第67話 A.D.4020.国王の崩御

 戦闘態勢で構える白きヘルダイバ。

 対峙するフィフスドールは回転を止め空中で停止した。

 シュティレは火器管制システムをスタンバって、フィフスの出方を待った。

「なぜ動かない。もうチームの半分は脱出した。あと数分で撤退は終わるぞ」

 フィフスの静寂が理解できないシュティレ。


 待機していたラバーズが驚きを見せた。

「大佐。今、放送されたニュースがあります。緊急で帝国と反乱軍の領地全てに流されています」

「なに? この状況で何を放送するというんだ」


 ラバーズがVTRを操作して、放送の初めからシュティレに内容を見せた。

「ばかな。こんな事があるわけない……まさに計画通りというわけかシルバ!? だがどうする気だ! 銀河に嵐が吹き荒れる。たくさんの人が死ぬんだぞ!」


 緊急放送は宇宙空間の映像から始まっていた。

 そこに映っているのは国王専用機。

 先ほどシュティレが逃がしたエール国王が乗っている艦艇。


「この映像はライブです、大変な事が起こりました。首都星に迫った反乱軍を避けるために脱出した国王ですが……」


 アナウンスの途中で画面に閃光が走り、国王の宇宙船に命中した。

 その一閃を契機に数百もの光の束が船に命中する、シールドでしばらく耐えた王の艦艇は、徐々に砕かれていき最後には爆発を起こしてチリに消えた。


「……国王が崩御されました。反乱軍の攻撃によって……帝国軍の緊急集結が指示されました。全面戦争へと進む模様です」

 

「あーあ、フィフスのせいで大げさな事になったねえ。楽しいでしょ? うふふ。またいっぱい戦えるよ強いやつを殺せる」

 エイトドールの操縦者リンが、バカげた宇宙戦争の始まりに笑う。

 もう一人の操縦者アイアンサンドは無表情で現状の感想を述べた。


「これも全部後ろの爺さんの計画だろう? つまらん。どうしようもない愚かな行為だ。人類が衰退している今、二つに分けて全面戦争だと? 歴史的にみても帝国が滅ぶのは内部から、それを証明するようなものだ」


 アイアンサンドが人間の愚かさの解説に移りかけた時に、ディスプレイの画面が変わった。

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