第30話 A.D.4020.岬の終わり

岬への山道を200KMを越える速度で、登り続けるセブンスとクロム。


 そして、ついに岬が見えた、やはりその先には道が無い、セブンスがクロムを見たが速度を落とす気配もない。


「クロム、まさかと思うけど……私と心中でもする気なの?」

 セブンスの問いに肯くクロム。

「そうだな好きな女と、一緒に逝けるなら本望だな」


「私は死ぬ気は無いよ。クロムの気持ちは少し嬉しいけど」

 頬をピンクに染めたセブンスに、岬の終わりが見えて来た。


「セブンス、何照れてんだよ! さあいくぜ! 速度はこのまま角度をオレに合わせろ!」


 何もない空間へ、クロムに指定されたスピードを維持して、二人は崖から飛び出した。


 思わず目を閉じたセブンスに、クロムが叫ぶ。

「着地のショックに気をつけろ!」

「え、なに?」


 疑問を抱えながらクロムの声に、反射的にモータサイクルの前輪を持ち上げたセブンス。

 その直後、後輪が弾み、大きな衝撃がマシンにが伝わる。

 慌ててセブンスが体勢を立て直す。何もない空間……そこに着地した二人のモータサイクル。


 二人は、そのまま何もない固い感触を受けながら、空間を滑っていく。


「何これ……なにもないのに……まるで地面があるみたい」


 マシンを止まった時にクロムとは別の声が、サングラスのスピーカから聞こえてきた。


「ようセブンスよく来たな。オレはレニウム。ようこそ”新造戦艦サンタナ”へ」


 周りをセブンスが見渡すと、徐々に何もない空間にサンタナが姿を現した。

 セブンスが着地したそこは、宇宙戦艦の甲板だった。

 鋼鉄で出来た甲板の上には、二人のマシンのタイヤの跡が伸びていた。


 ガ、ガガガン、振動と共にセブンスが居る甲板が下降を始めた。


 底まで降りた甲板からモータサイクルを動かして、サイドのラックに固定するクロム、それを真似て自分のモーターサイクルを動かし始めたセブンス。


 ラックへの固定が終わったクロムに、走りこんで突然飛びついた影。


「あーーん、やっと帰ってきた! お帰りクロム!」


「おう、鈴々(スズ)ただいま」

 呆気にとられて、ただ二人を見ているセブンス。

「その女が”お姫様”?……ふ~ん、たいしたことなさそう」


 鈴々がセブンスの上から下までジロジロ見た。

 クロムの腕を掴まる姿に、ムッとするセブンス。


(何これ……味わった事のない初めての感情を感じる)


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