一章 正式オープンと不遇センス
朝の八時。
「なあ、そんなに落ち着かなくてても、朝の十一時には始まるんだろ?」
「うん。だから、早いお
「
俺の苦言にも妹は、ぶーぶー、と文句を言う。夏休み中の家事をお前は手伝っていないだろ、と言おうと思ったが、それでムキになって手伝われても
「全く。分かったよ。じゃあ、簡単にチャーハンな」
「わーい、お兄ちゃんありがとう」
全く、子供なんだからと
今日の夕飯は、暑いから
美羽も早く食べられるし、と妹に甘いなと思う。
そして、十一時。俺は、VRギアを着けて、ベッドに
『名前をどうぞ』
機械的な女性の声に
──そして、開ける光景。
周囲には、
そう考えている時、ぽーん、ぽーんと連続性を持つ音が聞こえ、
視界の
「チャット、オープン」
『あっ、お兄ちゃん。
「なんだ。美羽か。
今は、現状
『こっちも人が多くて分かんないから、お姉ちゃんと北の大聖堂前で待ち合わせしよう。待ってるね』
「分かった、すぐ行く」
俺は、すぐにその場を移動した。人ごみは
『ねえ、お兄ちゃん。もう着いた?』
「ああ、着いたが……どこだ?」
『聖堂前の像の下。白い髪だよ。お姉ちゃんは、水色』
やっと見つけた。確かに白だ。その
「美羽で合っているか?」
「えっ、ハイ。ミュウです、が、どちら様ですか?」
「俺だよ、お前の兄の
「えっと? 峻ちゃん? お姉ちゃん、しばらく会わなかったから分からなかったよ。いつの間に女の子になっちゃったの?」
「いや、お姉ちゃん、違うから!? これそういう問題じゃないから! なんで、お兄ちゃんがお姉ちゃんになっているの!」
姉、と言われて、自分の胸に手を当てて軽く
「いや、考えたくないんだが、カメラで
考えたくなかった。確かに女顔かもしれないが! これは
「それに、お兄ちゃんの声も高くなってない? なんか、
確かに、俺の声は、若干高くなっている。いわゆる、アニメ声に近くなってしまった。
意識して声を作れば、リアルでも同じ声を出すことが出来るので違和感は
この声の
あの黒歴史が俺だと特定されたら、もう首を
「うーん。すっかり美人になっちゃって、お姉ちゃんは
……はい?
「だって、名前の所がユンになっているよ」
「えっと、あっ、本当だ。ユンお姉ちゃん?」
SYUNと打ったはずなのだが、不慣れなVRの操作で打ち損じたようだ。最初のSが
「おい、もう、このキャラ消すぞ!」
「まあまあ、このゲームって基本ネカマが出来ないんだから、良い体験だと思おうよ。ユンお姉ちゃん」
「それ消したら──お姉ちゃん権限で黒歴史を
うわっ、静姉ぇ。いや──今はセイ姉ぇが本気だ。セイ姉ぇが本気の時は、後が
「わ、分かった。まあ、俺は、
「うん。初期のセンスを獲得すると、同時に初期武器も
「じゃあ、俺もセンスを取るか」
俺は、少し二人に待ってもらってセンスを取得する。
「ねえ、ユンお姉ちゃんは、どんなセンス構成?」
「うん? 俺の構成は、【弓】【
なんか、ミュウが口をぽかんと開けている。そしてセイ姉ぇは、困ったような顔をする。
「ねえ、ユンお姉ちゃんは、何を目指そうと思っているの?」
「うーん、サポートかな? ちゃんとテンプレを見てアーツやスキルに必要な【魔力】と魔法を使うベースの【魔法才能】。それに対応する魔法の種類で【付加】を──」
「……お、に、い、ちゃんの
うん、ゴミだと知っていて
「良い!? 【弓】ってコスパ最悪じゃない! 【鷹の目】は、遠くの物がよく見えたりするだけで、全然ユニークセンスじゃないよ! それに、【錬金】ってただの物質
「えっと、直訳すると【弓】は
つまり、俺は
「【合成】や【調合】でできるアイテムって大体お店で売っているんだよね。だからゲーム初期では、あまり重要じゃないかも」
はい、俺の存在意義がなくなりました。だからと言って、
全プレイヤーの初期の所持金は、1000G。装備を整えるべく、町を
取得したセンス【弓】のために鉄の矢を三十本一セットが30G。それを四セットで120G。そして【合成】と【調合】の初期の生産キットで、300Gずつの600G。初心者用ポーションが三十本で150G。──合計、870G。残金は、130G。
そして、弓のコストパフォーマンスの悪さの理由は、矢にある。矢とは、使い捨てなのだ。放った矢は回収できないのが基本。そして初期の敵を矢だけで
