第7話 ステータスパネル (改)

ここでこのまま1泊するという事なので、早速テントの用意……まあ、取り出すだけなんだけどね。

「さ、どうぞ。このテント、こう見えても、結構快適なんで。」

とガバスさんをテントへとご招待した。


まあ、ソファーに座ってユックリ話を聞こうとしたのだが、テントの中を見てまた絶句。

これ程のマジックテントは、王族でも持っていないらしい。


話を聞く度に、俺の背中がしっとりと冷や汗で濡れていくのを感じてしまった。


一体全体どう言う事でこうなっているのか?

まあ、全く身に覚えも経緯すら分からないのだがな。


「あ、そうだ!唯一胸のポケットにこんな書類っぽいのが入ってたんですが、俺の知らない字なので、読めずに居たのです。

これ、何でしょうかね?」


ハッと思い出して、ポケットに入っていた書類をガバスさんに見せると、


「フーーーー」と深くため息をついた後、説明してくれた。


「少年、これは身元保証書と書いてある。

まあ、よく世間では、貴族や名のある大商会とか、騎士団とかが書いたりする事はあるが、滅多に無い。

で、問題はこの身元保証書を書いた人物というか、お方だが、女神エスターシャ様だ。」

と驚くべき事実を言って来た。


「更に怖いのは、この者を害する事を禁じる。

この者を害する者の生命は保証外である。

と書いてある事だ。」


「…………」


ヤバいな。何で? 面識も無い筈なのだが、何故にそこまでしてくれるのだろうか?


健二は全く面識の無い女神エスターシャ様の思惑が理解出来ずに、困惑するのだった。

そもそもだが、会話は出来るが、文字が読めない現状も理解し難い。


「あのぉ。つかぬ事をお伺い致しますが、俺ってこの世界ではズレてますか?」

と恐る恐る聞いてみると、


「ああ、極大にズレてると思うぞ。」

という身も蓋もないお言葉。


それを聞いて、ガックリと項垂れる健二。


「そうですか……じゃあ、やっぱり俺、元居た場所へ戻ります。

色々教えて頂いて、本当にありがとうございました。」

と早くも挫けてしまい、あの泉へと戻ろうと、そして人知れずヒッソリと暮らす事を考え始める。


「まあ、待てよ。帰るなら、帰るでも良いが、一度街に行ってみて、暫く過ごして、それから決めても遅くはないんじゃねぇか?」


ガバスさんが結論を急ぎすぎるなよ!とばかりに話出す。


「それにほら、この身元証明書さえあれば、取りあえず悪い事をする奴はいねぇだろ?

まあ、それはそれで騒ぎになりそうな気もするが、何なら、こいつを見せずに、一般的な旅人って体で入れば良いんじゃねぇか?」

と俺の落胆っぷりを見て言ってくれた。


「そうでしょうか? 街に俺が行って、皆さんにご迷惑をお掛けしないでしょうか?」


「ハッハッハ。おめーさん、肝が据わってるんだか、気が弱いんだか判らん奴だな。

ところで、仮の話だが、街に行った後、何か働く事を考えてたのか?

ほら、暮らすにはそれなりに、金も掛かるだろ?」

と聞いて来た。


「うーん、どうだろう? お金は少し持っているみたいなんで、当面は大丈夫だと思うんですが、後は何か働き口でも見つけてとか漠然と考えてました。」


「ふむ。ところでケンジ、あの果物を大量に食べてんだし、キラー・ホーンラビットを手懐けているところをみるに、相当な強者なんじゃないのか?

いやさ、それなりに魔物と戦う腕があるんだったら、冒険者になるってのも1つの手かと思うぞ。」

と提案してくれた。


冒険者……何とも少年心を揺さぶる様な言葉だ。

フフフ、マク○イバー的な冒険なんだろうか?


「なんですか? その冒険者って職業は?」


詳しく聞くと、冒険者ギルドに登録する事で、依頼を受け、薬草等の素材の採取や、依頼のある魔物の討伐やその素材の提供、また依頼以外で倒した魔物や薬草等の買取も行っているらしい。

稼ぐ冒険者になれば、1年の半分くらい働いて、悠々自適な暮らしをしている者も居るとか居ないとか。

冒険者は下から順にF、E、D、C、B、A、S、SSランクまで8ランクがあるんだって。

で、実力や実績等でランクが徐々に上がって行くらしい。

依頼にはランク別の制限があって、該当するランクの前後1つまでは請ける事が可能らしいが、依頼に正当な理由なく失敗すると、罰金やランクダウン等の罰則もあるらしい。

なるほど、なかなか厳しい世界である。 どちらかというと、冒険野郎というよりも、戦闘力を持った害獣駆除の専門家って感じなのかな。


しかし、高ランクの冒険者には指名依頼が来る事もあるが、基本的に国にも軍隊にも属さず、自由なんだそうで、冒険者ギルドに入ると貰えるギルドカードは、各都市に入場する際の、身分証を兼ね備えるらしい。

逆に身分証が無い人が入場する際は、毎回入場料を取られるんだって。

ふむ、だとすると、パスポート代わりのギルドカードがあれば、この世界の旅行だって可能という事か。

しかし、問題は俺にその資質があるか?という事だ……。


「俺でも成れますかね? 冒険者。」


「まあ、よっぽどでなけりゃ、犯罪者でない限り、大丈夫だと想うぞ?

