第28話 A.D.4020.現れた破壊兵器
マシンウォリアーからの警告は無視して、素早くクロムがケースの中から、必要なもの探す、途中でセブンスの戦い方に興味を示す。
「さっきの投げ技はなんだ? 軍の格闘術とは違うな」
セブンスの瞳の中に輝く光が答えをセブンスに教える。。
「うん? たぶん”柔術”」
「聞いたことがないな」
「二千年以上前に”日本”って国にいた戦士”侍”が使った格闘術。私の目に宿る光が教えてくれるの」
「侍か……映画で見たことがあるな。それならこれがいいか」
完全に無視されたマシンウォリアが、ブラスタガンの安全装置を外す。
「みなさん! 私を甘く見ているようですね、アハハ……即座に射殺に決定です!」
二台のウォリアーがそれぞれが狙いををつける。
セブンスとクロムにレーザー照準の赤い点が写った。
「クロムその武器を頂戴。実弾系じゃないと、あいつらはシールド張るから」
ポイ、とクロムが鞄から剣を取り出してセブンスへ投げる。
チャリ、手にした剣は微妙なラインを伴って反り返る。
「何? この剣。不思議な形しているね」
クロムがニヤリと笑った。
「おまえが使う柔は侍の技、その剣は”侍”のメインウェポン”太刀”」
反った鍔がある武器である太刀を、珍しそうに見るセブンスにクロムが続けた。
「その太刀は”フォティーノ粒子”を鍛錬して”ハガネ”の状態にした。最高のスパイクソード(実剣)だ」
「もうお喋りは結構です! 死んで頂きます!」
ガ、ガガ、ガガガ、ガッガン、マシンウォリアの射撃が始まる。
左右に分かれ、大きく飛ぶセブンスとクロム。
クロムは腰のホルダーから抜いた、巨大な実弾を使用するガン”ビックイーグル”を構えた時、視線の先を一条の光りが走る。
光の一条、セブンスが太刀を一気に抜き、居合いの速度を加え手前のマシンウォリアの首を横に一閃。そのまま横を走り抜けると、頭を落とされたウォリアーは制御を無くし手足をバタつかせる。
もう一台へ一瞬で間合いを詰め、肩口から一気に縦に太刀を振きるセブンス。
ザッシュィィィーン、硬い金属音と共に、柔らかい物を切るように、メタルボディはきれいに切り裂かれた。
穏やかな冷静な口調で驚く、切られたマシンウォリア。
「我々の装甲を簡単に切り裂くなんて……ありえません……くっ」
苦し紛れに腕についたブラスタガンの照準をセブンスに向けた。
衝撃で跳ね上がりながら、クロムのハンドガンが装甲弾を撃ち出す。
装甲を破られ破裂するマシンウォリア。
手足をバタつかし、黄色の循環液を撒き散らす。
「ありがとうクロム」
セブンスが振り返ってクロムに礼を言うが、クロムは問題ないと手を上げた。
「助すける必要はなかったかもな。まったくドールズは戦いでも完璧だな。うん? 待てこの音と振動は」
クロムの言葉に耳を澄ますセブンス。
「これって高周波のモーター音。まさかヘルダイバを投入してきたの!?」
店全体が振動を伴って揺れ始めた。
街の上空に巨大な人型が写り、雲を抜け一気に接近してきた。
十六Mの巨体。三基の核融合炉を持ち、二億馬力を発生する破壊のマシン”ヘルダイバ”人型の近接用兵器で主装備はブラスタとミサイル。
資源を守る為に艦隊による殲滅戦は行われなくなり、太古に行われた決闘、戦士による一騎打ちで戦争の勝敗が決まる、西暦四千年の戦争。
”ヘルダイバ”衛星軌道から地上に一気に落下し、戦闘を行う為にこの名前がついた、機体に搭載された核融合炉の出力は、パワー変換プラグ”ブラスタ”を通して、直接エネルギーに変換され、戦闘・移動・防御に利用される。
マシンウォリアーが使用する、防御用のエネルギーシールドは、接近戦で利用すると、自分の攻撃の障害になるために、現在はヘルダイバには搭載されない。
しかしヘルダイバの装甲は、ジィーノ:Z粒子(弱い相互作用のボソン)の超対象粒子で造られ、戦艦のブラスタ砲の攻撃でも、一撃で破壊出来ない強度を持つ。
三基の核融合炉の巨大なパワーを得て、背中のラッパ型の六基の機動ブラスタから、イオンを高速で吹きだし大気圏を4060KMで飛行が可能。
無論、宇宙でも戦闘が可能である。
中世の戦士たちの鎧のように、この時代の戦士がまとう、究極の兵器だった。
「ちっ、敵さんはヘルダイバを持ち出したのか。ちょっとピンチだな」
珍しく緊張感を見せたクロムに。セブンスも強大な敵に身構えた。
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