第48話 仕組まれたシナリオ2 (改)
ジェイドさんの店から冒険者ギルドは近いので、またもや縦一列になって歩いて行く。
この辺りだと、冒険者ギルドに近い事もあって、当時の俺を覚えている人が多いみたいで、
「あ、あの子、ほら3,4年前に居た可愛い顔の子じゃない?
ほら、ホーンラビットを連れてるし。 でも何か凄く増えてるわね。」
とか、
「キャー! あの人見た? スッゴいよ!!」
とか、
「お、あれはあの時の坊主じゃねぇか? 何気に従魔増えてるな。
げ!? 何だあのデカい黒猫は?」
等と言うヒソヒソ声が漏れ聞こえて来る。
まあ、こいつら全員を連れて来る時点で覚悟はしていたし、ある程度は見せて居た方が、後々問題が少ないだろうと思っているのだが、それにしても目立ってしまっているな。
やっと冒険者ギルドに到着した。
入り口から入ると、流石にこの時間なので、ホールに居る冒険者は殆ど数人である。
受付のカウンターを見ると、全く知らない綺麗なお姉さんだらけである。
ホールに入って行くと、その受付カウンターのお姉さんが全員ガッとこちらを向いて、ガン見されている。
実に居心地が悪い。 中には、ポカンと口を開けているお姉さんも居るし。
何か変なカッコウはしていないと思うのだがな。
「きゃ! ネコ? デカいわ!」
「バッカ!あれは、シャドー・キャットだよ。 しかしデカいな。」
と言う冒険者の会話が聞こえる。
うーーん、さてと、どうやったら良いかな? どうもあそこ(受付カウンター)に行くのは悪手に思える。
あ!そうだ!! 買取カウンターのロジャーさんを頼ろう!
と、受付カウンターの前を通り過ぎようとすると、受付のお姉さんから声を掛けられてしまった。
「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ。
何か、お探しでしょうか?」
うーん、スルーさせてくれないのか!
「ああ、どうも。
……買取カウンターに用があってね。 今日はロジャーさん居ますか?」
「ああ、初めての方じゃないのですね。ええ、あちらの買取カウンターに居る筈です。」
と普通に答えてくれた。
ふぅ~。
そして、通り過ぎようとすると、足下に居る従魔に気付いた様で、
「え!? 従魔? キラー・ホーンラビットにシャドー・キャット?
もしかして、貴方がケンジさんですか?」
と受付嬢。
「あ、はい。」
「ああ! 貴方でしたか。 ああ、ギルドマスターが話があると言ってましたので、ちょっとお待ち下さいね。」
とその受付嬢が二階へと小走りに去って行った。
うーん、どうしようかな。
まあ、買取カウンター辺りに居れば良いか?
取りあえず、買取カウンターに顔を出して、ロジャーさんに挨拶する。
「お久です。 お元気ですか?」
と顔おを壁から覗かせて声を掛けると、
「おお!ケンジ君!!待ってたよ! 暫く来ないから、ドキドキしてたよ。
前回の精算も終わってるから、一応サインだけは欲しいんだよね。
もう一応口座には振り込んであるけど。」
と棚から冊子を取って来て、俺に見せる。
ズラリと並んだ明細書とその下に確認のサインをした。
「じゃあ、また買取に出して良いですかね?」
と聞くと、嬉し気に親指を立てていた。
一緒に倉庫へ行き、また遠慮無く、ストップが掛かるまで巾着袋に貯まった魔物を出して行った。
しかし、先日後悔した事もあり、少なくとも必要が出そうな魔物に関しては、2匹ずつぐらいキープする事にしたのだった。
まあ、結局早々にストップが掛かったので、ドンヨリとする倉庫&解体係のサムを残し、ロビーに戻ると、
「あ!居た!! 帰っちゃたのかと、焦りましたよ!」
と受付嬢が口を尖らせていた。
「ああ、素材の買取という、用事あって来たので、先にこちらの用事を済ませてました。」
「まぁ、良いですけど、ギルドマスターが1ヵ月くらいお待ちかねなので。ギルドマスター室にお願いします。」
と言いながら、先導してくれた。
「おお!ケンジ良かったーーー! 来たか。
もう、お前さん、時間空けすぎだって。
もうちょっと小まめに顔を出してくれよーー。」
とサンダーさんが、ホッとした表情をしつつも開口一番でぼやき始める。
「え? でも今度はかなり短期間でやって来たつもりですけど?」
と俺がシレッと返すと、
「いや、まあ3年と3ヵ月じゃあ、確かに短いけどさ、もっと毎週とか、2週間に1回とか、何とかならない?
こっちも色々せっつかれて、大変だったんだよ。
せめて連絡手段あればねぇ。」
とまた同じ様な流れだった。
「で、俺に用があったみたいですが、どんな話でしょうか?」
と聞くと、幾つかあったらしい。
まずは、例の元受付嬢の解放の件と、ドワース辺境伯のお家騒動の件。
この両方で、マックスさんから、お呼びが掛かっていたらしい。
まあ、窓口が冒険者って事で、サンダーさんの所と、ガバスさんの店だったみたい。
更に、別件で依頼したい案件があって、困っていたらしい。
最悪あと1ヵ月待っても俺が来なかったら、大きな犠牲を覚悟で領軍と冒険者で討伐も考えていたとか。
「え? そんな領軍と冒険者の混合チームで犠牲を覚悟する相手って何です?」
と聞くとこれまた驚きの『ダーク・ウルフ』の群の討伐なんだとか。
ドワース領にある北の森に、いつの間にか、ダーク・ウルフが住み着いてしまい、押しやられる形で、森の魔物がちょいちょい近隣の村や街道に出没する様になったらしい。
で、ダーク・ウルフだが、個体はA~Sランクで、群となると、SSランクに相当するそうな。
「マジかぁ……あんなに探していたダーク系がそんな所にポロッと居やがったとは。」
と思わずガクッとする俺。
「え?探してたの?」
と逆に驚かれ、
「ええ、まあ1ヵ月までは行かないですが、かなりの広範囲を探しましたね。
まあ、結局ダーク・ウルフではないですが、ダーク・ハンター・ウルフとダーク・ハンター・ウルフ・リーダーを見つけたんで、もう良いんですけどねぇ。」
と俺が脱力しながら答えると、
「げ! それ、ダーク・ウルフの上位種と更に上位種じゃん。何匹ぐらい居たの?」
と聞かれ、10匹+リーダー1匹と答えたら、
「それ、完全に災害級クラスだよ? やっつけられたんでしょ?」
と聞かれ、頷いたら、凄く嬉し気に、
「おお、じゃあ、ダーク・ウルフなんか楽勝だよね?」
と半ば強引に依頼書を押しつけられる事になってしまった。
いや、まあ討伐自体は構わないんだけどね、何か調子乗って討伐帰りに、ガックリした記憶あるからなぁ。
多少は心も強くなったとは思うけど、ちょっと不安が過ぎる。
そして、北の森の地図や情報を貰った後、サンダーさんに確保されつつ、一緒に領主館へ向かう事になったのだった。
冒険者ギルドから、馬車を用意してくれる事になり、荷台に従魔と載せられて、ドナドナを歌いながら運ばれています。
本来の目的地である、神殿と孤児院のある住宅街へ曲がる交差点を、先程無情にも通過。
まあ、まだ昼の1時ぐらいだから、領主館で長引かなければ大丈夫かな?
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メンテナンスを行い、一部文章の改善等を行っております。基本的な内容には変更ありません。(2020/05/22)
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