第70話 A.D.4020.鈴々と仲間
仲間たちのかけあい光景を嬉しそうに。ベッドの上で鈴々が見ていた。
「こんくらい騒がしい方がいいわね……ずっと独りで安静が続いていたから、人の声が恋しい。それもあなた達の声なら特別ね」
鈴々は医者が驚く速度で回復を続けていた。
身体の殆どを傷つけた二ヶ月前のエイトドールとの戦闘。
レニウムは当時は鈴々がここまでコンデションを戻すとは考えられなかった。
誰もが驚く回復は、どうやら鈴々自信の身体に起因するものらしい。医者が調べていたが人間であるのに、ドールレベルの回復力の原因は分からなかった。
口を尖らせ、クロムの方を見ているセブンスと、言い訳するクロム、はしゃぐテルル、メンバーを宥めるレニウム。そして回復して笑みを浮かべる鈴々。
規律には厳しい、隊長であるレニウムの顔も綻んでいた。
「鈴々がここまで回復してくれたのは嬉しい……鈴々の細胞の優劣性は凄いな」
常人なら寝たきりでもおかしくない重傷の身体を素早く、確実に回復させていた。
「フフ、わたしの遺伝子が優勢なんてね……自分は劣等感ばっかり持っているのに」
鈴々の言葉にレニウムは首を振った。
「今まで気づかなかったよ。テルルは全ての兵器の操縦レベルを高める為に、動体視力、反応の遺伝子の改造を行っている。俺も自信の肉体の機能を向上するために戦闘に役立つ優勢遺伝子を組み込んでいる。クロムは天然らしいが……全員、常人を越える力を持つ。それに何事も無く同行して、前回の戦いでは死線を何度も越えて見せた……鈴々、おまえはとても優秀な……」
レニウムの賞賛を右手を遮った鈴々。
「そんな事はどうでもいいよ……それよりわたしの大事な家族とこうして一緒に居られる。その方がずっと、ずっと、大切で幸せなの」
プツン、ディスプレイが暗くなった。
「あれ急になんにも見えないよ?」
反乱軍の基地の鈴々の病室で、ディスプレイを見てテルルが呟いた。
テルルは、戦艦やヘルダイバなど高速飛行する兵器の操縦に最適化された遺伝子と肉体を持つ。140Cmの小柄の身体、30Kgの軽量。
神経経路を意識的の加速させることで、小さな軽い身体は電光石火のように素早く動き、高速でマシンを駆り、細くて長い指は、繊細な機体のコントロールを可能にしている。
オレンジ色の髪を後ろで二つに縛り、優性遺伝子により実年齢よりはるかに若く、中学生以下に見える姿。まして高めのソプラノ、子供の様な言葉で話す為にますます幼く見える。
「ねぇねぇ、真っ暗なんですけど? もしかして、放送事故?」
「ちょっと、黙れテルル!」
レニウムがまだまだ話しそうな小学生のテルルを止める。
「……だって、こんな放送事故見ててもつまないよ~~」
うんうん、とテルルの意見に頷いたクロム。
「俺も飽きてきたぞ! 魚釣りも五分釣れないとイライラする」
「あ、あたしもそう~~!」
テルルは息があったクロムを嬉しそうに見た。
「そうか……おまえら二人とは釣りに行かないとしよう」
「あーー気が長いレニウムはもしかしてO型でしょ~!?」
テルルの言葉に首を振ったレニウム。
「俺は気が短いB型だ! そんな古代史に載っている迷信はいい。だが、これから起る事はちゃんと見てろ……銀河が変わる瞬間だ」
部屋の全員がハッとレニウムを見た。
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