第462話 混ぜると危険

うーん、何故だ?サチちゃん達が初期教育をして居た頃は、あんなに素直で良い子だったのに、何だろう? ちょっと見ない内に粗暴と言うか、逞しくなったと言うべきか?


確かに、凜々しく、強くなったと思うし、これなら、そこらの魔物や賊に早々負ける事はまずないだろう・・・。


とか、思ったが、しかし、対戦相手によって得手不得手があるよなと思い付く。


ゴーレムであるベータの場合、我々の様に武器に魔力を纏わせる事が出来ないし、物理攻撃が有効でない相手への攻撃手段が無かったりする。


元々魔力バッテリーをエネルギー源としているゴーレムなので、魔力自体は持って居るのである。


つまり、改良の方法次第では、武器に魔力を纏わせる事も可能ではないかと思う・・・。


ある意味、創造意欲という意味では夢は広がるな!


話は戻るが、ベータの人格というか、戦闘時の粗暴な言葉は、完全に俺のミスかも知れない。確かに強くはなったが、訓練刀の模擬戦では途端にコルトガさんが憑依したかの様にヤバイ人物になってしまう。

まあ、基本、敵以外は絶対に攻撃しない事を基本原則として植え付けているので、一般人も含み、悪意や害意の無い者には無害だし丁寧なので、きっと大丈夫だと思う。


まあ最悪の緊急停止機能もあるからな。


ただ、ベータに加えガンマの合計2体になった訳だけど、この2体とコルトガさんの組み合わせが、今更ではあるが、非常にヤバい気がする。


このところ、急激に兵達の練度が上がったみたいなんだけど、どうも、その影にこのベータとガンマの存在が影響しているみたいではある。




さて、我が国ではこんな感じであるが、皇帝君の所では、実際にヤバイ魔物が出る辺境の森周辺の村の防御としてに実戦配備してみたらしい。


結果、2つの村で、大きな成果を残し、1体当たりの価格は高いが、辺境の守りとしては最適と言う評価になったらしい。


ただ、皇帝君曰く、魔法を使えないのがご不満で、早々に改良すべきだと。 つまり、鉱山での抽出が出来る様にしたいと言う事の様である。


ただ、単純な防衛任務では非常に良い結果を出して居るので、末端の集落を護る守護神として送り出したいので、纏まった機数を増産したいらしい。


まあ、増産するとなると、また必要となるのはあの稀少な鉱石達である。


何機増産するのかによって、また鉱石の抽出を何処かでしないといけないかも知れないな。


まあ、そう考えると、持ってる在庫の鉱石で増産して、抽出出来る様に改良して、自分達で原材料となる鉱石を抽出させるってのも、ある意味悪く無いプランだな。


そして、そんな流れの中、また同じメンバーが秘密工房に集結し、鉱山での抽出の方法論に関する検討会を始めるのであった。


「で、増産って、何機ぐらい欲しいの?」と皇帝君に尋ねると、「取り敢えず500機は欲しいかな。」とちょっとだけ申し訳無さ気にに言って来た。


「遠慮がちに行ってる雰囲気だけど、凄い軍団じゃん。まさか、大陸の天下統一とかじゃないよね?』と俺が茶化す様に言うと思いっきり首と手を横に振って否定していた。


ちなみに、パワードスーツ1機とゴーレム1体を比較した場合、身体の大きさはほぼ同じで外骨格部分は共有しているのだが、ゴーレムコアや内部の魔力タンク当たりの呼応製部品が多い分、ゴーレムの法が使用する鉱石の量が多い。

使用量の差は大体パワードスーツの1.2倍~1.5倍ぐらいだろうか。



ちなみに、鉱山での抽出をさせたいと言う要望だが、ゴーレムの内部魔力タンクの魔力を使える様に外部への魔力供給ラインを腕の内部に仕込んであるので、現状でもその企画に合う魔動具的なアタッチメントを開発すれば、使えない事は無いと思われる。