俺は、生産センスを持っているので、ドロップアイテムを別のアイテムにしたとしても、大した儲けにはならないだろう。
「……つまり、初期のコストパフォーマンスの悪さが原因なんだな」
「そう。しかも魔法は、センス自体のレベルを上げていけば、若干の
「……ま、まあ、モーションアシストもあるから初心者でも最低限にはできるはずだよ。だから気を落とさないで、ユンちゃん」
「あ、ああ……」
さっきまで一緒に冒険できるとはしゃいでいたミュウに説教されている。俺がゴミセンスを取ったのがそんなに気に入らないのだろうか。いやまあ、テンプレ構成を聞いた上でこれを取ったのだ。
「いいから狩り行こう。
「……お、おう」
セイ姉ぇ、助けて。と視線を送るが苦笑いされるだけだった。
俺たちは、初期の町──
「
「
「分かったわ」
それからしばらく狩りにいそしんだ訳だが、妹が
「全然、当たらねぇ!」
セイ姉ぇは、同じ射程2メートルほどで魔法を簡単に当てるのに、同じ
そして何より、矢が切れたら、いちいちインベントリから
「
「お姉ちゃん、そんなに前に出たら──」
「ここなら、当たっ──!」
矢を射る俺に向かってくる草食獣に
「──危ない! 《アクア・バレッド》」
俺へと体当たりをしてくる草食獣に向かって水の弾丸が打ち出され、敵は
「ユンちゃん、不用意に近づいたら
セイ姉ぇは、
「むぅ、だからゴミセンスなんか取るからだよ。矢全部使い切ったでしょ。じゃあ最後に必殺技──【アーツ】。ちょうど【剣】のセンスが5になったから……」
何か、俺を追い立てるように声を上げて、立ち上がらせる。
ミュウは、
「これが【アーツ】ね。ユンお姉ちゃんも【弓】のセンスを上げれば、そのうち覚えると思うけど、私は、早めのセンス
「ちなみに、センスは10レベル
「分かった。ありがとう」
●
ミュウとセイ姉ぇと別れた俺は、ステータスを確認しつつ町に
俺のセンスは、こんな感じだ。
所持SP0
【弓Lv3】【鷹の目Lv2】【魔法才能Lv1】【魔力Lv1】【錬金Lv1】【付加Lv1】【調教Lv1】【合成Lv1】【調合Lv1】【生産の心得Lv1】
狩りの結果、全く育っていないのだ。ミュウは【剣】が5、【
俺は、町の
先ずは【錬金】センスからだ。
このセンスの
メニューより
消費画面では、胆石×10と表示された。これは、物質変換で消費するアイテムなのだろう。俺は、
そうして変換されたアイテムは、薬石というものだ。それが一個。
いやまぁ、胆石って漢方薬になったね。うん、ゲームだからその辺は
その
「なんで、骨で変化先が増えたんだ? センスのレベルが上がったのか?」
レベルが上がったかと思い、ステータスを確認したが、レベルは1のままだ。
「消費するアイテムの数が違うし。骨粉十個の場合は──」
骨を骨粉にし、骨粉に再度【錬金】を
【錬金】の物質変換を考察した結果は、二種類。上位と下位の物質変換に分かれる。上位の物質である薬石や大きな毛皮を生産するのに、十個のアイテムで上位一つになる。
そして、下位物質である骨粉は、変換率二倍。
センスを成長させれば、変換率が変わるのか、別の変化先が生まれるのか分からない。だが、現状【錬金】センスのレベル上げに使えるアイテムが少ない。
「狩りで敵を倒せないのに、どうやってアイテム集めるんだ。まぁ、後で考えよう」
これは後回しで次は、【付加】をやってみよう。
【付加】と言えば、RPGの定番であるエンチャントやバッファ、バフと呼ばれるステータス
試しに、自身を対象にエンチャントを
やり方は【物質変換】とは違い、対象を意識して、スキルリストにある魔法スキルを唱えるだけで良い。
MPが
自身の体には、
じっと座って、自分にエンチャントを使い続けていれば、気づいた時には【魔法才能】が2で【魔力】が4にまで成長していた。
エンチャントの種類は、赤色のATK、青色のDEF、黄色のSPEEDの三種類。センスレベルを上げれば、ステータス上昇効果の増大、効果時間の延長が見られるだろう。時間を見つけて適当にエンチャントしてれば、レベル10くらいまで成長するだろう。
【調教】に関しては、完全に死にセンスだ。今の俺では、MOBを
そして【合成】と【調合】にもアイテムが必要だが素材が無い。うーん、アイテムが無い。どうするべきか?
