第87話 A.D.4021.最初の犠牲
アカエイ、正式名はステングレイ。
クロムの兄セカンドが攻撃を受けて、三個中隊三十六機を失った……脅威の兵器だった。
その形は海にすむエイに似て、薄くへらべったく後方に尻尾が伸びる。
エイのように砂漠を超低空、2~3メートルの高さを音速で滑走。
尻尾には集積型高ブラスタがついており、その威力はヘルダイバの装甲でも耐える事は出来ない。
凹凸のない砂漠の星専用の戦闘機は二人乗りで機動性が高く、攻撃力も有るが一番の問題は見えない事であった。赤茶けた砂漠と同化する鈍い朱色のボディは、地上すれすれを飛ぶため、レーダーもきかず、発見、攻撃するのは非常に困難だった。
既に砂にまぎれたアカエイはクロムたちの探索を外れていた。
「どうする? このままでは前回の兄貴のように大きな被害を受けるぞ」
クロムが作戦を考え始めた時、アルファ3から通信があった。
「地上から察知できないなら、空中からいけばいいだろう!?」
「まてアルファ3。だめだ飛ぶな!」
クロムの静止の言葉は間に合わず、背中のブラスタをオンにし空中に飛び上がったアルファ3。
「エイなら上から泳いでいるところを一刺しだぜ」
アルファ3のパイロットが空中からアカエイを視認する。
「よし見つけた! 逃げられないぞアカエイ。くらえ」
右手に持った高出力のブラスタガンで照準を絞る。その時アカエイは砂に潜った。
「何!? ちくしょうどこへ行った」
慌ててアカエイを探す、その時、地上から数多くのミサイルが発射された。
「狙いが甘いぜ」
パイロットが呟くどおり、なんなくミサイルをかわすアルファ3。的を外したミサイルは空中高くまで飛び爆発し、キラキラと細かい金属片が大量に降りそそぐ。
「これは視界とレーダーを遮断する、反射光チャフ」
非常に軽く光を強く反射する大量の金属片は、空中を舞い飛行中のアルファ3の視線を完全に奪った。
「アルファ3、早く地上におりて迎撃態勢をとれ!」
クロムの指示に躊躇したアルファ3は、まだ自分は優位だと思っていた。
「高所から低所への攻撃は有効だ。アカエイさえ見つければ」
突然、アルファ3の視界外からアカエイが浮上した。
「後方にステングレイ。緊急回避バレッドを実行します」
パイロットの確認を待たずに、ラバーズがヘルダイバの巨体を傾けた、そこに高レベルで集積されたビームがアルファ3を貫く。
アカエイの尻尾についている集積型高ブラスタの攻撃で、火を噴き落下するアルファ3。残りのパイロットはステングレイの性能と戦い方に恐怖を感じた。
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