第108話 ヘッドハンティング
昼食をみんなで食べた後、今度はいよいよ奴隷商のウェンディー商会へ行く事にした。
一応、予定している人材は、調理と家事スキル持ちが2人、護衛及びその他で2人、後は臨機応変かな。
健二自身の感覚は、一番最初の頃に比べ、奴隷商への抵抗感というのは薄れており、気分はヘッドハンティングやハロワに募集しに行くぐらいの割と軽い物になっている。
街を歩きながら、俺はちょっと不安を感じたので、アケミさんにこの国でも奴隷の扱いについてのルール等を確認してみたが、クーデリア王国と特に違いは無さそうだった。
そしてやっと辿り着いたウェンディー商会。
「こんなに遠いとは思わなかったな。
というか、これ既に南門の近くだよね? あそこに門が見えてるよね?」
「ああ、そうですね。結構遠い所なんですよね。 南門って普段余り使わないから。」
「あ!そうだ!! じゃあさ、ついでにマダラ達を引き取って、屋敷の方に連れて帰っちゃうか。
帰りもその方が楽だし。」
「あ、それが良いですね。大人数で歩いて移動するのは結構辛い距離ですよねぇ。」
という事で、そのまま南門から出て、マダラ達の居る牧場へとやって来た。
「どうも、こんちは! 馬を7頭預けていたケンジですが、屋敷を買ったので、そっちに移動しようと思いまして、ちょっと早いですが、引き取りに来ました!」
と俺が牧場主に声を掛けると、
「おお!あの賢い馬達のオーナーだな? いやぁ~、おたくの馬っ子凄いねぇ~。」
と牧場主が褒める褒める。
ハハハ、だって人間の言葉判ってますからね。
「いやぁ、威風堂々つぅか、オーラがあるって言うか、家で預かって直ぐにボスになっちまったよ。ハハハハ」
と笑ってる。
<あ!主ーーー! おひさーー>
<主だーーー!>
と俺を発見したマダラとB0が駆け寄って来る。
「おう、暫くノンビリと思う存分走り廻ってたか?」
<うん、主ー、仲間増えた! 一緒に連れてって欲しいって。>
え? 増えただと? マダラがヒヒーーンと嘶くと、2匹の馬がこっちに駆け寄って来る。
<主ー、こいつらも連れてく!>
とマダラ先生。
「あ? え? ちょっと待てって、今聞いてみるから。」
とマダラ言って、牧場主と交渉してみた。
「なんかね、あの斑模様の家の馬が言うには、あの2匹も一緒に連れて行きたいって言うんですよ。
売ってくれませんかね?」
と。
「え? ああ、構わんよ? あいつらさ、結構暴れ馬でよ、なかなか従わないんだけんど、良いのかい?」
このB15とB16(と命名した)がやんちゃ坊主だったお陰で、割と安く購入する事が出来ました。
そしてマダラ、B0に馬車を曳いて貰い、その後ろにB10~B16を引き連れるという、非常に目立つ状態で南門から入ると、衛兵さんも驚いていた。
そして再度ウェンディー商会の前に辿り着き、暫しマダラ達には待って貰う事となった。
「いらっしゃいませ。ウェンディー商会へようこそ。 私は店主のランコと申します。」
と長い黒髪を後ろで束ねた30代ぐらいの美人のお姉さん?が出迎えてくれた。
何か、丸の内辺りに居そうな、出来るOLさん風である。
「どうも。冒険者のケンジと言います。ちょっと人材を探しておりまして、こちらが良いと教えて頂いたのでやって来ました。」
俺達はちょっと広めの商談室の様な部屋へ通された。
「で、どの様な奴隷をお捜しでしょうか?」
「そうですね、調理スキルと家事系スキル、出来ればそれに育児もあれば良いですが、そう言う人を2名か3名、あとある程度屋敷の警備が出来そうな人を2名ぐらい。
後はちょっと特殊なんですが、屋台とかの経験者とか居ると嬉しいですね。」
と俺が要望を伝えると、
「まあ! それは結構な人数ですわね。」
と驚いていた。
「ええ、この街に拠点を購入しましたのでね。ああ、該当するスキルを持って居る方であれば、多少身体が不自由な状態でも構わないです。」
と俺が付け加えると、ランコさんの目がキランと光った(気がする)。
「少々お待ち下さいね」と言って席を立ち、ドアの向こうへと消えて行った。
暫くすると、ランコさんが、奴隷を5名引き連れてやって来た。
「えっと、まずは最初の調理スキルや家事系スキルを持っている者をお連れしました。」
との事だ。
みると、年齢層はザックリ17歳ぐらいから25歳ぐらいの女性である。
そして、筆頭すべきは25歳ぐらいの女性はなんと足下に小さい女の子がヒシッとしがみついている。
気になったのでその女性から調べると、
『詳細解析Ver.2.01』
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名前:ヨーコ
年齢:25歳
誕生日:6月8日
父:ソーセキ
母:キヌエ
種族:人族
性別:雌
好意度:10%
忠誠度:0%
敵意:0%
婚歴:死別
身長:161.5cm
体重:47.7kg
B:84.4cm Cカップ
W:50.1cm
H:86.4cm
称号:
職業:借金奴隷
レベル:10
【基本】
HP:82
MP:71
筋力:95
頭脳:89
器用:67
敏捷:71
幸運:28
【武術】
【魔法】
水:Lv0
無:Lv0
【スキル】
調理 Lv4
裁縫 Lv2
解体
育児 Lv3
【加護】
【状態】
精神:憔悴
肉体:やや疲労
健康:正常
【経歴】
ランドフィッシュ村の出身。
貧しくとも幸せな両親の下に生まれ育った。17歳になった頃、同じ村のサンゾーとマーラックに出て来て、サンゾーは冒険者として働き、ヨーコは商会で働き始める。
やがて18歳で結婚し、やっと子供(サヨ5歳)が生まれて幸せ一杯であったが、1年前にサンゾーが護衛依頼の最中に盗賊に襲われ亡くなった。