その時、ぽーん。とチャットが来た。俺のメールアドレスを知っている人間は、このゲーム内でも事前登録しておけば、チャットが可能なのだ。
チャットの主は、巧だった。
『おう、ログインしてるか?』
「ああ、なんだ? しているぞ」
『なら今から会わないか? フレンド登録するために。ちなみに今の俺の名前は、タクな』
「了解。じゃあ、場所は……」
それから俺は巧を待つ間、エンチャントを続けていたら、レベルが一つ上がった。
『なあ、峻。どこにいるんだ?』
「ユンって名前のキャラだ。
自分でもシュールだと思う中、見知った少年と目が合う。その相手は、俺を見て一言。
「あ、ああ。ユンってお前……何で女キャラ」
「……知らん。機械の誤認だ」
「いや、最後に見た時より、美人度二割増しで美少女だぞ。胸ないが──「ふんっ!」」
俺は、攻撃のエンチャントの状態で、タクの
「大人しく
「いいだろ。でも、何でユンって名前なんだよ。完全に女だろ。見た目からしても……」
「入力ミスだ」
分かっているさ。
「想像してみろ。自分の妹にお姉ちゃんと言われる
「そりゃ、ご
「
「いや、ゴミセンス取る方が悪いだろ」
くっ、これだから廃人ゲーマーは、ゲーム効率を重視する。
「ちなみに、今のセンスはどんな感じだ?」
「ああ、こんな感じだ」
センスのステータスを巧、もとい、タクに見せ──その第一声がこれだ。
「うわっ、ひどい」
「泣くぞ! そんなにひどいのか!?」
「【弓】は、
「うっ……戦闘じゃあ金
「お前、何気に
断じて、そんなことしてません。そもそも、そんなつもりもありません。
「やばい。妹にはチェンジを要求されるし、静姉ぇには苦笑いされる。自信なくすな」
「元々、ゲーム始めたばかりで自信なんかあるわけないだろ」
「むぅ、そこは
「慰めねぇ……美少女で良かったな。あのおっとり系美人のセイさんに、元気系美少女のミュウちゃん。お前はさしずめ、クール系の美少女か?」
「うるせぇよ。と言うよりも全く慰めになってないから」
それに、そんなことないだろ、と周囲に視線を向けると、周囲のプレイヤーが
「なあ、相談なんだが、効率のいい稼ぎ方って無いか?」
「うーん。それってレベル的な意味か? それとも金的な意味?」
「両方だ。先立つものがないんだから」
「あるな。戦闘しないんだったら、平原を西側に進んだ林で採取系アイテムが手に入る。【調合】センスもあるし、レベル上げも
「そうか、サンキュー。そうしてみるわ。他にアドバイスは?」
「敵は、昼間の出現率は低いけど、夜になると増える。だからその点気を付けろ。って言うか。どうする? 手伝うか?」
「いや、相談に乗ってくれただけで十分だ。ありがとう。多分、一人じゃ無理だったわ」
「別にこれくらい
全く、リアルでは俺に
「じゃあ、お前の
「俺は、ミュウやお前のような廃人じゃないから無理だ」
平原の
そのため、無視して平原を進むことができた。
時折、速度エンチャントで黄色の光を発しながら進む。更に、平原は広いので【
みるみるレベルが上がるぞ、ミュウとセイ姉ぇとの
道沿いには、採取アイテムは無さそうだが、鷹の目で林の奥に目を
木の根元や地面にアイテムがあると感じるのだ。自然とそこに意識がいく、不思議な感覚。これがセンスの補正なのだろうか。
採取したアイテムは、木の枝を始め、キノコ、薬草、石、野草、鳥の羽根と、種類だけは豊富だった。大体それぞれ十個ずつくらい。後は、特定の場所の土から回収できる──
結構な種類のアイテムが集まった。この情報を教えてくれたタクには、感謝が
すぐに【調合】には入らずに、
スキル
ちなみに、センスのステータスは、以下の通り──
所持SP0
