第460話 ベータ・タイプコアの育成
起動テストの翌日から、は、俺と皇帝君以外のメンバーの持ち回りで、『ベータ・タイプコア』改め、『ベータ』君の教育が始まった。
赤ん坊に言葉を教える様に、色々な動作や単語を教えて行くのである。
ベータの凄い所は、ある程度推測?予測?で行動を起こし、周囲に尋ね、正解を蓄積して行く所であろう。
教育を始めて直ぐにサチちゃんが自分の子の様に・・・嘗てのエリックに対するお姉ちゃん風を吹かせた時を思い出させる様につききりで世話を焼くと言うか、色々話し掛けて教えて行く。
3日も経つと、ベータはまるで、前世にあった、愛玩動物用ロボットの様なポジションになっていた。
これで良いのか? と若干不安になりつつも、面倒なので・・・余計な口出しでベータが混乱しないようにという配慮で、口を出さずに任せて置いた。
と言う事で特にやる事の無い俺と皇帝君は、のんびりと、基礎研究に近い事を行っていた。
折角のゴーレムだが、此方の言う事を理解していても、返事が頷いたり、首を振ったりのyes/noだけでは、浮上分と考え、外部スピーカーを使ってのスピーチ機能を追加出来ないかという実験をテストベンチ用のコアに接続して、とらい&エラーを繰り返しているのである。
そんな成果の上がらぬ不毛な日々を過ごしていた俺達オッサンズに、エリックがボソッと一言。
「えっと、ケンジ兄ちゃん、余計な事かも知れないけど、何で『アトランティカ』のアーカイブにあった、『音声応答(音声合成)』に関する英知の
俺も皇帝君もビックリで、俺は既に皇帝君が調べて該当無しって事で新たな方法を模索しているとばかり思っていた。
が、皇帝君は皇帝君で、同じ様に考えて、居たというオチらしい。
「「もっと早く言ってよーー!」」とオッサンズの声がハモってこだましたのであった。
エリック曰く、どうやら、数日前に俺達が何をしようとゴソゴソしているのかを知って、不思議に思って居たそうな・・・。
何か、独自の新しい方法を敢えて模索しているのかと、善意に解釈してくれて居た様だった。
正に、早く教えてくれよ!ってところだ。
てか、まあ、どうせ暗礁に乗り上げてたから、良いんだけどね。
エリックの教えてくれた『アトランティカ』のアーカイブの『音声応答(音声合成)』に関する項目を基にしてコアにテスト用の接続した結果、今までの苦労や苦悶は何だったのか?と問いただしたくなる程にスンナリとテスト用のコアは言葉を発した。
まあ、俺達の言葉に反応して、同じ言葉を繰り返すだけのオウム返しではあるが、 まるで赤ちゃんがお母さんの言葉の真似をして「ママ」って言う様名感じである。
俺達は、直ぐに、ベータへとこのスピーカーと『音声応答(音声合成)』のユニットをベータのコアに接続し、若手達に委ねたのであった。
「ベータちゃん、聞こえたら『はい』って返事してみてね。」とサチちゃんが言うと、
ベータが頷きながら「はい・・・。」と初めて音声で返答を返したのだった。
「「おーーー!」」と歓声を上げて、パチパチと拍手する俺達。
◇◇◇◇
更に2ヵ月が経過すると、赤ん坊同然であったベータは、とても人間らしくなり、普通の大人同様に受け答えも出来る、何だろう、アンドロイド的な存在になっていた。
しかも、驚く程に賢く、文章も本も読めて、意味も理解しいる様だ。
暗算なんか、滅茶苦茶速く、人間顔負けの処理能力を持っていた。
唯一の欠点は、定期的に、魔力バッテリーにチャージしないと行けない事ぐらいであった。
俺達は、一旦、現状のベータのメモリーを複製体用のコピー元とする為にバックアップを取った。
これで増産したとしても、このバックアップをコピーすれば、初期の赤ん坊同然の状態をスキップして、実用に耐える状態でリリース出来るだろう。
「何か、一気にSF映画のSWっぽくなって来たね!?」と嬉し気な皇帝君がに前世で有名な某「星間戦争」の名前を挙げてきた。
「ああ、あれだと金色の通訳ロボット?」と俺が尋ねると、「まあ立ち位置的には、白いズングリムックリの解析とかナビゲーション用の丸っこい方かな?」と考えながら言っていた。
「あの白いお揃いのアーマーを着た兵隊達って、人間だったよな?」とうろ覚えの俺が尋ねると、「ああ、あれって、一応人間だけど、クローン兵じゃなかった?」と俺の知らなかった情報を教えてくれたのだった。
そうか、じゃあ、ベータの量産型の立ち位置は、あの白いアーマーを着たクローン兵的なポジションになるのかな?
漸く形になったので、両国のテスト運用用のゴーレム(ベータシリーズ)を数体作る事にしたのであった。
一応うちの方の利用目的で言うと、治安維持や衛兵的な用途が考えられる。
現状では、単純作業等は出来ても、戦う術を知らない状態なので、鍛錬というか、戦う術・・・剣術等を教え込む必要がある訳で、そこら辺は、その道のプロであるコルトガさんに任せるしかないかな。
と言う事を皇帝君と話して居ると、皇帝君が話に乗っかって来た。
「えー、それ良いじゃん、じゃあ、剣術を習得したところをベースにしてバックアップ取れば、これからの生産分は全部最低限の防衛任務に使えるし。」と皇帝君がその状態での量産を推して来たのだった。
「まあ、一応、どんなものか、やってみないと何とも言えないんだけどね・・・。」と一応了承したのだっった。
人の訓練と違い、剣術の型や模擬戦による実際の戦闘ケーススタディの蓄積が目的となる。
ベータの場合、筋力や身体に覚え込ませる様な肉体的な修練では無いので、多分、それ程時間が掛かる訳では無いと思う。
俺は、ベータを王宮に連れ帰り、コルトガさんにベータを紹介し、ある程度戦える程度に剣術を教える様にとお願いしたのであった・・・。
「ほう!? これが、
俺はlコルトガさんの呟きに不穏な気配を感じ、念の為「ああ、だが、ベータは大事な最初の1体だから、ヤリ過ぎて壊すなよ!」と釘を刺しておいたのだった。
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