これは、パワードスーツと違い、中に人間が入らない事でスカスカなゴーレムと言う事で、エリックが仕込む様にした物みたい。

なので、現在のゴーレム用の基本的な腕のラインは殆ど変更せずに、対応可能と言う事らしい。エリックのファインプレーである。


但し、抽出用のアタッチメント(魔動具)だが、逆にこっちの法が難関で、出来なくは無いのだが、どうしても、魔力ロスが多くなる可能性が高い。


どれだけロスを減らせるかが今後の鍵となりそうである。


あと、武器に魔力を纏わせる件や、他の魔法を使わせたいと言う件についてもこの際、一緒に話し合う事にして、各々意見を出し合った。


武器に関しては、刀にしろ、剣にしろ、ゴーレム専用の物を作り、件のアタッチメントと同じで、魔力ラインのアウトプットから、魔力供給を行って刀や剣側の魔方陣付与で魔力を纏わせる様にするしか無いと言う家油論に至った。


あと、魔法に関しては、オールマイティーには出来ない為、当面必要な魔法毎にアタッチメントを開発して持たせる事にした。

結局のところ、割と泥臭い手段しか思い浮かばないのが非常に残念なのがが、こうして、人間の出来る事をゴーレムにやらせようとする事で、改めて人間って凄いなって感心してしまう。


と言う事で、ちょっと時期的に申し訳無かったりするのだが、再度前回のパワードスーツの製造ラインの時のメンバーに集まって貰う事になって、秘密工場の方でゴーレムの製造をして貰う事になった。


つい最近、やっと解放したばかりなのに、本当に申し訳無い・・・・これも皇帝君側の願いもあるから、しょうがない。


取り敢えず、こんかいのゴーレムだけど、作る時に一気に便乗しないと、また再度人員招集とか面倒なので、皇帝君の所と同じに我が方も500機として、双方の共通在庫や予備パーツと言う事で、更に500機分という、合計1500機を製産する事になったのだった。


再び集まったメンバーに「度々呼び立てて申し訳無い。」と頭を下げると、逆に結構この製造ラインは職人として、刺激にになる様で喜んでくれていた。

それはドワーフの親方も然りである。


そもそも、ドワーフの親方は、王宮の工房の総責任者なので、通常業務もあって、多忙なのである。そんな多忙なドワーフの親方の仕事を増やすのは若干心苦しいのだが・・・。


今回は特に、ゴーレム専用武器の(魔力を纏える)刀の製作と、鉱山の抽出用アタッチメントの製作の方を専門でやって貰う事になったのだが、上手く行けば、自分の所が使う稀少金属が増える事になるので、俺の心配とは裏腹にノリノリであった。



折角集めたみすりるもオリハルコンも、また今回のゴーレム増産で大放出してしまう事になる。


なので、完成したゴーレムを順次『スノーマン島』の鉱山に採掘に向かわせないと、鉱石の在庫が枯渇するので、大変である。


ゴーレムの生産ラインだが、パワードスーツプロジェクトの参加者を再招集した事で、ゴーレムコアの製産ライン以外はほぼ問題無く再開された。


ただ、流石に両国のエリート職人達、かなりややこしいコアの製産の当初こそ、歩留まりが悪かったのだが、専用の魔方陣刻印用のエッジング工作機械を作ってしまい、1週間で歩留まりを改善し、異常に素早く製造する事が出来る様になったのだった。


皇帝君曰く、プリント基板を作る時の工程の応用とかで、「マスキングして、不要部分を削って・・・」とか専門用語を言っていたけど、俺には良く判らなかった。


ただ、今後これを応用すれば、魔方陣を必要とする魔動具の大量製産に非常に貢献するって事だけは俺にも理解出来た。


勿論、今回の抽出用アタッチメントの製作の際にも、この『エッジング工作機械』を使って魔方陣を掻き込んで行く事になる。


ちなみに、初期ロットのベータやガンマ達には現状付いてないのだが、抽出したミスリルやオリハルコンを保管する為のマジックバッグの機能を今回の製産ロット分から、追加する事になっている。


後で、初期ロットのベータやガンマ達にも部品交換で対応してやる予定である。


ちなみに、皇帝君の所でも、2体の初期ロットが兵の訓練に混ざって無双してしまい、兵達や特に騎士たちが奮起して、練度が上がったらしいのだが、「何でいつの間に、あんなに口が悪くなったの? グレちゃったのか?」と微妙なクレームを頂いてしまったのだった・・・。

「まあ、ごめん。強くする為に必要不可欠な儀式だったんだよ・・・。」とだけ謝っておいたのだった。

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