二十一世紀の世界
第6話 A.D.2040.目覚め
セブンスの時代から遠き2,000年前は世界は夢を追い科学を信じていた。
いつか銀河に出ることを人類のさらなる進化を確信していた。
ズンズン……なんか、遠くから大きな騒音が近づいてくる21世紀も半ばで人類は疫病や災害そして戦争を経験して進化しているはずだが、でも今でも人の推測はうまくあたらない。
「まじぃ……もう起きた!?」
推測より早い出現に大型ディスプレイで映画を見ていた女はそわそわし始める。
耳を澄まし一分程、その後の進展に注意を促すが、静かなままだった……
「良かった」と思った瞬間に「おいー! 七海、俺はとっても腹減ったぞ!」
(やっぱり騒音の出所は哲士……こんな朝早くに目覚めるなんて)
……七海はため息をつく。
「ふみゅ~~もう起きたの?」
おかしな声が七海の口から漏れた。一人の大事な時間が確実に消滅。
そんな事にはお構い無い彼氏。
「こんな朝早くから何をしているだ? うん、なんだ何を見てる?」
緑色の低いソファーに足を投げ出したまま騒音の源は見ないように七海は壁に貼られた200インチの、超薄型3D有機液晶ディスプレイの映像を見続ける。
「なぁなぁ、何を見てるんだよ?」
七海が答えるまで質問を止める気配がない哲士に怒りを表す。
「哲士は朝からうっさい! 今いいところ! ちょっとは静かにしやがれ!」
七海が怒り交じりで答えているのに机の上の湿気った昨日の夜に開けたチップスを摘み、ジャリジャリ音を立てはじめる哲士はここに来る前に冷蔵庫から調達した、数本缶ビールの一つをプッシュと開けて呟く。
「なんかさあ~~つまみが欲しいなぁ~~腹減ったなぁ」
二階にいる人を呼ぶような大きな声で要望伝えながら、ゴクゴクとビールを缶のまま飲む哲士に頭を抱えた七海。
「もぉおおおお~~もう、なんで、なんで? もう少しだけでいいから静かに出来ない? 哲士はまだ寝てていいの!……てか、寝ろ!」
「なにしてるの。腹減った。つまみ。」
堪え切れなくなり振り返る七海その髪は真っ直ぐで銀色で腰までありよく整った目鼻立ちは周りに冷たさを感じさせる程。大きくてルビーのような紅の瞳、その姿は日本人とはかけ離れたものだがそれは七海の生まれの影響が大きい。
「七海おまえも飲む?」
七海の怒りなどまったく気にもしていない哲士がビールを投げる。
オッと、片手でキャッチして栓を開ける七海。
「早朝から飲むビールはうまい。大原庄助さんの気持ちが解る!」
チラ、見する七海。
「誰よ、それ?」
ビールを飲んでいるだけなのになんか仰々しく哲士が答えた。
「偉人だ。オレも尊敬しているのだ」
チラを見直し、ジロ見に変更した七海。
「偉人じゃない! 朝から酒飲んで、温泉に入るダメな人の代名詞じゃ!」
一気に飲みきった哲士が強力な握力でビールの缶を握りつぶすと、めんどくさそうに呟く哲士は身長は190CM体重は100KGオーバーでヘビー級の総合格闘の選手のような姿だった。
獰猛な身体の太い首の上の口から不満が出た。
「知っているなら聞くなよ。朝から酒、温泉は最高だろう? 後は……つまみが欲しいところだが」
コノ! 七海は哲士の事を見た。
「それは私への当てつけ? こうなったら絶対にこの映画見るまで何も作らない!」
七海はディスプレイに視線を戻し、あぐらをかいて座り、この場を動く気は無い事を身体で示す。
その様子にガッカリした哲士。
「そいつは残念だな。うん? そういえばまだ、風呂入ってないなあ」
「本気で大原庄助さんになる気!?……はあ、そうですか。じゃあバスルームへGOで! また後でお逢いしましょう」
哲士に手を振り、雑音を集中力で消し去り、映画の音声に集中する。
16Kディスプレイで9.1チャンネルサラウンドの音を消し去る哲士の雑音はある意味凄い。
チップスを食い終えビーフジャーキーをオープンしてクチャクチャと、食べだした哲士は思いだしたように聞いた。
「ところで七海、なに見てるの?」
「……」
七海は思った。哲士は放っておこうっと。
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