【弓Lv3】【鷹の目Lv5】【魔法才能Lv4】【魔力Lv7】【錬金Lv1】【付加Lv6】【調教Lv1】【合成Lv1】【調合Lv1】【生産の心得Lv1】
順調とは言い
出てきたのは、お
ガラス容器は、取り出すと新しい容器が生まれ、手に持っている容器に何も入れないままだと
「こういう所は、ゲームだよな。まさにファンタジーだ」
何とも中学生の化学キットのような道具で、ファンタジー定番の薬草を
そうして出来たのが初心者ポーション。タダから一本5Gのアイテムになりました。
薬草一つから初心者ポーションが出来るわけだ。【錬金】より変換率が良い。
まぁ、錬金も分類的には、生産なのだろうけど。
その後、スキル欄に変化が生まれた。初心者ポーションの【レシピ】が追加されたのだ。
俺は、その【レシピ】を
物質
【調合】を始めとした生産系センスの法則は、アイテムを一度自作すると、レシピが自動で追加されることだ。そして、次回よりスキルによる作成ができる。
錬金も同じということは、どの生産職にも通じるものかもしれない。試しに、
そして、レシピの内容が
「つまり、スキルによる画一的な大量生産か、手作業による良品質か」
大体の利点はそんなところだろう。初心者ポーションを十個作った時、調合のセンスレベルが上がった。センスの上げ方は分かったことだし、次は【合成】だ。
合成のセンスは、素材と素材で新たな素材、アイテムとアイテムで新たなアイテムを作り出すセンス。こちらは、最初からMPを消費して合成するらしい。とにかく試してみよう。
取り出した合成キットは、
「先ずは、定番のポーション同士の
先ほど作った初心者ポーションを指定された位置に置き、発動。
「な、何だこれ? せ、成功か?」
いや、見た目的に失敗だろう。アイテムとして確認したら、毒物だった。HPに
まあ、何かの役には立つだろう、と思い、それをインベントリにしまう。
「生産失敗か。確か、生産職のレベルが低いと失敗するんだったよな。まあ、経験値入るらしいし、いいかな?」
そう自分に言い聞かせながら、もう一度初心者ポーションを二つ
今度は、初心者ポーションより
今度は成功、レシピにも追加されている。
そのまま、合成レベルが2になるまでポーションを合成した。
ふと、ポーションと初心者ポーションの残量を確認する。
「ミュウとセイ姉ぇと
初心者ポーションを買ったのはいいが、【回復】持ちの二人がセンス上げのために率先して回復していたので手つかずだ。その初心者ポーションを錬金で上位変換した場合、どうなるのか。一種の実験的な意味で行う。
変換した結果──残念なことに、また毒物になってしまった。錬金の失敗。
「……50Gが毒物になった」
この
「あー、
しかし、確認したのだが、【合成】で作ったポーションと【錬金】で作ったポーションには、性能差が存在した。
合成ポーションは、【レシピ】のデフォルトに近いが、錬金ポーションは、デフォルトより一割回復量が多い。つまり、錬金製の方が品質的に上と言える。
錬金>合成>手作り調合>スキル作成の様な感じで性能があるようだ。ただし、効率で言えば、その逆だ。また、手作り調合も
「また
薬草は、おもに【調合】センスに。その他アイテムは【錬金】と【合成】に使うことにした。夕飯の準備の時間まで採集と生産センスのレベル上げを
石ころは、錬金ではどうやっても選択できなかった。結論を言うと、石という
ただ、キノコは食材アイテムなので、乾燥させるだけでそれ以上の変化は望めなかった。
最後に、木の枝と鳥の羽根の組み合わせて合成すると、鉄の矢の下位
現在のセンスは──
所持SP0
【弓Lv3】【鷹の目Lv7】【魔法才能Lv6】【魔力Lv9】【錬金Lv2】【付加Lv6】【調教Lv1】【合成Lv4】【調合Lv4】【生産の心得Lv3】
