氷漬けになっていた。二人とも蘇生を受けたが、七海は遺伝子の劣化がひどくて、三カ月しか生きられなかった」
感傷を胸に振り返るシルバがナインを見て驚いた。
「ナイン、その瞳は……」
右目が青で左目が深紅のオッドアイ。
その瞳に宿る星でナインが、まっすぐにシルバを見据えた。
「私は好きなように生きるよ。神などなりたくもない。ただ、あなたと一緒にいたいだけなの。外見なんか関係ないよ。心は二人とも変わっていないからね、この時代でも哲士と歩んでいくの」
左目を受けとり神を止め、七海となったナインの言葉に涙を見せたシルバと名乗っていた哲士。
セブンスから受け継いだ七海の心は、ナインの左目に宿り二千年前と変わらない愛を哲士に向けていた。
「あなたを愛してる……もう二度と決して離れないから」
了
セブンスドール こうえつ @pancoo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます