第463話 ゴーレム軍団

パワードスーツに比べゴーレムコア等の工程が増えたものの、流石は手際の良い熟練工の皆さん。人員の配分を上手く調節し、新たに増員せずとも上手く行く様にしてくれたのだった。


で、俺はと言うと、ドワーフの親方に任せた抽出用アタッチメントで使う抽出用の魔方陣の試作品をテストしにオーゼリーゼダンジョン第34階層まで足繁く通って、何種類かの魔方陣の発動時の魔力効率をレポートし、それを基に改良した物を再度テストしに行く感じであった。


基本俺は割り振られた役割が無く、小間使いの様な存在なので、ダンジョンでのテスト以外は割と気楽である。

そんな俺より気楽な無職状態の皇帝君は、何やゴソゴソと、アーカイブを調べたり、ドワーフの親方とは別のアタッチメントの製作をしようとしているみたいだ。


「ねえ、何か楽し気に作ってるみたいだけど、何作ってるの?」と俺がそっと皇帝君の後ろに回って肩越しに声を掛けると、ビクッとして、額にを汗を掻いいた。


「脅かすなよ!兄弟、いや、対した物じゃないけど、ほら、魔法発動用のアタッチメントを考えてたんだけど、要は火力さえ在れば細かい魔法発動の必要無いかなって思ってね。」と言いながら、漸く観念した様に試作中の物を俺に見せてくれた・・・。


「おい、こら! これ!?本家本元のパワードスーツ用のショルダーアームユニットをアタッチメントにした物じゃ?」と俺が詰め寄ると、「そだよ~!」と緩く応える皇帝君。


「いや、これはアカンやろ!? 威力が過剰過ぎるし。二次被害が出るよ!」と俺が全否定すると、そんな俺を宥めに入る皇帝君。

「別に使う使わないはこちらで判断すれば良い事で、最悪の事態の場合に対抗出来る技術力はあったのに、準備してなくて、結局全滅って、悔いが残らない?」と真顔出来居て来た。


「・・・・」


「うむ、そう言われれば抑止力の核武装的な感じなのか?」と呟く俺に


「そう、それに等しいけど、まあ相手は魔物だろうし、こう言うある程度範囲攻撃出来そうな物も在った方が心強いと思うんだよ。だから、一点突破で弾の必要なレールガンじゃなく、こっちにしたんだ。」と皇帝君が補足を入れた。


何だろう? なんかこれはこれでアリな気がして来た。 普段からフリーで使わせる訳で無く、『ここぞ』で使用許可を出せば良いのか・・・なるほど。


結局、皇帝君の言い分に納得し、『ショルダーアームユニット』タイプの『広域攻撃アタッチメント』の開発を続行する事になったのだった。


秘密基地の真上の地上で、前に作ったテスト用の筐体のコアに接続し、『広域攻撃アタッチメント』の試射を行う事にしたののだが、皇帝君の作った『広域攻撃アタッチメント』の一発目は盛大な爆発音と共に『広域攻撃アタッチメント』ごと吹き飛び、慌てて、俺が何時もの二重シールドを展開してなかったら、2人共価値が残らないところだった。


「こ、皇帝君!!! 何?これ? 爆破テロ? てか自爆テロか? 一歩間に合わなかったら、俺達、あの地面の穴になってたんがけど!?」と俺が碇に撒かせて怒鳴ると、

青ざめた顔の皇帝君が身体を震わせながら、必死で顔の前で手を合わせ、謝って居た・・・。

どうやら故意ではなかったらしいのだが、長くテストで愛用していたテストベンチ用の筐体とコア一式が吹き飛んでしまった。


皇帝君が信用ならないと言う訳ではないが、今度は俺も『広域攻撃アタッチメント』を一緒に製作する事にして、参考にしたアーカイブの情報も一緒に検討し、前回の爆発の原因を突き止め、二度と爆発しないように細心の注意をしながらキッチリ組み上げたのだった。


