第29話 みんなでお出かけ (改)
健二が無事に戻って来ると、待って居た従魔達は嬉し気に出迎えてくれた。
ああ、これこそが、家族だな……幸せだ!
<主、待っていたぞ! さ、早くお土産を出すのだ。>
<待ってたにゃん。 肉の匂いするにゃん。>
<主~ お土産~>
<キャッホー お土産キターーー!>
<肉ぅ~>
と俺の帰りを待ち焦がれた様だ。可愛い奴らめ。
翌日はユックリ起きて、畑を確認して、芽の出た子(植物)のコンディションをチェックする。
そして、最後に仕上げで、『大地の息吹』スキルを発動する。
最近いつの間にか獲得したこのスキル、どうやら農作物とかの育成を強化するアクティブスキルらしい。(ピョン吉大先生談)
そう、俺が従魔達と会話が出来る様になって、非常に便利になった1つは、ピョン吉大先生からスキル等の情報を教えて貰える様になった事である。
ジジは甘え要員なので、全くそう言う方面では役に立たないのだが、これでなかなかに凄いスキルを持っていたりする。
「さて、明日はどうするかな。」
一通りの日課を午前中に終わらせ、明日の朝の約束について、思いを巡らせる。
単体で行くべきか、従魔を連れて行くべきか……微妙な問題だ。
今のところ、従魔登録しているのは、ピョン吉だけだから、全員従魔登録するのであれば、連れて行くべきではあるんだが、12匹を従えて連れ歩くと、ヤバい程に目立つよな。
うん、止めよう。
必要になったらで良いか。
<なあ、主、昨日の話の流れだと、明日は連れて行ってくれるのだろう?>
とピョン吉がエスパーかよ!?という絶妙さで聞いて来た。
「あ、いや、1人の方が目立たないかな?って」
<連れて行ってくれるのだろう?>
「だから、1人の方が目――」
<連れて行くのだろ?>
「判った。ピョン吉だけな!」
<ズルイにゃーーー!! 話が違うにゃーーー!>
<<<<<<<<<<連れてけーー!>>>>>>>>>>
「うぅ………」
くっそーー、押しの強い従魔達だ。
「わ、判った。但し、条件がある。
ピョン吉とジジはまあ、表でもしょうがないが、A0~A9はジジの影の中な。
最終的には全員従魔登録が必要だし、外に出してはやるが、お前ら成長してデカくなっちゃったから、目立つんだよ。
それに、もしお前らが何か街の中や付近でヤラかしたら、俺が捕まって、最悪死罪なんだからな?
だから、外に出しても大人しくしとけよ?」
と俺が言うと、
<えー、あいつら10匹も入れて行くにゃか……疲れるにゃー!>
<<<<<<<<<<やったーー!>>>>>>>>>>
と騒いでいた。
フフフ、まあ可愛いから良いか。
確かにAシリーズ達って、お留守番多いからな。
それに旅に出るとなると、連れて行くなら登録しておかないと、旅先でヤバいしな。
◇◇◇◇
まあ、全員で行くならって事で、昼食後に全員でプラプラと出発し、ドワースの近くで野営しちゃおうと、現在初めてのフルメンバーでのお出かけ。
A0~A9のテンションがヤバい。
<主~、楽しいっす!>
<みんなで遠足だーー!>
<ヤベ、俺マジでテンションアゲアゲっす。>
と必要以上に無駄に前に先行したり、戻って来たりと落ち着きが無い。
「ハハハ。まあ、落ち着けよ。今回、良い子にしてたら、次回があるから。」
というと、
<<<<<<<<<<おおぉーー!>>>>>>>>>>
と予想以上にキラキラした目で見つめられてるし。
そして、ちょこちょこ魔物と遭遇しているのだが、Aシリーズが張り切って、サクサク倒し、俺は只管収納して行く係になっている。
というか、態々逃げ出している魔物まで追いかけて倒して、俺を呼ぶのは止めい!
さて、本来なら街道を行くところではあるが、昨日の馬車の件もあるので、街道に平行する感じで、道なき道を進む事にした。
途中で昼食を食べ、キャッキャと遠足気分を出す従魔達。
まあ、流石に年長者のピョン吉はドッシリと構えている。
食事休憩を終え、またドワースへ向けて出発した。
夕方4時までに、城門から約1kmぐらい離れた林の傍に到着した。
ここなら、そんなに目立たないので、テントをだして、中に入った。
多少誤算だったのは、従魔達がデカくなりすぎていて、結構圧迫感があった事だ。
相当広いリビングなのだが、白いモフモフだらけになってしまった。
「圧迫感半端無いな。お前ら、育ち過ぎじゃね?」
というと、
<寝る子は育つよーー!>
<美味しいご飯で、スクスク育つよー!>
<その分、モフモフだよー!>
兎って草食だった筈だけど、こいつらは、何でも食うんだよな。
肉とか大好きだし、特に俺に出会ってからは、調理された食事を要求するんだよね。
既に、Aシリーズは、出会った頃のピョン吉よりもデカいし、ピョン吉に関しては、抱くのが結構厳しいサイズである。
夕食はテントの前でBBQにして、ワイワイと食べた。
風呂に入り、全員を洗ってドッと疲れてしまった。
いつもなら、ローテーションを組んでいて、3匹ずつで回して、風呂にいれているんだが、流石に明日は人の目に触れるので、きちっとしてないと可哀想だからな。
まあ、そのお陰もあって、早めにベッドに入って爆睡してしまったのだった。
一応、従魔達はその晩、順番にテントの周囲を警戒してくれていたらしい。
何か、朝起きると、テントの横に何匹かの魔物の遺体が並べられていたのだった。
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メンテナンスを行い、一部文章の改善等を行っております。基本的な内容には変更ありません。(2020/05/21)
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