EX13 可愛い母娘と年越し②

 前置き


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 5000日後も構想しなければ……。



 **** ****



 俺は学習しないと思った。

 由季の性欲が強大であるということを。

 今日こそはと思っていたが思い違いのようだった。単なる蟻一匹がライオンに勝てるわけがなかったのだ。


 もし勝てたとしても天候や地形が全力で味方してくれなければ絶対に敵わない。ましてや、ベッドの上となると単純な体力の勝負となる為、勝つことなんて不可能に近かったのだ。



「ん……気持ちよかったよ、あなた」


「そうですかい……」



 俺が限界であるのに対して由季はもう復活している。それどころか制服を着て介抱してくれている。


 だが、その制服は由季の爆弾を完全には抑え切れておらず、ぱつぱつになっているが……。その部分を考慮すれば由季はまだ女子高生に見えるだろう。



「中学の時は帰宅部だったから、高校はどの部活だったのかな。一応、あの高校はどこかの部活には所属しなきゃいけなかった気がするし」


「料理部じゃないか?」


「やだ、それに引き篭もり時代がないから上手ってレベルじゃないよ」


「それならどっかの部活の幽霊部員だな。放課後は由季の部屋でダラダラする」


「結局、中学の時と変わらないね。そのまま気が合うってだけで卒業後も一緒にいるんだろうね」



 少し前までは高校に通っていても恋人になって、えっちしちゃうみたいな結論に至っていたが、夫婦になり子供も生まれた今ではそんなことはないと思うようになった。



「って、ちょっと待て。さっきまで空き教室で初めてを捧げて、カラオケで第二ラウンドとか言ってなかったか?」


「それはゆうを興奮させてその気にさせる為に言っただけ。まんまと引っ掛かったね」


「それは俺もしたかったから襲ったに決まってるだろ?」


「あんなの襲ったうちに入らないよ。襲うって言うのは、したくない時に無理矢理することを指すんだよ」


「……そんな時間あるわけないだろ」


「正解♡ したくない時でもゆうが望んでくれれば、いつでもしたくなっちゃうからね。でも、さっき言った空き教室とカラオケではする気は起きないよ」


「どうしてだ?」


「私の裸を見て良いのは同性を除けばゆうだけだからね。態々、見られる可能性のある場所で、するわけないでしょ?」



 俺が気付かなかったとしても後々、嫌な気持ちになることは由季はしないようにしてるのだ。それが無意識なのか意識してなのかは分からないが。



「でも、学生の頃にそういう関係になるんだったら、この部屋でしてたかもね」



 この部屋は俺と由季が一緒に成長していった部屋だ。その部屋で男女の愛し合う行為をするのは思い出が上書きされていくような気がするのだ。だから、率先してそういった行為はしたくないのだが……もうしてしまった。


 由季に話し掛けても『うん』、『そう』としか簡素な返事しかされなかった時もあった。だけど、それでも少しの表情の変化があったから嬉しかった。


 由季が傷付いて酷いことを言ってきた時もあった。それでも、心は通わせていたのだ。


 それからは、由季のたくさんのアプローチがあって、ハグをしたり、(義母由佳さんに嵌められて)一緒に風呂に入ったり、手料理を振る舞ってくれたりした。可愛がっていた一人の幼馴染ではなく、愛すべき一人の女性として見るようになった。


 その思い出が男女の行いで上書きされるのは本意ではない。



「ゆうのことだから変なこと考えてると思うから言うけど、私とゆうがお互いを好きになったのはこの部屋でのやり取りがあったから。その思い出があるから男女の行いができる。思い出を積み重ねていくことができるの」


「由季……」


「だから、遠慮なんてしなくて良いんだからね」


「……」



 少し良いこと言ったと思ったらこれである。どこからでもえっちの話に持っていく由季には勝てそうになさそうだった。



 **** ****



「本当、飽きないわね。お二人様は」



 お互いにリフレッシュ・・・・・・した数時間後に義母由佳さんが由季の部屋を覗きに来た。俺と由季が愛し合っていたことについては、部屋の中の匂いで気付いたのだろう。自宅の寝室には消臭剤を置いているので、そこまで気が回らなかった。



