第11話

「分かった。

 だが相手が亜竜種や属性竜ならメンバーを選抜した方がいい。

 数を集めても全滅するだけだ。

 それに、自分たちだけで集めようとするのは愚かな事だ。

 冒険者に依頼しよう

 賢女ゾーイに冒険者の心当たりはあるか?」


「私も新発見に慌ててしまっていました。

 人手が多ければいいというモノではありませんでした。

 確かに亜竜種や属性竜を狩れる冒険者は限られております。

 冒険者ギルドを通して公募しましょう。

 だからといって狩れる者が必ず受けてくれるとは限りません。

 個人的に当たってみます」


「そうしてくれるか。

 私が選抜部隊を直卒して大魔境に行く。

 絶対とは言えないが、全力を尽くす。

 賢女ゾーイは魔法陣を準備しておいてくれれ」


「お待ちください!

 私も連れて行ってください!

 イアンを助ける手伝いをしたいのです!」


「落ち着きなさい、アルフィン!

 そんな風に心を乱したら、また魔力が暴走してしまう。

 それでは何のために今まで皆が努力してきたか分からなくなる。

 私を信じて待っていてくれ」


「申し訳ありません、キャスバル様。

 私は心の醜い女なのです。

 自分の心さえ抑えられない女なのです。

 城で心穏やかにキャスバル様を待つことなどできません。

 キャスバル様の事が心配で、イアンの事が心配で、心を乱してしまいます。

 それくらいならば、一緒について行かせてもらったほうが、まだ心を乱さずにすむと思うのです。

 それに、これでも侯爵家に相応しい魔力があるのですよね?

 暴走させることなく自分で操れるのなら、王族に相応し魔力があるのですよね?

 その魔力を役立てる方法はありませんか?

 どうか私も大魔境に連れて行ってください!」


「コーンウォリス公爵。

 アルフィン様について来てもらいましょう。

 そんな不思議そうな顔をされないでください。

 どれほど完璧に準備していても、素材が手に入らなければ何の役にも立ちません。

 私も大魔境に行って手助けしますよ。

 それに、私やコーンウォリス公爵が主戦力になって属性竜を狩るという噂が広まれば、普通なら尻込みする冒険者が募集に応じてくれるかもしれません。

 それに侯爵に匹敵するアルフィン様の魔力が予備に使えるのです。

 私が上手くアルフィン様の魔力を吸い出して予備の魔力にします。

 今までは大半を無駄にしていたアルフィン様の魔力を、ほぼ全て利用できる術式を完成させました」


 賢女ゾーイが口添えしてくれたお陰で、私はキャスバル様と一緒に大魔境に行けることになりました。

 しかもお役に立てるのです。

 これほどうれしいことはありません。

 なんとしても属性竜を狩って、イアンを助けてみせます!

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