第101話 増えちゃった

翌朝、日の出と共に目が覚めた。

うん、爽快な朝である。


マダラ達は、夜中にテントの横まで戻って来た様だったが、いや、朝からビックリ。


「マダラ君、説明プリーズ。 何で君ら5匹増えてるのかね?」

マダラとB0の横に、何故か5匹新しい馬? いや、ホースが増えている。


<主ーー、こいつらも主に着いて行きたいってーー!>

とマダラ。


<主ー、仲間増えるのーー! 群なのーー!>

とB0。


マジか。ふむー。

しょうがないな。

Bシリーズが増えるのか。


俺は5匹のホースへB10~B14と命名して従魔とした。

「じゃあ、B10~B14、これから宜しくな。

まあ、取りあえず、餌とこれを食べておきなさい。」

と飼い葉の他に、泉の水を桶にいれて出してやり、更に桃等の果物を出してやった。


俺より遅く起きて来たアケミさんも、馬が増えている事に驚いていた。


「あ、いや何かマダラ達がナンパして来ちゃったみたいでね。」

と俺が何とも言えない表情で告げると、苦笑していた。


しかし、あれだなぁ、これ数が増えちゃったけど、どうするかな?

移動は、ロープで軽く繋いで家の子という事を誇示する? それともマダラ達と同じ様なペンダントか。


巾着袋を探して、マダラ達と同じペンダントを首に付けてやった。


<<<<<主さまー、ありがとーー!>>>>>

と喜ぶ新人達。


ちなみに、アケミさん曰く、

「何か凄いですよね! 普通馬って買うと高いんですよ? それが一気に5匹もナンパして来るって、マダラちゃん達ってヤリ手ですね!」

と感心していた。

ちなみにこの新人5匹だが、全員雌である。

心無し、マダラとB0が悪い顔をしている気がするのは、気の所為だろうか?

マダラはマロンに何と言い訳するのだろうか?

馬の修羅場は見たくないなぁ。



まあ、取りあえずは、あれだ、昨日お願いしておいた激ウマなアレを取りに行かなくちゃな。


「じゃあ、取りあえず、朝食は軽くテントで食べて、市場で更なる買い物と、海鮮汁とかの受け取りですね。

その後は、海苔と鰹節の村に行くと。 そんな感じで良いですかね?」


「はい。」



テント内で軽く朝食を済ませてから、市場へと向かった。

昨日学習した様に、おばちゃん達には要注意である。

不用意に隙を見せず、主導権を握られない様にと、ギリギリの戦いを熟して行く。


本日も美味しそうな取れたての魚介類を沢山購入した。

まあこれだけ買えば、1人なら1年ぐらい保つ? まあでもみんなにも分けるから大事に使って1ヵ月無いぐらいか。


はぁ~ やっぱり安定供給の方法を考えるべきだろうな。



そして、昨日の厳ついおじさんから、寸胴を受け取り、行き掛けの駄賃とばかりに、1杯ずつ食べて、ランドフィッシュ村を後にしたのだった。




マダラとB0の速度は新しいメンバーに合わせられ、何時もの様な速度ではない。

<主ー、スピード上げられなくてごめんねー>


一応、マダラも気にしている様である。


「フフフ。まあ、それ程遠い訳じゃないから、良いんじゃないか?」


<うん、ありがと。 早くハイ・ホースにさせるよーー>

と言っていた。

その進化の条件聞いてみたんだけど、何か漠然としていて、良く判らなかった。

単純にあのフルーツや泉の水だけでは無い事は確かみたいだな。



そして、1時間後、馬車はダルカン村へと到着したのだった。


ここでは、海苔や海藻がメインの産物となる様で、市場では魚介類もあるが、圧倒的に海苔や海藻が多い。


俺達は、遠慮無く、海苔を大量に買い、昆布やワカメ、あと海蘊も大量に購入した。


太巻きを屋台で売っていたので、アケミさんと1本ずつ購入して、食べてからダルカン村を後にした。



次は鰹節の村……クレントン村である。

クレントン村だが、一旦ランドフィッシュ村方面へ戻り、更にその先に位置する。

丁度昼過ぎ頃にランドフィッシュ村を通り過ぎ、更に小一時間程走って、漸くクレントン村が見えて来た。


「あ、見えて来ましたね。 あの大きな建物が鰹節を作ってる所になります。

どれ位購入される予定なんですか?」


「うーん、どうだろう? お金的な問題は無いから、買える物なら、ある程度100本とか200本とか買いたいんだけどね。」

と俺が気軽に答えると、


「わぁ~、それかなり凄い量ですけど……どうかなぁ。年間に出せる量って割と決まってるみたいだからなぁ。」


「まあ、俺としても、下手に買い占めてしまって、他に影響出ない様にはしたいから、そこら辺は相談だな。」


辿り着いたクレントン村はランドフィッシュ村程ではなかったが、そこそこ商人達が群がっていた。


「やっぱり、ここも商人達が多いんだね。」


「ええ、鰹節はイメルダ料理の要でもありますからね。 需要が多いんですよ。」



馬車を駐め、製造している大きな製造所の建物にやって来た。


アケミさんが交渉役を買って出てくれたので、お任せしてみる事にした。


「えーー!? そんなに欲しいんかい。 わぁ。嬉しい悲鳴だけど、流石に100本はキツいなぁ。」

と製造所のおじさんが驚いている。

このおじさん、顔が多分に漏れず怖いのだが、驚いた顔は、更に怖い。


「無理の無い本数で多めというとどれ位でしょうか?」

とアケミさんが聞くと、暫く悩んだおじさんは、


「遠い所を来てくれたお嬢ちゃん達には悪いが、やっぱどう頑張って40本だな。

次は先に購入予約入れてくれりゃ、無茶じゃない量なら受ける事が出来るぞ?」


なるほど。俺は鰹節の製造過程を余り良くしらず、燻すだけかと思っていたが、実際には乾燥とかカビ付けとかで120日以上は掛かるらしい。

知らんかったわぁ~。

しかし今から120日って言うと、冬だよな。


「じゃあ、来年の4月中旬ぐらいの100本とかでも大丈夫ですかね?

多分冬の間は動けないし。」

というと、了承してくれた。

なので、取りあえず、30本を今日購入し、100本分の半金を渡して、来年の4月中旬に、残り半金を渡す事で契約して来た。


「もしかすると、代理の者に取りに来させる可能性あるのですが、証書を持参させれば大丈夫でしょうか?」


「ああ、大丈夫だ。美味しいのを作っておくぞ!」

と危ない笑顔で答えてくれたのだった。

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