第269話 城でホットな3人組と収穫祭
激痩せして超イケメンとなったコナンさんだが、動きがおかしい。
「う、上手く歩けないんだな!だな!!!」
何か1人で焦っている。
「ああ、なるほど! そうか! 今まで長年のバランス感覚と実際の身体とのズレが大過ぎるのか!」
「なるほど! では、本日はここまでにして一旦もどりましょうぞ!」
コルトガさんの提案に従い、城へと戻ったのであった。
城に戻ると、スタッフが大騒ぎし出す。
「だ、誰?」
「え? 嘘!?」
「え!? あの魅惑のお腹が!?」
どうやらデブ専の方が1人混じっている様だが、全員がコナンさんの変身っぷりに驚いて固まっている。
そんな中、当の本人であるコナンさんだは、何か身体が馴染まないので寝るとフラフラぎごちなく歩いて部屋に戻ってしまったのだった。
そんなコナンさんの後ろ姿を目で追いつつ、
「ケンジ様、その薬作れたら、バカ売れしそうですね。 特に脂っこい貴族とか豪商とかに。」
とステファン君。
「ああ、確かに売れそうだけど、材料がなぁ~。 多分揃わないだろうな。」
そう、材料がもの凄い種類必要で、色んなレアな薬草や魔物の肝等が必要なのである。
「あれ一本作るのに、100種類を超える素材が必要だから、現実問題難しいね。」
◇◇◇◇
あれから3日が過ぎた。
まだ部屋からコナンさんが出て来ない。
コナンさんが部屋から出て来ないので、翌日の昼に心配になり部屋の中に入ったが、ベッドでスヤスヤと眠っていた。
特に異常がある訳では無かったので、1日に2回確認はするものの、自然に目が覚めるのを待つ事にしたのだが、本日やっと目覚めたらしい。
「おはようございます。」
コナンさんが俺の服のまま登場した。
「おお、どう? 身体の具合は? 少しは馴染んだ?」
「ん。 寝てスッキリしたらリセットされた感じで、動き易くなった。」
と笑顔で流暢に喋るコナンさん。
どうやら、あの正常化神薬は、心の傷やトラウマ等の異常状態も正常化してくれるみたいである。
これが本来のコナンさんなのであろう。 良かったよ。
「フフフ、そうかぁ。 じゃあ後で服を揃えに行かないとだね。」
実は、あの『正常化神薬』を詳細解析Ver.2.01大先生で見た時、『女神エスターシャ様がケンジさんの為に作らせた』という一文があったんだよね。
あの時は、俺別に異常な所は無いから、勿体無いね。 じゃあ肥満状態のコナンさんなら効くんじゃないかな?
って飲んで貰ったんだけど、もしかすると俺の心の傷?トラウマ?を消す事を考えてくれたのかも知れないね。
ありがとう、女神様。 でもコナンさんに使った事には、全然悔いは無い。
俺の心の傷?は時が解決してくれるだろうし、幸いな事に仲間にも恵まれているし、俺はきっと大丈夫! だと思う?
コナンさんが新しい身体(嘗ての体型)での戦闘に慣れるまでの間、俺は各国の来賓の皆さんをお見送りしたりして過ごして居た。
予想通りではあったが、クーデリアの王子様、王女様達は、帰りたがらず、居残りを希望したらしいのだが、側近達の努力で阻止され、泣く泣く帰って行った。
帰り際に、「絶対にまた来ますからぁ~~」と馬車から身を乗り出していたのだった。
一番厄介だったのが、魔王さん御一行。
「え? 面倒だから帰らなくても良いんだけど?」
とか夫婦して居座る気満々だった。
それを何とか宥め賺して、やっと帰って貰えたのであった。
そして、別人28号となったコナンさんだが、かなり身体に馴染んだ様で、最後の魔王さんご一行様のお見送りを終えて城に戻ると、今をときめく『エーリュシオン城イケメン3人組』となったコルトガさん、コナンさん、サスケさんが、少女漫画に出て来そうなキラキラオーラをバックにして、爽やかな笑顔で汗をタオルで拭いているところであった。
その後ろの柱の奥からは、某家政婦の様な姿勢で、メイド達が目を爛々と光らせている。
コルトガさんも若返って、イケメンというか、口さえ開かなければ、ちょい悪風で渋いんだよねぇ。
ふむ、確かに3人が汗を拭きながら微笑み在って居る図は絵になる?
お、俺? 聞かないで欲しい。 いや、別に……う、羨ましくなんて無いんだからね!?
メイド達の中では、コナンさん着ぐるみ説という都市伝説が生まれているらしい。
デブってたコナンさんは、着ぐるみで、中身が今の状態という話であえる。 『信じるか信じないかは貴方次第』と締め括るまでがセットらしい。
しかし、こうして客観的に見ると、やっぱり外見一つでここまで大きく変わるのか……とちょっと寂しい気持ちになってしまう。
まあ、俺も前世では良くて中の下? いや、下の上? どっちにしても胸を張る事の無い外見だったからなぁ。
コナンさんの準備が終わった様なので、『じゃあ、そろそろダンジョン再開か!』と意気込んでいたのだが、ステファン君からの待ったが入った。
どうやら、ドリーム・シティの方も落ち着いたので、明後日は延び延びになっていた収穫祭を『本格的』に行うらしい。
今年の収穫祭は、折角広い会場があるんだから!という事でドリーム・シティで行うらしい。
「ケンジ様はまたスピーチあるので、ダンジョンは収穫祭が終わってからにして下さいね!」
とステファン君に釘を刺されたのだった。
「収穫祭かぁ。 折角だし何か新しい屋台でも出せる様な食べ物を考えたいな。」
リビングのソファーでボーッとしながら呟いていると、
「面白そうですね! 私も一枚噛ませて下さい!!」
とアケミさんが乗って来た。
「そう? じゃあ一緒に何か考えようか。」
と俺が言うと、凄く嬉しそうに「はい!」と返事をしていた。
後でメイドさんから聞いたのだが、最近建設だ、ダンジョンだと放置が多かったので、「こ、こんな事ならダンジョンに無理にでも着いていけば良かった……」とため息の連続だったそうな。
なんか、ちょっと申し訳無い気分になってしまったのだった。
さて、秋祭りに出す物……俺は、焼きそばとオーク肉で作ったフランクフルト?にホットケーキ用のタネを纏ったみんな大好きアメリカンドッグをチョイスし、屋台を作成した。
アケミさんはおでんを提案したのだが、結局仕込みから火が通るまでに時間が掛かる事と種類が多過ぎるので回転率が悪いので、今回の秋祭りには間に合わないと断念。
一番時間を食ったのは、何と言っても、アメリカンドッグ用の串を作る魔道具と専用のフライヤーを開発する事であった。
アケミさんと2人で協力し、焼きそばを作る練習をしたり、作り溜めのストックを増やしたりしたのであった。
準備は万端である。
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