以来、必死で子供を育てながら働いていたのだが、子供が病気になってしまい、その治療費の為に借金をし、返済出来ずに奴隷墜ちしてしまった。
【展望】
健気に子を育てる努力家で優しい女性です。
アケミさんと同郷で、アケミさんが小さい頃、よく遊んでくれた人です。
それもあり、健二さんの隣に居るアケミさんを見て、かなり動揺しています。
不運が続き、憔悴していますが、最大の心配事は、ただ娘の事です。
出来ればせめて娘が成人するまでは、一緒に暮らせるご主人の所に買われて行きたいと思って日々女神様に祈っています。
変なご主人に買われた場合、娘が酷い目に合うのではないかと、心配で心配で夜もなかなか寝付けない日々を過ごしています。
娘のサヨは、大好きだった父の死と大病のショックで、現在失語症になってしまっています。
精神的な物なので、安定して安心出来る暮らしをしていれば、治ります。
女神エスターシャ様も心を痛めてますし、私からもお願いします。何とか救ってやって下さい。
[>>続きはこちら>>]
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うん、やっぱり、この展望とか書いている神様って女神エスターシャ様以外の方なんだね。
しかし、アケミさんの知り合いかぁ、世間は狭いなぁ。
と思いつつ、アケミさんを横目でチラリと見ると、目に涙を溜めて、口に手を当てている。
「えっと、取りあえず、そこのお子さんの居る女性は、決定でお願いしますね。
大丈夫ですよ、ちゃんとお子さんと一緒に暮らせる屋敷ですから。
敷地内には、宿舎もあって、そこに子供達も沢山居るから、お子さんも一緒に遊べますよ。」
と取りあえず先に安心させておいた。
さて、他の子はどうかな?
まあ、もう一人何とかしてやりたくなる子が居るんだよね。
顔は大丈夫なんだけど、首から右腕にかけて、酷い火傷の跡が残ってる子が居るんだよね。
可愛い顔立ちなのに、勿体無い。
『詳細解析Ver.2.01』
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名前:エツコ
年齢:18歳
誕生日:5月19日
父:サブロー
母:リエ
種族:人族
性別:雌(未)
好意度:0%
忠誠度:0%
敵意:0%
婚歴:無し
身長:172.1cm
体重:55.1kg
B:83.9cm Bカップ
W:51.3cm
H:84.2cm
称号:
職業:借金奴隷 元Dランク冒険者
レベル:28
【基本】
HP:201
MP:250
筋力:232
頭脳:196
器用:68(※元199)
敏捷:57(※元268)
幸運:138
【武術】
剣術:Lv5
短剣術:Lv4
弓術:Lv3
体術:Lv1
忍術:Lv5
【魔法】
火:Lv3
水:Lv1
風:Lv0
無:Lv6
【スキル】
解体
調理 Lv3
裁縫 Lv1
育児 Lv2
採取
魔力感知
魔力操作
気配察知
隠密
【加護】
【状態】
精神:自暴自棄状態
肉体:重度火傷(首、右肩、右腕、右胸、背中) 右手指癒着と変形 右膝半月板異常
健康:部位欠損による体力減少
【経歴】
マーラックのスラム出身の孤児。
仲間の孤児らと一緒に生き延びて、12歳から冒険者を始めた。稼いだお金で仲間の小さい子らの面倒を見ていた。
努力に努力を重ね、次第に実力を上げ、ランクも上がったが、スラムの火事で子供らを助ける為に瓦礫に押しつぶされて、大火傷を負い瀕死の重傷となった。
子供らは無事だったが、瀕死の重傷からの治療費が払えずに借金奴隷となった。
【展望】
非常に情に厚く、心優しく、子煩悩。頭の回転も早く、有能である。
現在この奴隷商には、エツコが火事から救った子供らも3名居ると、相思相愛の恋人ゼンジロー(19歳)も奴隷墜ちしている。子供ら3名はゼンジローとエツコの治療の為に奴隷墜ちした。
子供らの名前は、ショーコ(12歳)、ナツコ(13歳)、タロー(13歳)である。
その為、自分の事よりも、この4名の事が気掛かりでしょうが無い。何とか出来ないかと非常に心を痛めて居る。
しかし、指の癒着と右膝半月板異常で、以前の様には動けず、見栄えも火傷の跡が酷いので身体でも稼げ無い事にガックリしている。
この子は実にお薦めの人材ですよ? ゼンジローと子供ら3名のセット購入を強く希ぼ……いや、推奨します!!
さあ、セット購入を宣言しちゃいましょう!
[>>続きはこちら>>]
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という事で、この子と更に4名は確定っと。
調理と家事系であと1人選ぶか?いやこの中にショーコとナツコが居ないな。
「えっと、そこの火傷を負った方も決定でお願いしますね。
あとここには居ない様ですが、ショーコって子とナツコって子が居ますよね? その子とタローって男の子、あと、ゼンジローって男性も購入でお願いしたいんですが?」
とランコさんに打診してみると、一瞬驚いた様に目をクワッっと見開き、直ぐに平常状態に戻して、
「よくご存知ですね。ええ、その者らもおります。今お連れ致しますね。」
という事でスタッフに指示を出して呼びに行かせたのだった。
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何時もお読み頂き、ありがとうございます。
ちょっと忙しくしておりまして(^_^;
本日、もう1話アップできそうだったら、アップします。
よろしくお願いします。m(__)m
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