やはり、テストベンチ用の筐体はあった方が気軽にテスト出来るので、再度それも作り直して、念には念を入れて、本家本元のパワードスーツを着用して、地上でのテストを行う事にした。


「今度こそ、最小限の威力での試射を行う。今度は2人でダブルチェックしたし、大丈夫な筈。」と言いながら、2人共に及び腰で、展開したストーンウォールの裏側で、発射用の遠隔スイッチを伸ばして、覗き穴からコッソリ窺って居る状態である。

皇帝君がスイッチを持ち、「逝くよ! 3,2,1ファイヤ!」とカウントダウンして、ポチッと押すと、「ズッゴーーン!」と言う爆音と、それに遅れて、弾け飛んだ意思などが飛び散ってストーンウォールに当たる音がしている。


今回は爆発も暴発もして居ない様で、標的用に置いてあった大岩が綺麗に無くなっていた。


「どうやら、やったらしい・・・。」と俺が言うと、皇帝君が、さも当然って態度で、ドヤッっていたが、ただ問題なのは、『最小威力』で撃ってこの破壊力は拙いと思う。


現状の『広域攻撃アタッチメント』を『最大威力』で打っ放すと、ヤバイ事になりそうである。


「皇帝君、これ、威力有り過ぎ、もっと抑えないと、被害が大きすぎる。と思う」と俺が告げると、標的のあった場所を見て「確かに・・・」と頷くのであった。


それからは、威力を調節し、破壊しすぎない程度~中規模に破壊出来るぐらいの調節可能な『広域攻撃アタッチメント』を完成させたのであった。


時を同じくして、ドワーフの親方の作る抽出用アタッチメントの試作が終わり、

今度はオーゼリーゼダンジョン第34階層で、ドワーフの親方と実際に近いテストと言う事で、テストベンチ用の筐体に接続した『抽出アタッチメント』を持ち込んで抽出テストを行った。

こちらは、流石、親方の仕事で、爆発する事も無く、一度で期待する結果が得られたのであった。



エリック達や助手君達に任せているゴーレムの製造ラインの方は、順調で、完成品が既に相当数在るのだが、抽出用アタッチメントの製作ラインまで手が回らず、『スノーマン島』鉱山への派遣が出来ない状態である。


ちなみに、定点観測して居るシャドーズからのほうこくでは、火山活動は相変わらずで活発だが、『スノーマン島』全体と言うか、上空からの観測では、どうも島のサイズが、徐々に大きくなっているようであるとの報告が続いている。


最近、俺達の間では、ジョークで、『スノーマン島』が何年もしない内に『スノーマン大陸』に変わるのでは無いか?と言う物がある。


実際に大陸になると、それはそれで面白い。



なんにしても、沈没して、地下資源を採掘する前に島が沈没しない事を祈りつつ、早めに『抽出用アタッチメント』を大量製産してゴーレム軍団を派遣したいところである。


心配で、チョイチョイ確認しに行っているが、鉱山の地下坑道は、未だに健在で、多少落盤箇所はあるものの、埋まってはいない。


漸く抽出アタッチメントを装着した100機のゴーレムが揃った。取り敢えず、各国50機ずつと言う事にして、緊急避難用のドームにゲートで移動し、魔力充填装置を設置し、我が国のガンマを派遣し、現場の指揮官として指揮を執らせる様にした。


これで、ガンマからの定期報告が入るので、当面は安心である。


「じゃあ、ガンマ、宜しく頼むな! 何か異変や緊急事態在れば、通信機で報告入れてくれ。」と俺が命じると、

「ハッ、了解致しました」と言って敬礼して来た。

ちょっと見ない間に細かい芸も覚えたらしい。


あとは、ゴーレム軍団に任せつつ、俺達は製産に力を入れて、増員して行けば良い・・・。



フゥ~、やっとここまで漕ぎ着けたな。と心の中でホッとするのであった。

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