第127話 緊急救援部隊出動
長い冬の日々、健二達はソリで遊んだり、雪合戦や雪像を作ったりしつつ、冬を楽しむ。
そうそう、漸くB10~B16がハイ・ホースに進化していた。
何か未だに進化の条件は判らないけどね。
あと、我慢していた甲斐があり、鶏達の数が滅茶滅茶増えている。
現在で200匹以上になっているんだけど、人口が激増したので、まだまだ足り無い。
先々を考えると、ここらで新しい血筋も導入した方が良いだろうな。
鳥の糞等は、ちゃんと堆肥に活用するし、匂いなんかはクリーンを掛けたりしているので、今のところ大丈夫である。
ヒヨコは可愛いんだけど、大人になっちゃうと、可愛さが無くなると思っていたんだけど、何か育てていると、愛着湧いちゃって、食べる気にならないんだよね。
フフフ、俺が鶏小屋(という名の巨大倉庫)に入ると、嬉し気に寄って来て、足とかツンツンと嘴で突いたり、「コッケー」とか叫んだりして来るんだよね。
可愛い奴らだ。
そんな冬のある日、ドワースの別荘から緊急支援要請が入った。
何でも爆発的な勢いで高熱を発する伝染病が勃発したとの事である。
ドワースの別荘では、ユマちゃんやアズさんの弟妹が発症しているらしい。
話によると、どうやら乳児と大人は大丈夫っぽいのだが……
何だろう? おたふく風邪とかハシカとかインフルエンザ的な物なのだろうか?
スタッフや住民らに心当たりを聞いたが知らないらしい。
兎に角、一刻も早くと、ドワースへとソリで出発したのだった。
マダラとB0のコンビのソリは俺とアケミさんとリサさんを乗せ激ッパヤで新雪の上を疾走して行く。
「ギャーーーーー こ、コロされるぅーーー!」
とリサさんの人聞きの悪い絶叫が静かな街道を駆け抜けて行く。
「あらら……、リサさんはまだこのスピードダメだった?」
と俺が呟くが、リサさんの絶叫で掻き消されている。
30分ぐらいすると、息切れを起こしたのか、叫び疲れたのか、リサさんが「えへへ」と薄笑いを浮かべていた。
「しかし、マダラちゃんとB0ちゃん達は速いですねぇ。流石です!」
とアケミさんは平気な様子であった。
城門をサラッと通過して、人気の無いメインストリートを疾走してドワースの別荘に辿り着いたのは、連絡が入ってから約3時間後であった。
挨拶もそこそこに子供らが寝かされている部屋に入り、直ぐに詳細解析Ver.2.01大先生で確認すると、
『詳細解析Ver.2.01』
***********************************************************************
名前:ユマ
年齢:4歳
誕生日:5月19日
父:ジョン
母:ヤリス
種族:人族
性別:雌(未)
好意度:100%
忠誠度:100%
敵意:0%
婚歴:無し
身長:90.3cm
体重:18.2kg
B:34.9cm ---カップ
W:35.3cm
H:39.2cm
称号:
職業:
レベル:1
【基本】
HP:2(※元15)
MP:1(※元18)
筋力:8
頭脳:12
器用:10
敏捷:10
幸運:31
【武術】
【魔法】
風:Lv0
無:Lv0
【スキル】
【加護】
【状態】
精神:意識混濁
肉体:脳障害 内臓障害
健康:減魔ウィルスによる魔力減少により衰弱中
【経歴】
ラスティン子爵家で執事をしていたジョンとメイドをしていた、母ヤリスの子として生を受ける。
両親の奴隷墜ちと共に奴隷となったが、健二に救われた。
弟も生まれ、幸せに暮らしていたが、減魔ウィルス(亜種)に感染してしまい意識混濁中となった。
【展望】
両親の愛に育まれ素直な良い子に育っていますが、今回のアルデータ王国の破壊工作による減魔ウィルス(亜種)騒動で瀕死の状態です。
上級魔力ポーションと上級解毒ポーションの併用で治療が可能です。但し疾患を併発している場合には、別途その疾患の程度に応じて対応可能なグレードのポーションが必要。
又はポイズン・キュアとハイ・ヒールにて回復が可能でです。
一刻を争う状態なので、早々の治療してあげてください!
