第47話 A.D.4020.銀河の嵐
エイトドールの艦橋が光り輝き、一人の男がテレポートしてきた。
テレポートしたのはドールマスター。
セブンス達を造ったシルバだった。
「そう、くさるなフィフスよ。先におまえはクロムの兄を喰ったのだろう?」
シルバの言葉に「ああ、あれね」と思い出した褐色のドール。
「でも、一回で飽きちゃったクロム・セカンド。やぱサードがいいな」
「まったく、おまえは……ところでだ」
シルバはエイトへ向かい、その小さなあごを掴み、嫌がるエイトの顔を力尽くで自分に向けた。
「エイト随分と筋書きと違う。なぜおまえはここまでやった? セブンスの力を引き出す必要など無かったのだ。適当に戦いセブンスやアウローラの兵士に、疑問を持たせず、この星から出すだけで良かったのにな。もう少しで遠大な計画が台無しだ。二千年の計画だぞ」
シルバの腕から逃れようとするエイト。
「私は姉様と戦いたくない」
エイトは抵抗を辞め、暗い表情で目を伏せた。
「セブンス姉さんはあのままでは戦えません。生まれた子供のような状態では、すぐに殺されてしまいます」
「その程度で殺されるならセブンスは、この銀河と人類を滅ぼす者としては、物足りないな」
「違います! 姉様は滅ぼす者になんてなりません!」
シルバが手を手を放すと、クリスタルの制御板に手をつきを振るエイト。
愉快そうに笑うシルバが、巨大なスクリーンに映る宇宙に向かって両手を挙げた。
「この時代、全てに行き詰まった人類には二つの選択肢が残された。一つは、この世界を破壊し踏み台にして、新たな次元へ進む道。一つは、この世界を守り粛々と滅びを待つ道」
シルバはスクリーンに映るフィフスと。崩れ落ちたエイトを見て話を続ける。
「どちらを選ぶかは、おまえたちナンバーズドールに嫁せられた。私はシグナル受けた。神を造れとな。そして授かったのだ、蠱毒プログラム。器の中に虫を選び入れて共食いをさせる。最後に生き残った最も強い一匹を用いて望みを成就する」
「嫌です! そんな運命は嫌です!」
耳を塞いで首を振り続けるエイト。
その右目に微かに光が宿るのをシルバも、エイト自身も気づいていなかった。
エイトの微かな光を灯す右の瞳には、徐々に遠ざかるセブンスドールが映る。
紅き光を放ちながら、速度を上げるセブンスドールの姿。
漆黒の宇宙で銀河の光を帯びる星々。
その輝きが一瞬だけ強くなり、巨大な銀河の嵐を予感させた。
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