第24話 異変の終焉 (改)

その日、健二はいつもの様に、鼻歌交じりに練習場へとやって来た。

そして、いつもの様に訓練を始める前の定番となった人の有無の確認作業に入る。

すると、精度とエリアの広がった気配感知で、約600m先に隠れる兵士達の反応をキャッチした。


草むらから飛び出すのを慌てて止めて、地形の影に隠れて、視力を強化して様子を見る。


「なんか、偵察に来たのかな……。ひょっとして、俺って派手にやり過ぎたのか? とは言え、たかだか中級魔法程度なんだけどなぁ。」

と今更ながら、ちょっと反省した。


「もうここは使えないな………」


せっかく良い感じに魔法を楽しんでいたが、そろそろ潮時だろうと、この平原での訓練を封印したのだった。




そんな健二の思惑を知らない偵察隊は、それから3日間、ジッと潜んでいたが、何も異変は起こらない。

健二は念のため、同じ時間に偵察しに来ていたが、偵察隊がこちら側に来る事は無かった。


そして、4日目の朝、偵察隊は去って行った。

健二は深く反省しつつ、荒れた大地を大規模な土魔法で平らに戻し、拠点へと戻って行ったのだった。




ドワース辺境伯率いる偵察隊が出発してから、初日こそ、異変の余波が届いていたが、2日以降は何も起きなかった。

4日目にはドワースの街に安堵の声が漏れ聞こえる。


7日目に偵察隊が戻って来て、街の住民はその偉業を讃え、盛大に出迎えたのだった。


尤も、盛大に出迎えられた偵察隊の面々は、何もしていないだけに、拍子抜けし、微妙な気持ちであったが、一旦は覚悟した死を免れた事を素直に喜び、大宴会を開くのであった。




異変が終了して1ヵ月程は一応警戒していたが、それ以降何も起こらず、ドワース辺境伯は、異変の終焉を宣言し、王都にも報告したのだった。

そして、ドワースの街はまた通常の賑わいを取り戻していた。



 ◇◇◇◇



その頃、健二は、空間魔法の訓練を拠点で地味に行っていた。

空間魔法はやればやるほど、便利な物で、上手く使えば、攻撃にも、防御にも、移動にも使える事が判ったからだ。


まず、空間を固定すると、その上に乗る事が出来る。

つまり見えない空間の階段を作れば、何も無い高い所場所へ上がり、遠見をしたり、敵から逃れる事が出来る。

階段を出すタイミングは慣れが必要だったが、1週間程チョコチョコ練習したら、かなりのスピードで駆け上がれる様になった。


更に攻撃という意味では、空間斬という空間と空間を切り分ける見えない刃で攻撃する事が出来る。

某斬鉄剣も真っ青な切れ味である。

まあ、刃を飛ばすというより、ギロチンの刃をその場所に固定する様なイメージと言えば判り易いかも知れない。


だから、着弾にタイムロスが無いので、ある意味無敵かもしれない。


更に、防御という面では、異空間シールドなる物を実現した。

これは異空間の為、如何なる攻撃も空間内に届かない。

これもある意味鉄壁の防御だ。


更に、現在は、空間が行けるなら、重力も魔法で行けるんじゃね? と重力魔法に着手し始めている。



 ◇◇◇◇



そして3度目の冬になった。

重力魔法を物にした健二は、重力制御を行う事で、空を飛ぶ事が出来る様になった。

尤も、これはそれなりに魔力の燃費が悪いので、常時飛ぶという事は出来ないが、魔力残量の安全圏をみて、2時間程は連続飛行が可能である。


結果、かなりの事が魔法で解決出来る様になった。


『ステータス表示』

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名前:ケンジ(杉田健二)

年齢:18歳(53歳)

種族:ハイパーヒューマン

性別:雄

称号:女神の愛し子

   元始の泉の主

   元始の森の主

   解放到達者

   辺境の王

   魔法の探求者

   重力を制する者


職業:冒険者・探求者・開拓者・魔道士

レベル:145(解放済)


【基本】

HP:5241

MP:6834

筋力:1525

頭脳:1127

器用:1187

敏捷:1258

幸運:678


【武術】

短剣術:Lv5

剣術:Lv10

棒術:Lv2

体術:Lv3

斧術:Lv3

投擲:Lv10


【魔法】

火:Lv10(解放済)

水:Lv11(解放済)

土:Lv10(解放済)

風:Lv10(解放済)

光:Lv9(解放済)

闇:Lv10(解放済)

聖:Lv7(解放済)

空:Lv10(解放済)

無:Lv13(解放済)


【魔法Ex】

氷:Lv10

雷:Lv8

重:Lv7


【スキル】

状態異常無効

精神異常無効

MP自動回復増(大)

HP自動回復増(大)

早熟

言語理解

習得補助

調理 Lv8

万物創造

気配察知

魔力感知

魔力操作

気配遮断

身体強化

身体加速

土木作業

農耕作業

解体

素材採取

テイミング

調教

従魔強化

王者の威厳

従魔意思疎通(大)

錬金

鍛冶

射撃必中

大地の息吹


【加護】

女神エスターシャの寵愛

異世界の創造神の加護(大)



【従魔】

ピョン吉(キング・キラー・ホーンラビット)

ジジ(ハイパー・シャドー・キャット)

A0(キラー・ホーンラビット)

A1(キラー・ホーンラビット)

A2(キラー・ホーンラビット)

A3(キラー・ホーンラビット)

A4(キラー・ホーンラビット)

A5(キラー・ホーンラビット)

A6(キラー・ホーンラビット)

A7(キラー・ホーンラビット)

A8(キラー・ホーンラビット)

A9(キラー・ホーンラビット)


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また、従魔意思疎通(大)を獲得した事で、従魔との会話が出来る様になった。

これは声というよりも、テレパシー的な感じで、離れていても、会話が出来る。

なので、例えば遠征に出て居ても、従魔から異変等の連絡をリアルタイムに受け取る事が出来る。

勿論受け取るだけで無く、こちらから指示を出す事も可能だ。


これは、予想外に健二を喜ばせた。

ずっと会話する相手が居なかったからである。

独りぼっちの生活が続くと、段々言葉を忘れそうだと思っていたぐらいだ。


初めて会話が出来た日は、軽くお祝いをした程だった。


あと、どうやら魔法や武術のLvは10で打ち止めではなかった模様だ。

これは、まだまだ先が楽しめるという事だろう。



更に新たな目標を見いだした。

重力も空間も魔法で操れるのであれば、もしかして、転移の魔法が使えるのではないか?

と思い始めたのだ。

これは、是非とも暇のある冬の間に特訓しなければならない。


だって、転移が使えれば、日帰り温泉旅行とか、幾らでも行けるからね。

それに、もしかしたら、この世界の何処かに、こちらの世界で作った、更に上手い米、味噌、醤油があるかも知れない。

海のある地方に行けば、美味しい刺身や寿司だって夢ではない。


こちらの世界に来て、3年、前世では生活に追われて約3年以上、合計6年以上、寿司とは縁がなかった。

そろそろ、回らない美味しい寿司を食べたいものだ。


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 メンテナンスを行い、一部文章の改善等を行っております。基本的な内容には変更ありません。(2020/05/21)


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