魔力があと少しで10になりそうだ。
時間もそろそろよさそうだ。再開は、現在のセーフティーエリアに
●
ゲームの世界では、夕暮れ時という空だったが、真夏は、日が高くまだまだ明るい。
それでも夜の六時半ともなれば、少しは
時間になり、美羽も自室から出てきた。
「……」
夕飯の席、無言で素麵をすする美羽。視線は
「ど、どうした?」
「別に……」
──俺のセンス構成だ。
「その、すまなかった」
「……何で謝るの?」
「その、ゲームの事で……お手数掛けました」
なんか知らないが、とにかく謝っておけ、それが問題を
美羽は、大きく息を吸い、盛大に
「なんか、ごめんね。お兄ちゃん」
「おお、今は兄と呼んでくれるんだな」
「いや、そういうところに反応しないで」
むぅ、妹にお姉ちゃんと呼ばれた心の傷は意外と深かったようだ。
「
「そうだったのか。まあ、
「うん。とにかく目立ちたがり屋で、私たちが回復している最中なのに、ずんずん進んで、一人死に
「あー、そっか。それで……。大変だったな」
「逆にその人が居ない方が、
「それってゲームで死ぬとどうなるんだ?」
「デス・ペナルティーが発生するよ。デスペナの効果は、一時間のステータスの減少だね」
「それは痛いな。けど、俺は生産職だし、死んだ時間はアイテムでも作れば無駄がないな」
あっ、もう方向性決めたんだ、と言われた。
「
「でも残念だな。ユンお姉ちゃん、美人だからパーティーに入れて
「
「ふーん。ユンはソロで進めるんだ」
当分は地道に採取とMOB狩りに専念しよう。こんな遠回りな行動に、他人を連れ回せない。話題を変える意味で別の質問を投げかける。
「美羽の今のセンスってどんな感じなんだ?」
「うーん、【
「結構成長しているな。もうSPが四つも
「お姉ちゃんも大体こんな感じだね。あとは、お兄ちゃんも【攻撃力上昇】とかのセンスを付ければ、弓矢の消費が
「それはおいおいやることだな。今は、西の林で自給自足している」
「まぁ、私は、お兄ちゃんと
そう美羽に注文されるが、総取り替えして戦えるレベルまで上げるのと、今のセンスを戦えるレベルまで
うーん。普段はできる兄として
夕食の後は、美羽が
再開は、林のセーフティーエリアだったので、そこからのスタートだった。
ゲームの中も夜で真っ暗。この場所は、
うーん、夜の空って
【鷹の目】が成長しているようだが、今はこのゲームの中の自然を楽しんでいる。
三十分程ぼけっとしてセンスを確認した。【鷹の目】がレベル10になっていた。やったと喜ぶ思いと、【
それに、心なしか周囲を見回す時、
俺は、さっさと新しいセンスを取得することにした。
初期のセンスと言っても数は豊富だ。もう方向性は生産職寄りになっているので、生産職でもいいかもしれないと考えながら生産系センスを探す。
【
【細工】は、メインな
それにしても、センスとは奥が深いと思う。
【鷹の目】は、ただの遠視センスと思っていたが、暗視性能もある。1レベルにつき1メートル程度視界が広くなる。弓センスのレベル補正のみの場合、射程はかなり短い。
そういえば、矢があるし、敵もいないことだし、弓の練習をして
木の矢を取り出し、弓を
一本一本
今のところ、命中率は、十本中二本とまだまだだ。
【弓】のセンスも【鷹の目】のセンスも十分にレベルが上がった。気になって、【弓】のスキルを見てみたら、確かに【アーツ】があった。《
試しに《遠距離射撃》のアーツを使ってみた。
弓を溜める時間が長くなる代わりに、今までよりも力強い音が
「ミュウに
明日も同じ生産系をメインに成長させよう、と考えながら、俺はログアウトした。
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