第15話 A.D.4020.見知らぬリクエスト
地上に降り両足のローラーブレイドで、地上を滑り出すマシンウォリア。
三百キロで飛ばすセブンスの目にトンネルの終わりが輝く光が見えてきた。
トンネルの出口の手前でセブンスはブレーキをロックさせて、ハヤブサを半回転させ、道路の真ん中で止まった。
埃とタイヤの焼ける臭い、視界が狭まったトンネルの出口付近。
セブンスは素早く背中からブラスタガンを二丁取り出して、急速に接近してくるマシンウォリアに狙いをつける。
二つのブラスタガンが、高速で光弾を打ち出した。
吸い込まれるように、光弾は光を引いてマシンウォリアへ命中し、姿勢を崩したマシンウォリア一号がトンネルの支柱に激突する。
「移動機器に障害が発生した。修理する。先に行け二号」
相変わらず爽やかな青年の声で一号が二号へ伝える。
一号を抜き去り近づく二号へブラスタガンを打ちこむセブンス、二号の前にオレンジ色の円が現れた。セブンスが思わず呟く。
「エネルギーシールド!?」
(エネルギーシールド)自分の前に高出力の磁力の壁をつくり、敵の攻撃を防ぐ。 シールドは高エネルギーを蓄える。その為に近くに生身の人間がいる場合は、人間を焼いてしまうので使用できない。さっきシルバを守るためにマシンウォリアが、シールドを使わなかったのはその為だ。
セブンスの撃ち出したブラスタガンの光弾は、マシンウォリアの高出力の電子の壁に遮られて左右に弾かれる。
小さな舌打ちをして、二丁のブラスタガンを背中にしまい再びアクセルに手を掛けるセブンス。
マシンウォリアから誘導弾がセブンスめがけて打ち出された。
ミサイルの接近を見てアクセルを一気に開けた。
半回転して方向を変え全開で再び加速を始めたハヤブサ。
ハヤブサを左右に振るたびにセブンスの長い銀髪とフレアスカートがひるがえる、ジグザグに進むその横に、次々と着弾する誘導弾。
最後の一発がセブンスの長い髪に吸い込まれる直前に視界が一気に広がった。
暗きトンネルを抜けた先の強烈なダウンヒル。
「うっ!」小さく声にならない叫び。
急速に落ちていくハヤブサ。
セブンスの瞳に写る、緑の森、青い海。
今進んでいるのはダウンヒルの銀色の道、それはセブンスが求める自由への道。
ダウンヒルでさらに加速して、時速400KMのトップスピードに乗る。
最後の弾頭はハヤブサの上をかすめて立木に着弾する。
セブンスは身体を縮めてハヤブサのカウルに身を置き空気の抵抗を減らした。
急なダウンヒルをスピードメーターが振り切るまでなお加速させる。
セブンスを追いトンネルを抜けたマシンウォリア二号。
背中の機動ブラスタを点火して、再び空中へ飛び上がる。
時速は1000KM以上で先行するセブンスの姿を簡単に捉える。
腕に装備されたブラスタガンが瞬く。
オレンジの光の筋が着弾し道路が弾け飛び土煙が上がる。
その後方から地上を400KMで追ってくる一号。
再び追い詰められたセブンスのサングラスのフレームが振動した。
「……その先を……左に来い!」
送り主のアドレスはunknown。
「誰?」知らない男からのパーソナル通信。
一瞬ためらったセブンスに迫るマシンウォリア。
意を決めて身体をハヤブサの左側に落とし、一気に左へ方向を変えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます