第18話 可愛い彼女とお泊まり会⑨
ソファーの上で思う存分イチャついた後はテレビを消して、二階にある由季の自室に向かった。
由季の部屋に入ると真っ先に目に付いたのはベッドの上にある二つの枕に一つのタオルジャケット。
つまり、そういうことだ。
同衾である。
俺が呆然としていると由季が振り返って、凛々しい雰囲気に変わる。
「本日はサービスがお付けされます。サービス内容は添い寝、マッサージの二種類となっております。記念すべき一人目のお客様となっておりますので誠心誠意、お相手させて頂きます」
「ぷふっ、よろしくお願いします」
「では、そちらのベッドにうつ伏せになって下さい」
由季に案内されて俺はベッドにうつ伏せになる。ベッドに顔を埋めて匂いを嗅ぐと由季の残り香の良い匂いが鼻一杯に広がり、幸福感で満たされる。
やばい、匂いフェチになりそう……。由季限定だけど。
そんなことをしているとは知らない由季は俺の背中に跨ると、小さな両手を腰に這わせる。
「よいしょ、んしょ」
由季が頑張ってくれているのは嬉しいのだが、いかんせん力が弱くて押されているだけだった。でも俺は由季を困らせないように気持ち良さそうな演技をする。由季も演技しているのだからこれでお互い様だ。
「あぁ〜 気持ちぃ〜」
「お気に召して光栄です。……お、重くないよね?」
「軽いくらいだよ」
「良かった〜 は! し、失礼しました」
一部、役が外れてしまうこともあったが、それを抜きにしても由季は完全に役人になりきり甲斐甲斐しく、勤めを果たしている。
でも、なんだか寂しくなってきた。
それを察したのか何なのかは分からないが、由季の雰囲気がまた変わった。
「今からは妻の役するね」
「そ、そうか」
妻の役って何だ? ……っ⁉︎
突如、ゾクっとした感覚に襲われて背中に乗っている由季を見ようとするが、頭を由季の両手に押さえ込まれて動かせない。
そして、由季は俺の耳元に口を近づける。
「
不意打ちにも由季からあなた呼びされて否が応でも反応してしまう。いつかは演技無しで言われてみたいランキング入りしている言葉の一つだ。
「今日のお勤めご苦労様でした。私特性のマッサージ、致しますね」
「お、お願いします」
由季によって与えられる未知の快感が体中を走り抜ける。一体、何をされると言うんだ。
「よいしょ」
「がっ⁉︎」
由季がその場でうつ伏せになり、俺の胸元に手を回して抱き付いてくる。むにゅっと大きい爆弾が形を変えて俺の背中に置かれる。
「んっ……はぁ……んんっ……」
「あぁぁ……」
由季が体を前後させると爆弾も上下に動いてその柔らかさを俺の背中に与えてくる。その結果、浴室での出来事を思い起こされて着々とぞうさんが成長を始める。
思ったけど、これマッサージじゃないよ……。
「あなた……これ気持ちいいわ……」
由季さん⁉︎ あなた発情しているの⁉︎
この状況になって思い出すのは母さんの言葉。
『悠ちゃん、女の子はね? 好きな男の子の前では万年、発情状態なの。もうべちょべちょなの。父さんには内緒ね?』
知らねぇよ⁉︎ 変なこと教えるなよ⁉︎ 流石、父さんを強引に奪っただけはあるな⁉︎
しかし、俺と由季は違う。由季は母さんみたいな馬鹿力は持っていないし、俺も父さんみたいな知略は持っていない。
だから、俺が出来ることとすれば……。
堪えるのみだ……。
不屈の闘志を持って堪えるんだ。
負けるな! 一時の誘惑を耐えるんだ!
我慢して我慢してその先にこそ、極上の美味にありつけるというものだ。
そうして、堪え続けていると由季が俺の背中の上に倒れた。続いて聞こえてくるのは小さないびき。
勝ったぞ……。
やり遂げた達成感で眠気がどっと押し寄せたので、俺はその眠気に身を任せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます