第204話 本職の方を発見!

奴隷商では、部位欠損があったり、疾患や病気のある7名と契約し、そのまま馬車で購入した敷地まで運び、何時もの様に敷地内を魔改造した。

そして、屋敷の中に入ってから、彼ら男性4名女性3名の治療を行ったのだった。

まあ、ここら辺は何時もの事なので、省略するが、男性はグロムさん(33歳)、ラリーさん(30歳)、サスケさん(27歳)、ケイルさん(18歳)で、

女性がシャーリーンさん(25歳)、マリーンさん(21歳)、クロエさん(18歳)である。


そして、何とサスケさんはこの国で初めて見るイメルダ出身者であった。

サスケさんもアケミさんを見て驚いていたから、やっぱりこの国でイメルダ出身者は珍しいのは間違いない。

俺がサスケさんに大きく惹かれた理由の一つは確かにイメルダ出身者という事であったが、もう一つは彼のスキルや元の所属であった。

彼は生粋の忍者の家系の人であったが、任務中に片腕を無くし、お役御免となって冒険者となった。元々のスペックが高いのでそれなりに暮らして行けてたのだが、アルデータ王国の動乱に巻き込まれ、クーデリアへと渡るのだが、例の大森林を突破する際に、シャドー・スパイダーの毒にヤラれ、ギリギリのところで助かったらしい。

だが、治療費が払えずに借金奴隷墜ちとなった。

また、左腕が無いだけでなく、毒の影響で一命は取り留めたものの、頼みの右腕も動きが悪くなり、売れ残って居たという訳である。

剣術、忍術、魔法適正、どれを取っても元は高スペックであった。 とくれば、契約しない訳が無い。

彼には拠点に同行して貰う事にした。(俺の中では)

更に当然の様に、コルトガさんと意気投合して、2人で肩組してガハハハハと笑い合う仲になっていた。

馴染むのが早いな、おい。



身体的に訳ありの7名であったが、治療した結果、全員完全に復活である。

全員の忠誠が100%になったところでリリースを発動して、全員を奴隷から解除したのだった。


ここの責任者は最年長のグロムさんにお願いした。

ここに残る6名の仕事は、他と同じで、海産物や塩の購入と砂糖の販売、宿舎に孤児を受け入れた場合はその世話である。

以前に一応ガバスさんに聞いてみたのだが、クーデリア国内でも流石に王都より東側までは手が伸ばせないから、もし自分で売るなら好きにして良いとの事だったので、こちら側で砂糖を販売する事にしたのだった。

やっぱり、こう言う仁義は大切だからね。特に友人だし。




兎に角、格好が格好だったので、取りあえず全員に普通の服を出してやり、全員に着替えを購入して来る様に言って支度金を支給したのだった。

勿論、サスケさんには、別途例の黒装束とブラック・オーガの鎧セット……右肩だけ真っ赤だけど…… それに刀と小太刀、それにクナイを渡した。

それを見たサスケさんは目を輝かせ、片膝を付き、恭しく刀を両手で受け取りつつ、

「このサスケ、この命尽きようとも、主君の影となり、一生お仕えする事を誓い申す!」

とこれまた大袈裟な感じになってしまった。

「いや、そこまで堅くならないで良いよ。勿論お願いとかはするけど、基本自分の命優先なのは当たり前だから。

他のみんなにも言ってあるけど、命を大切に、ね?」

というと、


「ははっ! サスケ、深く感動しております! もう片腕となった際に人生終わったと思っておりましたが、何と素晴らしい主君に巡り会えた事か。

拙者が腕を無くし、奴隷に堕ちたのは、主君と巡り会う為の必然でござったか。 僥倖でござる。」


ああ、やっぱコルトガさんの仲間だわ、これ。

しかし、やっぱり忍者職ってあったんだなぁ。 何やってたんだろうか? 諜報活動なのかな? という事だと何処かの領主とか、国とかが雇い主だったのだろうか?

そこら辺の情報は詳細解析の説明に無かったからなぁ。




やっぱり、本物の忍者は一味処か、俺の様な付け焼き刃とは物が違うね!

午後から一部忍者の技を見せて貰ったんだけど、凄いの一言だった。

『あの』コルトガさんも「ウーーン」と唸っていたからねぇ。

魔法とスキルや人の心理を突いて、スッと目の前から消えるのはビックリだったよ。

まあ、種明かしをしてくれたので理解したけど、目から鱗だったね。


クナイも投げて使うだけではく、城壁を登るのに使ったり、色々と凄かった。

サスケさん自身は魔法で空は飛べないけど、仕込みを追加した黒装束(何か自分で魔改造したらしい)でムササビの様に滑空するんだもん。ビックラだよ。


まあ、特に忍びの任務がある訳じゃないんだけど、いやぁ~出会えて良かった。マジで。

何か、子供の頃の夢が叶った気分だよ。やっぱり忍者って子供の頃一度は憧れるよねぇ~。フフフ。

リックなんて、目を丸くして魅入っていたからねぇ。



そして、俺はそんなスーパーなプロの忍者を思いっきり泣かしてやった。

夕食の時間、勿論イメルダ料理で!


もう何年もイメルダ料理食べて無かったんだって。

大の大人がオイオイと泣いてたよ。 判るよ! 俺もそうだったからね。


肉じゃがや、キンピラ牛蒡、冷や奴や、山芋短冊から始まり、ここの市場で仕入れた魚で作ったつみれ汁。

そしてアケミさん作のお刺身の舟盛りをドーーンと置くと、目を丸くして居た。


「拙者、まさかこんな遠く離れた地でイメルダ料理を頂けるとは夢にも思わなかったでござる。ああぁ~美味しい。」

と感極まっていた。


アケミさんも気持ちが判る様で、そんな姿を見て目に涙を溜めていたし。

俺がゲンさんの所で飯食ってた時って多分こんな感じだったんだろうなぁ。


尤も他のメンバー達にはいきなりイメルダ料理はハードルが高いだろうと思って、オークステーキやサラダ等の通常の料理も出してあげている。

彼らは彼らで感激しながら食べていた。


そして、夕食後、これはスタッフ全員であるが、初めて入る温泉にメロメロになっていた。

女性陣とかは、「夢の様です。ああ、生きるって素晴らしいです!」とかシミジミと呟きながら、嬉し泣きしてた。


そして、

「こ、これに毎日入って宜しいのでしょうか!?」

とキラキラした目で聞いて来た程だった。


そして、部屋割をした訳だが、与えられた部屋にも感激してくれていた。


翌日は朝から、「お、おはようございます。」と挨拶した後、「良かった、夢じゃなくて。」と小さく呟いていた。

新しいスタッフとなったこの7名はそれぞれ今まで苦労の連続であったらしいので(By 詳細解析Ver.2.01大先生)、ジックリ幸せを噛み締めて欲しいものである。

ちなみに、この日に労働条件や業務の事やこの屋敷の秘密等を説明した訳だが、やはり驚きの連続だった様である。フフフ。

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