第20話 新しい家族と成長 (改)

ここ数日で雪がちらつく様になった。

外はマジで寒い。


ローブを着込んで森に入るが、もう特に果物も木の実も無い。

魔物の出現回数も減って、寒々しい荒涼とした雰囲気である。


すると、俺と同時ぐらいにピョン吉も反応した。

弱々しい魔物の魔力反応である。


近付いて見ると、真っ黒な小さい子猫が、「ミー、ミーー」と鳴いている。

見ると足を怪我しているらしく、血を流していた。


「子猫か……良い毛並みだな。

どうする? 怪我してるし、親も居ないみたいだから、保護しとくか。」


俺はピョン吉に聞くと、「キュ」と同意してくれた。

子猫は動けないらしく、俺とピョン吉が近付くと、「ミミーー」と威嚇しているつもりらしいが、弱々しくて可愛い鳴き声を上げている。

俺は、自作のポーションを取り出し、優しく抱き上げて怪我をしている足に掛け、無理矢理飲ませた。

すると、みるみる再生されて、怪我が治った。


「ミ?」

と不思議そうに鳴き、俺の顔をつぶらな瞳で見上げた。

すると、抱いてる腕をペロペロと舌で舐めて、甘える様に「ミミミー」と鳴いた。

可愛いな。

「フフフ、黒猫だし、名前はジジの一択だな。

ジジ、お前も家の子になりなさい。

家で美味しいミルクをあげよう。」



寒そうにしていたので、タオルで包み、ホクホク顔で連れて帰った。

家の中は温かいのだが、取りあえず、初めて暖炉に火を入れて、その火の前にタオルで寝床を整えた籠を置き、中にジジを入れてやる。

そして少し深めの皿にミルクを出してやると、嬉しそうに「ミー」と鳴きながらペロペロと舐めていた。


流石は野生の猫。

保護した時は、弱っていたが、3日もすると、元気に家の中を探索し、悪さをして来る様になった。

まあ、悪さをする度に、ピョン吉に怒られているのだが、その2匹のやり取りが面白い。


あと、ピョン吉の配下達も冬は寒そうなので、小さめの小屋を出し、床には以前に狩り取った草を敷き詰めてやると、10匹は嬉しそうに住んでいる。

餌もちゃん3食出してやっているが、食が安定したからか、それとも桃とかの例の果物を与えた所為か、いつの間にか一回り大きくなった気がする。




本格的に雪が積もりだし、風景が白一色に変わる頃、俺の魔力感知はかなり上達し、ハッキリと魔力の塊を目視出来るし、離れていても完全に把握出来る様になった。

また、魔力操作に成功し、魔力感知と共に練習メニューに追加している。

あの写本に書いてある通り、魔力を身体の彼方此方に動かしたり、身体中をグルグル巡回させたりしている。

最初の1週間は、かなり精神的に疲れて居たが、慣れて来ると徐々にではあるが、魔力を巡らせる際の抵抗みたいな物が無くなり、実にスムーズに流れる様になった。



子猫の成長は早く、ジジは顔付きも、身体もシャープになって、サイズもデカくなった。

拾った頃は、ミー と鳴いていたのが、今では ミャーに変わっている。まあ大差は無いのだが。

黒い毛並みは素晴らしく、ピョン吉と並んで大切なモフ要員である。

最近では、俺の言葉が分かるのか、意思の疎通が出来ている気がする。

また、ピョン吉とジジの間もちゃんと言葉が通じている気がする……不思議な物だ。


だが、悲しいかな、俺だけはピョン吉もジジも何を言っているのか判らない。

これで、完全に喋れる様になったら、嬉しいのだがなぁ………。



 ◇◇◇◇



このところ、積雪量が半端なく、家が潰れると嫌なので、屋根の雪下ろしを毎日行う様になった。


まさか、この世界の冬が、こんなにも豪雪だとは思わなかった。

折角設置した噴水は、完全に雪に埋まってしまい、何処にあるかさえ、判らない。


この時ばかりは、洋館(中)を選択した事を酷く後悔した。

まあ、洋館(大)にしなかっただけ、マシなのだが、兎に角、屋根部分が広く、更に雪が多くて大変なのである。

その上、鍛冶小屋や、錬金小屋、工作室、ピョン吉の配下達の小屋、そして倉庫の屋根まであるから、3時間程雪かきしっぱなしだ。


特に最初の3日間は結構辛かったのだが、筋力トレーニングと思って頑張った。

お陰で、身体の筋力が上がった気もするが、3時間掛かっていた雪かきが1週間過ぎる頃には、2時間に短縮された。

更に3週間が過ぎる頃には、1時間半ぐらいまで短縮されていた。


ピョン吉達ウサウサシリーズは雪にも寒さにも強いのか、積もった雪の上を、器用に飛び跳ねて遊んでいる。

ジジは家から出ようとしない。暖炉の前に居座り、外に出る事を断固拒否している。


俺は俺で、年甲斐も無く、雪だるまを作ったり、かまくらを作ったりして遊んでみた。

かまくら作りが結構楽しくて、ついつい家の斜め前に5LDKの超大作を作り上げてしまった。


中で餅を焼いて磯辺巻きにして食べたりして楽しんだ。


まあ、前の身体ではこんな事をして楽しむなんて気すら起きなかったが、どうやら身体が子供に戻った事で、心もそう言う気持ちを取り戻したのかも知れない。

意識はしてないが、前世の嫌な事や柵を思い出す事も少なくなって来た様に思うし、思い出してもブルーな気持ちになる度合いが減った気がする。

心が回復しているのかもしれない。

そう言えば、ペットや動物によるセラピーなんかもあるって聞いたから、ひょっとしたらピョン吉達やジジのお陰かもな。


魔力感知と魔力操作は日増しに上達している。

特に魔力操作で身体中に魔力を巡らせながら雪かきをすると、1時間で済む事に気が付いた。

試しに魔力操作無しでやってみると、やはり効率が悪いみたい。

つまり、魔力を巡らせる事で、身体能力が上がる効果があるみたいだ。

試しに次の日は、『身体能力が上がるイメージ』を頭に描きつつ、魔力を巡らせて、雪かきをしてみると、何と驚く事に30分で完了したのだ。

これは間違い無い、魔力操作によって、身体強化が出来ている。


この発見に、俺は大喜びした。

こちらの世界に来て半年で、漸く魔法の効果らしき物を実際に使える様になった訳だ。

その日は軽く夕飯を豪勢にして、祝ったのだった。


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 メンテナンスを行い、一部文章の改善等を行っております。基本的な内容には変更ありません。(2020/05/21)


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