第92話 A.D.4021.セブンスの罠
迫るアカエイに攻撃するすべを持たないセブンス。このまま守り通すのも無理。
クロム達がこの場所を離れて間もない。敵の防衛網を突破するにはまだ時間がかかる……アカエイはまだひきつけておきたいし、できればここでこの強敵は倒しておきたい。
セブンスの思考が人間を遥かに超える速度でめぐらさられる。
「ファルコン……重力シールドを解除!」
「え。それは」
紅の機体を操る戦闘OSファルコンが言葉を詰まらす。
「そんな事をすれば、装甲をもたいないセブンスドールは破壊されてしまいます」
美しい髪をなびかせて否定するセブンス。
「かまわない。シールド解除の後に上昇して、ホバリング状態にする」
あまりに無謀なセブンスの指示。
重力シールドを解除してわざわざ敵が狙いやすい高度で停止するという。
「……わかりました。シールド解除。セブンスドール上昇」
さらさらとセブンスドールの周りから砂と金属片が雪のように地上に振る。
シールドを解除してそのまま千メートルほど、上昇した紅の機体は静止した。
「さあ、これで狙いやすくなったでしょ? 来なさいアカエイ!」
操縦桿に力を込めるセブンス。
セブンスドールを追い詰めたアカエイの操縦者は躊躇していた。
「ねぇ、あれってどういう事? 撃ってくださいって、感じなんだけど?」
後席の攻撃担当も思慮している。
「確かに。諦めた? いや、そんな事は……やってみるしかないか。よし、罠なのは分かっている。非常脱出ヴァレットを作動させておく。いくぞ」
前席のパイロットが頷き、アカエイの機体を砂の海から浮上させ、その赤茶けた姿を見せた。
「さあ、セブンス見せてみろ! 私たちを倒す罠を!」
アカエイの尻尾が上がり集積されたレーザーが打ち出された。
「やっぱり、直接、私を狙ってきたね。右腕はあげるわ……でもね近づきすぎた、私を狙うために」
操縦席を庇うセブンスドール、右腕はアカエイが放ったレーザーで破壊された。
その時、十六メートルの紅の巨人の周りに強い重力が発生する。
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