帝国侵攻作戦

第69話 A.D.4020.戦士たちの休養

  銀河帝国の政権が大きく動き新しい王女が誕生した少し前。

 帝国に反旗をひるがえした連邦の精鋭部隊は休養と補給を行っていた。

 

エール王の宮殿から数光年離れた、反乱軍自由連邦国家アウローラ中継基地で、ブリーフィングを行っているクロムのチーム。


 セブンスの奪回には成功したが、被害は甚大でパイロットはクロムの大けが、鈴々は戦線復帰が難しい程であった。


 装備も二機のヘルダイバが大破しており、鈴々の機体は廃棄が決まったし、クロムの機体も修理に時間がかなりかかる状態であった。


 会議での打ち合わせにはセブンスも出ていたが、連邦の将軍は少ない戦力を埋める為に、超兵器セブンスドールの全面運用を期待していたが、クロムのチーム内ではセブンスを人間と同様に扱うべきと、兵器扱いする上層部と衝突していた。


 長いブリーフィングの後にチームは、鈴々の元を訪れることにした。

 鈴々はここに運ばれたときは生死も危ぶまれたが、医者が驚くほどの回復を見せて、今は安定した状況で病室で静養中だった。


「よお鈴々。体調はどうだ?」

 一番に部屋に入り鈴々に挨拶するクロム。

「あ、クロム。それにみんな来てくれたのね」

 衰弱しているが笑みを返す鈴々。


「だいぶ良くなっているようだな」

 隊長のレニウムも鈴々の笑顔に安心した。

「よかったね鈴々。早く治って一緒に行こうね」 

 戦艦のパイロットのテルル。

「あの……早く良くなってください」

 おずおずとセブンスが小さい声で言った。


「ところで銀河連邦の定例の放送が面白い事になっているようだ」

 レニウムが鈴々に「大丈夫か?」確認してから、病室のディスプレイを起動した。


 画面には国営放送の範疇を越えたフィフスの姿が写った。

 クロムが呟く。

「フィフスってあんなキャラだっけ? 怒られないのか王様とかに」


 クロムは自分の事は棚に上げて、フィフスの自由奔放な行動に唖然とする

「さあ……わたしは、そんなにフィフス姉さんと一緒にいなかったから」

 フィフスのキャラを疑う男を切れ長のつり目で見たセブンス。


「な、なんだよ、なんで俺を睨むんだ?」

 腰まである長い銀色の髪に、左目に星の光り宿すドール、セブンスがクロムをじっと見つめた。

「フィフス姉さんの事なら、クロムの方が詳しいでしょう?」

「はあ?……あ、おまえ、エイトが俺とフィフスが寝たって、言った事を根に持って……あれはだな勢いっていうか」


 壁のディスプレイで暴走中のフィフスから、クロムは視線をセブンスに移しかえ、言い訳を唱える。

「こら! おまえら! ここは病室。痴話喧嘩なら外でやれ!」

 クロムが所属する特別小隊を率いる、レニウムがあきれ顔。


「そうよ! いくら鈴々の容態がいいといってもね、病人の部屋で騒ぐな!」

「おまえも十分にうるさい! テルル!」

 レニウムに指摘されたテルルが「あっ」と口を塞ぐ。

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