「だって愛してるもん」


「……」



 今までしこたまヤッてるんじゃないかと煽って来ていた義母由佳さんだが、実際にされると呆れるようだ。



「悠君も良く持つわね……」


「そこは母さんがあれですから……」



 性欲については自分でもある方だと思っているが、由季が強大過ぎるので掠れているだけだ。



「納得しかしない回答よね。はぁ……ご飯できたから降りて来なさい」



 義母由佳さんはどこか悔しそうにしながら部屋を後にした。だが、これに関しては仕方がない部分がある。俺だって由季が求めて来るのに対して全て受け止めることができないのだから。可能なら「もう無理」と言わせてみたいものだ。一生掛かっても無理だと思うが。



「運動したからお腹空いたね。下降りよっか」


「その前に汚れるのも気が引けるから着替えな」


「そうだね。汚すのは家に帰ってからだもんね」


「はいはい」


「あ! 今面倒くさいって思ったでしょ」



 由季がジト目を向けてきたので頭を撫でてやったらすっかり機嫌が元に戻った。相変わらずチョロい。その後、由季の着替えを済ませた後、1階に降りてリビングへと向かうとそこにはくたびれた悠季の姿が。海が相手をしていた筈だが、遊び疲れたのか居眠りしていた。



「あぅ……」


「悠季ちゃん、どうしたの? ミルク飲む?」



 昼間のいちゃいちゃを邪魔されたことを根に持っているようで、実の娘にマウントを取る母親の図である。



「あ、待って。そんな強く吸ったら痛い、痛いから止めて」



 イラッとした娘から逆にマウントを取られる母親の図である。そのやり取りを見ていた義母由佳さんは楽しそうに笑っていた。



「由季が嬉しそうに子育てできるのは悠君のおかげね」


「いきなり何です?」


「思わないようにはしてるけど、思ってしまうのよ。悠君と出会わなかったら今頃、誰も信用せず引き篭ってたんじゃないかってね」


「何回か考えたことはありますが、引き篭もることは無いと思います。俺と出会わなかったらそもそも他人を信用しようとする気持ちなんて湧かない。普通の人なら不気味なものに近付こうとはしないでしょう」


「不気味なものね……。それが今ではただのバカだと」


「バカって言った方がバカだもんね。ねぇ、悠季」


「言ったわね。そんなバカみたいに胸を大きくして何様のつもりよ。……って、なんていう触り心地なの」


「夫からの愛情を溜め込む場所であり、娘に愛情をお裾分けしてるからね」


「あなた! 早く帰ってきなさい!」



 煽る由季と悔しそうにする義母由佳さんには悪いが、結構体力を消耗してお腹が空いてる。俺は話から逸れてテーブルに置かれた料理を黙々と食べることにした。



 **** ****



 夕食も食べ終わり、そろそろ帰ろうと玄関から外に出るタイミングで義父透さんは帰ってきた。


 その瞬間、何だか嫌な予感がしたので軽く会釈をして早々と外に出ることにした。その判断は正しかったようで悠季を背負った由季が外に出るのと同時にドアに鍵が掛けられた。



「お帰りなさい、あなた。私と私と私、どちらが良いかしら。そう、私よね。あなたと同じ考えで良かったわ」


「あぁ、ただいまぁぁぁぁぁ⁉︎」



 無駄に大きなただいまの声が響いた後、声はもう聞こえなくなった。天野家の女は皆、好いた男の前では暴走するのだろう。そうなったが最後、枯れ果てるのを覚悟する必要がある。



「私たちも帰ったら続きしようね……」


「終わりでは?」


「まだ前奏だよ。サビにも到達してない」


「……」


「家に帰ったらコンドームはいくらでもあるから我慢しなくていいね」



 実は由季の部屋でした時に久しぶりということもあり一箱空けているのだ。一箱しかなかったから頑張れたのかもしれないが。しかし、俺と由季の寝室には、それはもうクリスマスの時の余りがあって、してもしてもしてもしても……無くならないのだ。


 こればかりは控えめにしてくれないと、年越しできないかもしれない。



「……お手柔らかにお願いします」


「……たくさん愛し合おうね」



 ダメでした。


 これは一箱も使ってしまったから愛し合う快楽を思い出してしまったのかもしれない。


 だけど、そのことに嬉しくなってしまう自分もいる。ここは求めてくれることに感謝をして快く受け入れよう。


 そう、軽く決意してしまった俺に快楽の地獄が待っていることは想像に難くなかった。



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