第39話 A.D.4020.鈴々の戦い
クロムを探す、鈴々のヘルダイバは苦戦していた。
高出力のブラスタ砲を装備する最新型の機体であったが、シールドを張る攻撃衛星には、大きなダメージを与えられない。唯一の対抗兵器であるミサイルランチャーのポットは既に空になっていた。
三機の衛星が連携しながら、鈴々を追い詰めていく。
鈴々はブラスタ砲を構えて近づく攻撃衛星を牽制する。
引き金を絞り強烈な光弾を打ち込む鈴々、光弾が衛星を直撃するが、衛星のオレンジ色に輝くエネルギーシールドで弾かれてしまう。
「この! 邪魔しないで!」
苛立だつ鈴々。騎乗するヘルダイバの生体スキャナーに反応があった。
「クロム!?」
一瞬スキャナーの結果に気を取られた鈴々の機体に、攻撃衛星が放ったミサイルが連続で直撃。
衝撃で手にしていたブラスタ砲が手から弾かれ、次々と接近する攻撃衛星が、鈴々を囲みながら光り始める。
「死ねない。こんな所で……クロムに会うまでは!」
背中のブラスタソードを引き抜き、盾を構える鈴々に三つの光の筋が撃ち出された。高エネルギーの光の筋が鈴々に迫る。
背中の機動ブラスタをオンにして後ろに下がる鈴々に、衛星の放った光の矢が、数を増やして近づく。
光の矢を縫うように回避していく鈴々の目の前に、衛星の位置情報を示すスクリーンが次々にポップアップする。
左手の制御パットに力を込める鈴々。背中の機動ブラスタが噴射し全力で前方へ飛ぶ。衛星から、鈴々の迎撃用に迎撃のミサイルが放たれた。
右手に持ったブラスタソードで、ミサイルの軌道を素早く切り捨てる。
鈴々の後方で爆発する衛星のミサイル。
左手に力を込めて、鈴々は全力で機体を加速する。
「いっけー!」
鈴々の機体が最大速度で、衛星の横を駆け抜ける。
横一文字に大きく振られたソードが、衛星の横腹を切り裂いていく。
数秒の時間を置いて、爆発する衛星。
近くでその衝撃を受けて、コントロールを失う鈴々の機体に、残りの衛星が照準を合わせる。
クルクルと廻る機体を左右の制御パットで、必死にコントロールして機体を水平に保った鈴々を、強烈な閃光が直撃した。
後方へ衝撃で押し込まれ、消炎が立つ青い機体の胸の装甲が蒸発して消えていた。
左手の盾を前に出し次の攻撃に備える鈴々に、衛星から追尾ミサイルが、次々に放たれた。
着弾の強烈な衝撃に、装甲を失った鈴々の機体は大きなダメージを受ける。
クロムへ渡すレールガンが宇宙に流れる。
「あ、あ、だ、め!」
思わず叫び、クロムの武器を取りに手を伸ばした鈴々。
盾から出た、右半身を衛星のブラスタ砲が正確に打ち抜いた。
閃光が宙を舞い肩口から大きく破壊された鈴々の蒼いヘルダイバ。
それでも鈴々は、クロムの装備を確保しようと自分の盾を離し、左手でレールガンを掴んだ。
「よかった……これだけはなくせない」
大事そうにクロムの装備を抱えた鈴々に、無防備な機体に再び衛星からミサイルが撃ち込まれた。
移動用の六本のノズルのうち、かろうじて破壊を免れた二本の機動ブラスタを点火。ミサイルを必死に避け続ける鈴々。
「死ねない。まだ、だめ……クロムに会うまでは……絶対に死ねない!」
瀕死の機体、鈴々に向かって数十の攻撃衛星が光を放つ。
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