第47話 仕組まれたシナリオ (改)

ガバスさんの店を離脱し、西通り沿いを順番に廻って行く事にした。

ガバスさんの店からは、比較的近い商業ギルドへとやって来て、カウンターの受付に、商業ギルドのギルドカードを提出し、口座の金額を確認すると、


「はぁ? オカシイナ、3ヵ月シカアケテナイノニ……」


そこに表示された金額は63億マルカと記載されている。つまり、3ヵ月でまた1億マルカぐらい増えている計算?


「ええ、それで間違いありませんよ? あ、あとギルドマスター室までお通しするように言われてますから。」


そして、そのままギルドマスター室へと連行された。

逃げられない様にか、何気に腕を取られ、さっきから女性特有の柔らかい物が、腕に当たっていて、居心地が悪い。

緊張の余り、歩き方がぎごちなくなってしまうのは、しょうがないだろう。



「待っておったぞ! ポーションじゃ! 前に約束したろ?」

とキャサリンさんが口火を切る。


「あれ? 約束しましたっけ? フフフ、まあ持参してますけど。」


と特級ポーション50本出して見ると、大喜び。


「あと、こんなのもありますが?」

と試作した特級魔力ポーションを出して見た。


すると、手に持って鑑定し、「これもなのか!」叫びながら、大興奮。


結局これも50本お買い上げとなった。


「なあ、ケンジよ。お前さん、もうちょっと頻繁に来るとか、又は連絡手段だけでも何とかならんかのぉ。

こっちも色々と大変なんじゃよ?」

とここでもガバスさんと似たような事を言っている。


「だって、連絡用の魔道具とかって、普及品は無いのでしょ? そう言われてもねぇ。」

と俺が言うと、苦い顔をしていた。


「まあ、ガバスさんからも言われているので、ちょっと手段は考えてみますよ。」


「たのむぞい? なんなら、こっちに家を買って住まぬか? それなら楽なんじゃがのぉ。

もし、家を買うなら、商業ギルドでも多めに補助金出すぞ?」

と言われた。


ふむ……それ程なのか?

まあ、こっちに住む気は全くないけどな。



やっと、商業ギルドから脱出し、そのまま西通りを行くと、ジェイドさんの雷光の宿が見えて来るのだが、これがまたデジャブってますよ、ガバスさんの店と。

宿の前に、ハンバーガーとポテトフライのみを販売する屋台っぽいのを出しているんだけど、何か凄い列が出来て居て、俺の知らないスタッフ達が、店の厨房と屋台を何度も行き来して、商品を補充していた。


「ああ、これはマジで寄らずにスルーした方が良いよな。邪魔になるし。」


<ん?ハゲの店は寄らないにゃか?>

<主ぃーー、ハゲの飯食べようぜーー!>

<ハゲ飯ーー!ハゲ飯ーーー!>

と従魔達が五月蠅く騒いでいる。 主に俺の頭の中で。


「と言っても、あの状態じゃ、無理じゃないか? 後で俺が作ってやるから、ハゲ飯は諦めろ。な?」

というと、従魔達が落胆していた。


何とか諦めてくれたので、ソーッと店の前を離脱し始めた。



と思ったら、ガッシリ肩を押さえるゴッツい手が。


「あ――」


「おい、久々に街に来たと思ったら、俺の店の前を素通りしようたぁ~、良い度胸じゃねーかよ。」

とジェイドさんだった。


「ハハハ。何かえらい繁盛っぷりなので、お邪魔にならない様にとね。」

と俺が言うと、


「まあ、そう言わず、飯食って、俺の愚痴に付き合え!」

とハゲに連行されてしまいました。


どうやら、まだまだ午前10時ぐらいなので、十分余力があるんだそうで。

既にこんなに並んでいるのだが、昼時はもっと地獄になるらしい。


「じゃあ、取りあえず、新作から、食べさせて貰おうかな。」

と俺が言うと、


<<<<<<<<<<<<わーい!>>>>>>>>>>>>

と従魔が大合唱していた。



「さ、俺が再現したケンジのハンバーガーだ、食べてみてくれ!」

と出されたハンバーガーをガブリと一口。


「ほう!よく、ケチャップを再現しましたね。流石です!!」

と俺が褒めると、


「もっと褒めて良いんだぞ?」

とニヤニヤしている。


「まあ、欲を言えば――いや、これ以上の欲は――まあ良いか。」

と俺が言うのを止めると、


「バカ野郎、そんな所で寸止めするなよな! 気になって眠れねぇだろ!」

とジェイドさんが食い下がる。


「じゃあ、言いますよ。 まあ大した事じゃないんだけど、キュウリをバルサミコ酢と塩だっけ? で作ったちょっと酸っぱいピクルスって漬物があるんですが、そうですね、厚さ2mmぐらいにスライスしたのを2枚程入れて、パンの上の表面にはゴマを少々塗して焼くと、更に美味しいと思います。

後は、コストも上がるけど、この具のハンバーグの上に薄くスライスしたチーズを乗せても美味いですよ。」

と俺が説明する直ぐにメモっていた。


「他には無いか?」


「うーん、後は別メニューですが、ミートソースって言う、ドロッとしたシチューっぽい物を中にケチャップの変わりに入れる感じでも美味しいですね。

ミートソースの作り方は~~………」

と説明すると、これまたメモを必死で取っていた。


「おい、今度一度その完成品を食べさせてくれよ!」


「えーー、面倒だな。まあ、俺も久々に食べたくなってしまったから、今度作って置きますよ。」

というと喜んでいた。


「なあ、ケンジ、他にパンに合うこの手の手軽な奴ってねぇかな?」

と研究熱心なジェイドさんが聞いて来る。


「パンか、うーん、あ!あるある! カツサンド! これがまた美味いんだよね。」

というとこれまた食い付く。カツの作り方を教え、ソースについても教えてやった。


「まあ、サンドイッチのカツバージョンって事ですから、パンは食パンが良いですね。

これは冷めても美味しいので、弁当代わりにも出来ますね。」


「ほー! それも今度見本を食わせてくれよな!」

と懇願されて、約束させられてしまったのだった。


「なあ、ケンジ。お前もっと頻繁に街に来いよ。せめて2週間に1度とか。

じゃないと、連絡取れねぇから、スッゴい困るだよな。」

と何処かでも聞いた様な会話が。


「流石に2週間に1度はキツいですよ。」


「そうか? お前の足なら直ぐじゃねーのかよ?」


まあ、確かに周囲の被害や白い目を無視して、全力で走れば2時間ぐらい? 3時間ぐらいか? でもなぁ。


「まあ、他からも似た様な事を言われてるので、連絡手段、考えてみますよ。」


皆さんの気持ちはありがたいのだがなぁ。



そして店を後にする際、

「そうそう、サンダーもお前に話があるような事言って、何とか連絡出来ないか言ってたぞ。

ちょっと寄ってやってくれるか?」

と言われてしまった。


うーん、孤児院に行くのが、ドンドンと遅くなるなぁ。


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 メンテナンスを行い、一部文章の改善等を行っております。基本的な内容には変更ありません。(2020/05/22)


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