第149話 閑話:ゴライオスの守護神2
「グロな内容を含む為閲覧注意、嫌いな人は読み飛ばし推奨」
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えーー、え? 何? 何で私ったら、こんな大の字で貼り付けになっているの?
それも自慢の騎士服を剥ぎ取られちゃってるじゃない!!!
あ、部屋に誰か入って来た。え?何? この汚い臭い男は?
「クックック、気が付いたかい? 間抜けな騎士さんよ? 騎士ゴッコは楽しかったかい?
ほら、聞こえるか? あの悲鳴? あれはお前さんが連れて来てくれた上玉の侍女と俺好みの女の子の悲鳴だぜーー。ゲヘヘヘヘ
大丈夫だぜ? お前さんには特にジックリと色々と仕込んでやるからなぁ。ゲヘヘへ」
こうなったら、勇者様の伝記にあった、魔法の呪文、『テンプレ』を使うしかないわ!
「な、何を!! ク、辱めを受けるくらいなら、いっそ一思いに殺せ!」
さあ、どう? グーの根も出ないでしょ?
「ガハハハハ、何だそりゃあ? 殺しちゃったら悲鳴上げられないだろう? もっとジワジワ嬲ってやるからよ。ウヒヒヒヒ
まずは、お仲間の悲鳴を精々楽しんで、今から興奮しておきな!」
あれ?おかしいわ! なんでテンプレが効かないの?
本の通りの呪文なのに……。
周囲の部屋からの悲鳴や変な喘ぎ声、下品な怒鳴り声や呻き声が聞こえてる。
もう何週間もこの姿勢でトイレにも行かせて貰えず、飲み物と腐りかけた様な匂いのスープだけの日々……
おかしいわ!何かが違う。
そんなある日――もうあれから何日経ったか、判らない。周囲の部屋からの呻き声も変な喘ぎ声も聞こえなくなった。
突然、怒鳴り声が聞こえ、その後静かになったんだけど、一人の凄い美形の男性が入って来た。
こ、こんなに整った美形の方は見た事もないわ!
しかし、私はこんな大の字の格好で貼り付けにされ、はしたなく排泄物も垂れ流し状態。
再度テンプレの呪文を唱えた。
「だ、誰だ!? 辱めを受けるぐらいなら、一思いに殺せ!」
すると、テンプレが効いたのか、一瞬驚いた顔をする金髪の美形の男性。
「Aランク冒険者のケンジです。安心して下さい。助けに来ました。」
ケンジ様は直ぐに私の手足の拘束を解いてくれたのだが、手足の感覚が麻痺してしまってて、前に倒れ込んだ。
するとケンジ様がシッカリとまるでお伽噺の主人公の様に受け止めてくれたの!
ああ、良い匂いがするわ! と思った瞬間、これまで毎日欠かす事のなかったお風呂とローズマリーの香りの香油のお気に入りセットを使って無い汚物塗れの状況を思い出し、思わずお礼ではなく、
「クッ、何日もあの状態だったが為に手足が動かないのだ。だからといって、無礼は許さぬぞ!」
と言ってしまった。
こ、これはお姉様譲りのツンデレよ?
一瞬ケンジ様の身体が強張った気がしたが直ぐに
「大丈夫です。すぐに治療しますから。」
と言って、身体が光り、汚物塗れで手足の感覚も無かった私の身体に血が巡るのを感じた。
そして何故か身体も服も綺麗になった気がする。
あれ!? え? ま、魔法なの? も、もしかして賢者様!?
そこで私は、守護神として
「すまぬ。助かった。他にも沢山捕まっている人が居る。申し訳ないが、助けて貰えぬだろうか?」
とお願いした。
「ああ、ご心配無く、既に全員助け終わってます。あなたが最後でした。暫くここで休憩していて下さい。」
え?何?真っ先に伯爵令嬢である私ではなく、私が一番最後って何よ?
庶民如きより、真っ先に救うべき尊い血筋なのよ?
しかも、驚く事に私を抱きかかえてお姫様抱っこする訳でなく、そのまま地面に横たえたのよ?
何してるの! こんな扱い、お伽噺でも無かったわ!
え?何でそんな嫌そうな顔をするの?
地面の上に皿と水のコップを置いて私を置いて行く!?
「置いて行くな! ちょっと、私を誰だと思って居るの? 伯爵令嬢よ! 何してるの?敬いなさい!!」
と出て行く後ろ姿に叫んだけど、無視して行っちゃった。
「なんなのよーーー!!!」
取りあえず、徐々に身体が動く様になり、手を伸ばしてコップの水を飲むと、
「うまっ!」
思わず下品な言葉遣いになってしまったわ。
何、この水、とても美味しい。サンドイッチも滅茶苦茶美味しいわ!
