EX11 可愛い親娘と猫の日

「「にゃ〜」」



 由季と悠季の二人が四足歩行で椅子に座っていた俺の足元に擦り寄って来た。



「今日はどうした」


「今日は猫の日にゃ〜」


「遊ぶにゃ〜」



 悠季は分かるが由季もそんな真似をして迫って来るのは意外……いや、何だか恥ずかしくなってくる。幼い気持ちを忘れないのは良いことだと思うのだが、もう少し落ち着きというものを知って欲しい。


 ……と思いながらも俺は二人の顎を擽る。



「「にゃふ〜」」



 気の抜けた声が猫と化した二人から発せられる。しかし、それがお気に召さなかった人が一人。



「ママ、悠里にミルクあげる時間」


「そうだったにゃ〜」



 律儀に最後に『にゃ〜』を付けて、そのまま四足歩行で悠里が眠る部屋に向かって行った。因みに注意したのは由美だ。流石に実の母があんな真似をしているのが俺と同じで恥ずかしくなったのだろう。


 10代の頃だったら普通に可愛いと思っていたと思うが、今は三児の母なのだ。まぁ、夜に由季を抱く時だったら猫の真似をしても可愛がってあげるが、それとこれとは話が別だ。



「パパは猫のことどう思ってるにゃ〜?」


「どちらかと言えば嫌いだ。当たり前のように敬うのが基本と思っている太々しい態度が癪に触る」


「絶対に嫌いにゃ〜」


「だけど──」



 そうして俺は悠季を膝の上に乗せてから答える。



「猫が可愛いのは認める」


「悠季猫と普通の猫、どちらが可愛いにゃ?」


「悠季猫に決まってるだろ」


「口説かれたにゃ。パパが旦那様になる時も近いにゃ〜」


「近くない」



 どんどん悠季の手口が巧妙になってきている。口で言い負かされるのも時間の問題かもしれない。



「にゃ〜」



 悠季が俺の手を使って頭を撫でている。



「ふにゃ〜」



 悠季が俺の手を服の中に入れようとしてきたので逃げ延びた。



「にゃ、にゃぁ」



 由美が遠慮気味に俺の手を使って頭を撫でようとしたので、優しく撫でてあげた。甘え慣れしていない由美なので、甘えようとした時はこちらから精一杯甘やかす。逆に悠季は甘やかし過ぎないように制限する。



「パパの撫で気持ち良い……」


「そうか」



 由季を可愛がる為に磨いてきた技術が役に立ったようだ。俺は由美も膝の上に乗せて二人の頭を撫でる。



「「ん〜」」



 さらりとした髪質で撫でていて気持ち良い。尻尾が生えていたなら、揺れていたかもしれない。



「パパも撫でてあげる。由美は左側ね」


「うん」


「「よしよし」」


「……」



 何とも言えないが凄く満たされる。左右から愛しの娘二人に頭を撫でられるのは心地良いものであった。




 **** ****




『……にゃぁ〜ん』


「んん……?」


「起きたにゃ?」


「あ、あぁ……」



 どうやら、悠季と由美の撫でが想像以上に心地良くてそのまま眠ってしまったようだ。その撫でていた二人もぐっすりとカーペットの上で眠っている。



「あの、それよりも……そのは?」


「耳? 何か変にゃ?」



 変だ。だって、由季の頭から二つのふさふさな猫耳・・・・・・・が生えているのだから。これは夢だ。起きて早々、夢なのも変だと思うが。でもこれが夢だと分かればやることは一つだ。



「由季!」


「にゃ!」



 俺はその場で由季に襲い掛かり、ふさふさな猫耳を弄りに入る。



「にゃ……そこは……」


「凄い柔らか……」


「んんっ……」



 ピクピクと猫耳を動かす辺り、気持ち良いのかもしれない。俺は止まらずに由季の猫耳を弄り続ける。だが、段々と由季の表情が大人の色気を醸し出してきた。



「ゆう……」



 そうして極め付けは俺の背中に由季の尻尾が絡み付いた。



「……由季猫貰ってもいいか?」


「どうぞ……」



 承諾を得た俺は由季を寝室へと運び、いつも以上に愛し合った。



 その後、目が覚めた俺が隣を見るとへとへとになった由季が全裸で熟睡していた。

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