第13話 A.D.4020.バトル戦闘歩兵
強力なモーターが出すシーク音が響き空中に二筋の光が現れ、一瞬でバルコニーへ達した。
戦闘歩兵”マシンウォリア”
ダークマター技術で造られたアキシオン粒子バッテリーを搭載。
二千万馬力を発生し、地上を300KM、空中を2000KMで移動できる。
メイン武器は高出力ブラスタガン、他に追尾型のミサイル、ガトリング等を搭載する。この破壊兵器マシンウォリアが本気で動き出せば、この広い邸宅も数秒で完全に焼き尽くされるだろう。
シルバはその高い地位と莫大な資産で、最新型の軍用マシンウォリアを護衛として二機、自宅に配備していた。
「警告。対象セブンスへ十秒以内に武器を放棄後その場に伏せなさい」
マシンウォリア一号がセブンスに警告した音声は、爽やかな青年のものがモニタリングされ使用されている。
人型だが戦闘だけを目的に造られたマシンウォリアの声は優しげだが、その目はからは感情はまったく感じられない。
セブンスは「降参」とお手上げポーズである一点を見ていた。
スッと、セブンスは隙を見て背中のブラスタガンを抜き見ていた一点、シルバに躊躇なくフル連射を初めた。
即座にマシンウォリア二機が、シルバの前に移動して光弾の攻撃を阻む。
最高出力で打ち出されるセブンスのブラスタの光弾。だが軍用であるマシンウォリアの装甲は宇宙戦艦と同じZジィーノ粒子で造られており、小径のブラスタでは破壊する事は出来ない。
マシンウォリア一号がシルバの安全を確保した後に二号が前に出る。
まさかのセブンスによるシルバへの急襲で、攻守フォーメーションを変えた二機のマシンウォリアに隙が出来きた。
射程距離外へ身を逃がしたセブンスは手摺の奥へ飛び乗り距離を取った。
「私を攻撃するとは……壊せ……ただし、頭だけは壊すな!」
シルバの言葉に二号はブラスタガンのパワーを再設定し、セブンスへの攻撃を開始。オレンジの光がセブンスのいる手摺りに淡く写ったその瞬間、バルコニーごと手すりが砕かれる。
強力な攻撃で砕け散るコンクリートの破片が散らばる。
セブンスはスカートの裾をひるがえしながら、手すりの上を回転して攻撃を避け続ける。
セブンスはを追い連続で光弾を撃ち出すマシンウォリア。
バルコニーの端で手摺りは終わっている追い詰められていくセブンス。
ついにセブンスの動きが止まった。
マシンウォリアが再びセブンスへ警告を発する。
「そこで止まりなさい。そして手足を撃ち抜かれなさい」
爽やかな青年の音声で発せられる強い警告を聞きながら、セブンスは大きな溜息をつき、スラリと伸びた両足に力を込めた。
マシンウォリアがセブンスの脚を狙って、ブラスタガンを連続で打ち込んでいく。身体を回転させながら回避するセブンス。
次々に粉々に砕かれていく白亜のベランダ。
最後に残った手摺りの上で止まったセブンスに、マシンウォリアのレーザーサイト紅い点が写り込む。
「これが最後です。抵抗は止めなさい」
マシンウォリア警告の直後、セブンスの脚を狙った射撃が始まった。
意を決したセブンスは両足の力を解放し空中へ飛び出す。
空中で猫のように身体をまるめ何度も回転して落下していく。
ベランダから地上までの高さは二十メートル近い。
セブンスは着地時に地上に叩きつけられるタイミングで、両手両足で着地の衝撃を分散する。
低く肉食獣が獲物を狙う格好になり、高いバルコニーを見上げたセブンス。
マシンウォリアの二機はシルバの次なる命令を待つ。
「追え! 絶対に逃がすな! セブンスの首を私の所へ持ってこい!」
二機のマシンウォリアが機動ブラスタを点火、空中に浮かびあがる。
マシンウォリアは、背中に装備したブラスタを加熱し、イオンを高速で吹き出し空中を飛ぶ。
二十メートル。はるか上のシルバを見上げたセブンスが呟く。
「あれ……本気で怒っている感じだね」
マシンウォリアが上空からが近づくのに気がつき、セブンスは低く構えた姿勢から前方のガレージに一気に飛び込んだ、オレンジ色の光が煌めき、地面に幾つもの穴が開く。
「ふぅ~~」
ため息をついたセブンスは、飛び込んだシルバのガレージの中を見渡す。
「さて……どれに乗って、逃げようかな」
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