アッと言う間に食べ終わった頃、漸く身体がまともに動く様になり、置いて行かれて数十分放置だったけど、ヨロヨロと立ち上がったわ。
こんな時でもちゃんと訓練の結果が出ているわ。フフフ。
やっとの思いで、洞窟から出ると、そこには既に20人ぐらいの人が救助されて集まっていたの。
私の侍女達も救われた様だけど、意識が戻って無いみたいで、次々と一番豪華な馬車へと4人が運ばれているの。
見たところ、この中で一番地位が高く適正も兼ね備えているのは私の様ね。
何か、ケンジ様の横には、ここら辺では見かけないお隣のイメルダ人の綺麗なお人形さんの様な顔立ちの女性が付き従っていて、あれこれと庶民の救助者の面倒を見たりして、時折ケンジ様と親しげに微笑みながら話している。
ここは守護神たる私の出番だわね。空気を読まないとね。
「私はアーデリル・フォン・ゴライオス、ゴライオス領主の次女である。
またの名をゴライオスの守護神だ。ここは、私が指示を出すべきだろう。」
と言ったんだけど、みんながシラケた様な顔をして諫めて来た。
あれ? 何で私が責められるの?
ちょっと、意味不明なんですけど?
そして、私も一番豪華な馬車へ乗ろうとしたら、ケンジ様から何故か底冷えする様なゾクゾクする様な目で見られ、
「あー、じゃあ申し訳ないけど、あなたとはここまでで。
こちらは善意で助けただけですし、特に依頼を請けた訳ではないので。
それだけお偉い方なら、ご自身の身ぐらいご自身で何とでもなるでしょうから、自力で戻って下さいね。」
と言い放たれた。
ちょっ!
「な、何を言う!? 私はアーデリル・フォン・ゴライオスだぞ? ゴライアス伯爵家の次女だぞ?」
と貴族に対する振る舞いを諫めてやったのだが、
「はぁ。だからどうしたんですか? ここは別にゴライオス領でもマスティア王国の領土でも無いですよね?
私に何の関係があるんですか?」
とケンジ様が言う。
更に増長した庶民ごときが、
「おいおい、幾ら伯爵様の次女様だろうと、助けて貰っておいて、その態度はないんじゃねぇ~か?」
とか
「わぁ~、あれはないですねぇ。普通子供でも助けて貰ったらありがとうってお礼言えるのにねぇ。」
と虎の威を借る狐の如くに追い打ちを掛けて来る。
クッ、庶民如きが!!
「クッ……わ、判った、ここは従おう。」
一応、ここは空気を読んで私が引く事にした。
私は出来る女なのだ。
「いえ、従って頂かなくて結構です。」
何故だ! 何故ここまで下手に出て居る私を置いて行こうとする?
あ! あれか!! Sとかってアレなのか?
私は意図を読み、慌ててこう言った。
「あー! 待て! 待ってくれ! 悪かった。頼む、乗せてくれ。」と。
すると、やはりそう言う趣旨だったようで、ケンジ様は凜々しいお顔で、私を盗賊の檻の馬車の御者席に乗る様に言った。
なるほど、なかなかに凝った趣向だ。
まあ、良い、こう言う趣向?性癖?というのもアリなんだろう。
こう見えて私も淑女の嗜みとして、色々な書物には日々目を通している。
ああ、判るぞ! その意図する趣向が! でもイキナリ乙女な私に対しては、些かハードルが高いのだが。
しかし、夕暮れが近付いた頃、またこの純潔の乙女の私に対し、ケンジ様のSが炸裂した。
庶民に対して寝床を提供する為に魔法で小屋を作っていたが、当然貴族の私は、専用の小屋と風呂を所望した訳だが、なのにだ!
「あー、本当に面倒で迷惑な人ですね。
クッコロさん、あなたは自分の置かれている立場を理解してますか?
あなたは、私のお情けでここに居るんですよ?
ちゃんと理解されている他の方々は助けたいと思いますが、あなたの様な態度の方は、助ける気すら起きませんよ?
そんなに偉い方なら、ご自分の力で生きて下さいよ。」
な!何だ!? クッコロ?? 何だその暗号は? 勇者様の伝記にも無かった暗号である。
私は思わず、
「クッ! だ、誰がクッコロさんだ! 私にはアーデリル・フォン・ゴライオスという名があるのだ!」
と主張したのだが、いきなり、目に見えない壁?の様な物に押し出される様に皆から離され、中の音も聞こえなくなった。
全然理解が追いつかない。
こ、これがあの勇者の伝記にあった有名な『放置ぷれー』とか言う高度なテクニックなのだろうか?
とにかく、ここは一つ、中に入れて貰わねば、守護神の役目も果たせない。
すると、フフフ、ケンジ様が私の傍までやって来た。
私は期待してケンジ様の目を見たのだが、一瞬だけ目の前に小さい穴が開いて、そこからケンジ様が
「ああ、せめてもの情けです。これを渡して置きましょう。」
と剣を1本落として来た。
え? えーーー!? 無い! これは無い!!
「ど、どう言う事だ! 中に入れろ!」
私は必死で大声を上げドンドンと見えない壁を叩いていた。
「た、頼む、早く中に入れてくれ。 私はそう言う高度なプレーにはまだ慣れて居ないのだ!」
何処で間違ったのだろう?
これまでそんな本は読んだ事が無いのだが、何か何処かでテンプレを間違ったのだと思う。
「入れなさいよーーー! 私は伯爵令嬢なのよーー!」
「次は、次は上手くやるから! 入れてくれ!」
「お、お願い、入れて下さい……」
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