第96話 A.D.4021.フィフスとの激闘
黒と赤の戦闘マシン、フィフスドールとセブンスドールが対峙する。
フィフスドールが先に動く、四隅に置かれた大型ガトリングガンで重厚な実弾を多数打ち出すと、グラビティフォースを展開して、真正面から全弾受け止めるセブンスは強い重力を張り、全ての弾丸の速度をゼロにして着弾前に空中で止めてしまう。
フィフスドールは回転を始め、四本の大型カッターを四方に差し出す。
高速回転でセブンスへ向かった黒きマシン、その動きを察知して、一瞬、シールドを解除、自機の周りに止まった実弾を解放、フィールドをリセット、フィフスドールの回転カッターを重力で受け止める。
アタックを止められた後、あらかじめ薄めに突入してすばやくバックするフィフスドール。セブンスの重力フィールドを回避したフィフスがセブンスを見た。
「ほう、少しは地上戦にも慣れてきたようだな。馬鹿みたいにシールドを張り続けるのは止めたようだな」
「そう? 驚くのはこれからよ姉さん!」
空中に留まるフィフスドールにセブンスが、重力シールドで体当たりかける。
「ク、おまえの重力には取り込まれないよ!」
フィフスの黒きマシンは急速上昇、同時にアンダーカウルが空いて、大型ミサイルを大量に打ち込んだ。
セブンスドールの周辺で大量の爆発後、大量の反射式チャフが舞う。
「さて、これで重力フィールドは使えない……なに!?」
驚くフィフス。セブンス重力シールドは展開していなかった、重力の剣でミサイルを切り落としているセブンス、爆発してチャフは拡散するが超重力で空間ごと異世界へ送り込まれる。
「なるほど。徐々に戦いのセンスが発現しつつある。こうじゃないとな」
セブンスは全てのチャフミサイルたたき落とし、重力の剣をファイブドールへ振り込むと、命中した瞬間にフィフスの黒き機体は、横向きから縦へと姿勢を変化させ、セブンスの剣が表面をすべる。
「ダメージが与えられない!」
今度はセブンスが声をもらす。
瞬時に距離をとったフィフスは回転を早め、セブンスは剣での迎撃を行うが、命中した直後姿勢を変えられて、やはりダメージを与えらえない。
「なぜなの? 私の剣は当たってるはず。確実に当たっているのに、しかもチャフを吸い込んで攻撃力を阻害しないようにシールドは障害物を解放しているのに」
疑問が解けないセブンスにフィフスが口を開く。
「私の周りにも重力シールドが張られている。まあ、ブラックホールエンジンみたいな物騒なものは積んでないから、ささやかな能力だな。五十センチほどの膜をはっているだけだ。だがそのささやかな層が、おまえの強力な重力の剣に少し反発するのだ。それがゼロコンマ秒の遅れを生む。だから簡単さ、当たったら向きを変えればおまえのパワーは流される。剣は本体には届かない。だが……やるようになった。セブンス、クク」
フィフスは四方に出るカッターを最大まで張り出し、空中へ舞い上がり、一気に下降、高回転で紅のマシンへと一直線に向かう。
シールドを全開にしたセブンスドールに、重力に引かれる事を恐れずに突撃をかけたフィフス。
巨大なカッターが回転しながら、セブンスドールの機体触れ装甲が刻まれる。
だが、セブンスドールのシールドが産みだす、重力に捕らわれ回転を止めた。
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