【※減魔ウィルス(亜種)に関して】
[>>続きはこちら>>]
***********************************************************************
ヤベーな! おい! って今回のこれってアルデータ王国の破壊工作かよ!!
本当に一々イラッとする国だな。
取りあえず、『己を知り敵を知れば百戦危うからず』って言うから『>>続きはこちら>>』をポチッと。
***********************************************************************
【※減魔ウィルス(亜種)に関して】
減魔ウィルスは魔物ドレイン・バットが持つウィルスですが、今回使用された減魔ウィルス(亜種)はアルデータ王国により人為的に毒性を高めた物となります。
アルデータ王が最後っ屁で意趣返しの為に砂糖の商売敵の発祥のドワースにバラ撒かせました。
アルデータ王曰く、
「何が女神だ! 俺は王だぞ! 王の好きな様に出来るのが優れた種族である人族の王だぞ! ワシの利益を妨げる奴は許せん! 幾ら亜人共が死のうと知ったこっちゃない。
くそー、こうなったら砂糖をバラ撒いたクーデリア王国のドワースも道連れだ!!」
だそうです。
許せませんね! 許せませんよね? 女神を侮辱し、何が優秀な種族ですか! 誰のお陰で生を受けたと思っているんですか。
こんな国トットと引導を渡さないと、ダメです! やっちまって下さい!
今ドワースに居るアルデータ王国の商人(に偽装した兵士)が工作員です。
アルツ商会と名乗ってますね。ハゲ……雷光の宿に泊まっている3人組(ガイ、オルテ、マッシー)が居ますよ。
裏工作を専門とする部隊でガイが隊長です。
ああ……減魔ウィルス(亜種)ですが、免疫の無い子供(2~10歳)ぐらいが発病し易い物になってます。
潜伏期間が2~3週間です。
大人も免疫力が低下していると、感染する可能性が高いです。
乳児は母乳に含まれる成分のお陰で母親から免疫を分けて貰っているので、発病し難い様です。
治療後は泉の水と神桃を食べさせるのが良いです。
【特別企画!アルデータ王国制裁案】
例の村に置いて来た女神エスターシャ様の像と石碑は、「ナイスだったわ!」と好評でした。
なので、私からは良い難いのですが、今回もそれで行きませんか?
「あんなアルデータ王国の宮殿なんて潰せば良いのよ! さあ、健二さんの力を思い知るが良いわ!」と女神エスターシャ様も悪い笑……いえ、慈愛の笑みを浮かべておりますよ?
※注意:長くなると拙いので、先に子供達の治療を!!
***********************************************************************
おっと、熟読してしまってたよ。急がないと!!
ユマちゃんとアズさんの弟妹、3名に慌ててポイズン・キュアとハイ・ヒールを掛けてやると、3名の身体が輝き、それまで浅く細切れだった呼吸が落ち着き、真っ赤になっていた顔色も落ち着いた。
ヤリスさんもアズさんも子供らを抱きしめて、号泣しながら、何度もお礼を言って来た。
すまないな。半分は俺が撒いた種みたいだからなぁ。
本当に申し訳無い……。
小さい子も多いので、リサさんとアケミさんに言って、ジューサー(健二が作った魔道具)で桃と泉の水のジュースを大量に作る様にお願いした。
ジョンさんには、至急領主のマックスさんに治療を行うので、子供らを全員神殿に集める様に書いた親書を託した。
そして、雷光の宿のハ……ジェイドさんにも、親書を書いて、アルツ商会の3人を拘束する様にお願いした。
あと、拠点の方へ虎のおっちゃん事ランドルフさんとその仲間、こっちの支援用に10名の腕利きの者、治療等の整理に10名を送り込む様に指示を出し終えると、直ぐに孤児院へと向かい、司祭様に手早く報告してから、治療を開始したのだった。
長い治療の1日の開始であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます