第36話 可愛い仮妻とランジェリー通販①
由季の驚異的な一面を知った後、お昼に由季がインスタントラーメンを作ってくれた。
手の込んだ手作りの由季の料理も良いが、こういう手を抜いた物も食べたいと思っていた。だが、具無しのラーメンではなく、きちんと野菜も入っていて美味しそうだ。
勿論、刺激好きなので飲み物と一緒に胡椒のビンも机に置いてくれる。
些細な俺の気持ちを察してくれる由季は本当に良い妻になりそうだ。
「お、夫はゆうじゃないとダメだからね……?」
「口で言ってたか……」
「でも、ありがと。妻を褒めてくれるゆうは良い夫になるよ……私の」
「由季……」
「だ、ダメです、今から食べるから……。だから、今はこれだけ……」
そう言う由季と軽く唇を触れ合わせるキスをする。でも、物足りないとお互いに思ってしまうから、触れ合わせる時間を長くする。
それだけで俺と由季の心は安らぐ。
キス以外にもハグや手を繋ぐ等、お互いに接触しているだけで、ここに存在しているんだと実感できて幸せを感じる。
そして、ゆっくりと唇を離すと由季が微笑んだ。
「ゆうとちゅーするのドキドキして好き……。これからもたくさんしようね」
「そうだな……いっぱいしよう」
何年、何十年経っても、俺は由季とキスをするし愛し続ける。そして、数年後には由季と体を重ねる。
その頃になったら、俺はどれほど由季に惚れ込んでいるのだろうか。気にもなるが、楽しみでもある。
そうして、何らかのテレビ番組をBGMにしてお昼を食べ始める。
だが、由季がそわそわしていることに気が付いた。
俺は由季の変化には聡い。
「どうした?」
「あ、何でも無いよ。何でも……」
「そっか。由季のことなら何でも受け止めてやるから、好きな時に言ってくれよ?」
「ありがと、ゆう……。やっぱり、優しいね……」
「そんなことないよ」
将来、由季は俺の為に痛い思いをする。
初体験に妊娠、出産だ。
自分は気持ち良い思いをするのだから、今のうちから由季には良い思いを味わって欲しい。だから、これは将来への先行投資だ。
それに惚れた男の弱みもある。これが一番大きいかもしれない。
そんなことを考えていると、由季は意を決したように表情を改めた。
「じゃ、じゃあ、聞いて貰っても良い?」
「何でも言ってごらん」
「ゆ、ゆうに私の下着選んで欲しいの!」
「カハッ!」
あまりの言葉の破壊力に俺はむせてしまった。
麺が熱い!
慌てて俺は飲み物を口に運んだ。九死に一生を得た体験だった。
「ふぅ〜……」
由季はいきなり突拍子もないことを言ってくる。だが、それは由季の自爆に終わることがほとんどだ。
しかし、稀にクリティカルヒットすることがある。今回のは正に抉りに来るものだった。
「いきなりだな。それにどうしてそんなことを?」
「私の胸が大きくなってるのはゆうが原因でもあるから、ゆうにもお世話する権利があるの」
「お世話する権利だと……」
由季の爆弾を爆発させないようにケアする必要があると言った感じだな……。子供を世話する練習として由季の爆弾をお世話するのも良いかも知れないのか……?
ダメだ、分からない……。
俺は一体、どうすれば良いんだ……。
「嫌なら大丈夫だから……。ごめんね、今のは……」
「……するよ」
「え……?」
俺は由季の悲しそうな表情が見えた時、咄嗟に由季の爆弾に手を添えていた。
「……由季の頼みだからな。協力するよ。一緒にお世話しような」
「ゆう……ありがと。そ、それとね、お世話するんだから、いつでも私の胸を触っても良いからね……?」
「……」
俺はこの時、初めて自分の取った突拍子もない行動を評価した。
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