でもよ、戦闘力とかは、ステータスパネルである程度、判るんじゃねぇか?」


ん? ちょっと待て! これまた何か新しい単語が出て来たぞ?


「何ですか、そのステータスパネルって?」

と聞き返すと、驚きつつも、説明してくれた。


「え? そこからかよ。

本当に何も記憶ねぇんだな……。」


何でも、この世界では、5歳前後で『ステータス』と念じる事で、自分の情報が頭に浮かんで来る様になるらしい。

例えば、筋力や俊敏等を数値で表してくれるんだそうだ。


「へぇー、便利なものですね。初めて聞きました。」


面白い物だな。

健二が少しでもラノベやゲーム等を知って居る現代っ子だったら、「ああ、なるほど、ファンタジーの定番だね」と思えたのであろうが、仕事仕事で追われ、ゆとりの無い生活だったので全く初めて聞くシステムであった。

そう言えば、昔、聡がやっていたゲームにそんな数値が出て居た様な……。


でも、あの子は俺の子じゃなかったんだよな……。

と頭の中で悲しい記憶が思い起こされて、少しブルーな気分になってしまう。

顔に出ていたのか、ガバスさんが、心配して大丈夫か聞いて来た。


「あ、いやちょっと考え事をしていただけです。そうですか。ステータスですか。ちょっとやってみます。」


『ステータス表示』


頭の中で念じると、巾着袋とかと同じ様に、頭の中にパネルが広がった。


「おぉーー! これか!!」


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名前:ケンジ(杉田健二)

年齢:15歳(50歳)

種族:ヒューマン

性別:雄

称号:女神の愛し子

   元始の泉の主

   元始の森の主

   解放到達者

職業:----

レベル:135(解放済)


【基本】

HP:2023

MP:3571

筋力:589

頭脳:568

器用:597

敏捷:684

幸運:285


【武術】

短剣術:Lv2

剣術:Lv4

棒術:Lv1

体術:Lv2


【魔法】

火:Lv0(解放済)

水:Lv0(解放済)

土:Lv0(解放済)

風:Lv0(解放済)

光:Lv0(解放済)

闇:Lv0

聖:Lv0(解放済)

空:Lv0(解放済)

無:Lv0


【スキル】

状態異常無効

MP自動回復増

HP自動回復増

早熟

言語理解(一部未解放)

習得補助

調理 Lv1

万物創造


【加護】

女神エスターシャの加護

異世界の創造神の加護


***********************************************************************


んーーー、これってどうなんだろう?

なんか、思った以上にレベルってのが高い気もするし、解放済って記載も怪しいな。

で、問題はこの加護ってところとか、称号だろうな。

なんか、身元保証書の件もあるけど、女神エスターシャ様って、何でここまでしてくれるのだろう?

それに異世界の創造神の加護ってのもあるけど、この場合、異世界って地球って事かな?


だが、一番の驚きはこれらじゃないんだよな。

これこれ、【魔法】だよ!

つまり、日本で魔法なんて50歳のジジイが言ってたら、

「あらあら、お爺ちゃん、ボケちゃったの?」

ってツッコミが入るのは必然だが、ここには魔法が存在するって事だよ。


「ガバスさん!!! 魔法って、あるんですか?」


俺は思わず興奮しながら叫んでいた。

マジか!魔法かぁ~!


「まあ、落ち着けよ。 魔法はある事はあるぞ。

だが、それには、適性とかが関係してな。

色々な属性の適性があれば、習得する事が出来る。

しかし、MPって項目があるだろ?

あの数値が所謂魔力量を表しててな。

魔力量が足りないと発動すらしない。

まあ、でも大抵、無魔法ぐらいは発動する事が出来る人は多いな。」


ほーーー! つまり適性属性があれば、習得可能って事か。


「その魔法の習得方法とかって、どうやるんですか?

魔法の本とかあるんでしょうか?」


「そうだな、本もある事はあるが、貴族様でも無い限りはなかなか手が届かない金額だな。

一般の平民は、図書館はあるから、そこで保証金を払って読む感じだな。

魔法は大体、使える奴に習うか、本を読んで学習するかだが、どっちもハードルが高いぞ。」


「なるほど! ちょっと街に行くのが楽しみになってきました。」


そして、その他のステータスパネルの見方や意味する内容を教えてもらった。

そこで、若干驚いたのは、どうやら、俺のレベルはここの一般人はおろか、兵士や冒険者に比べ、異常にレベルが高い事を知った。

レベルとは、日々の訓練や魔物の討伐とかで経験を積む事により、その経験値が一定値を超えるとレベルが上がるらしい。

レベルが上がると【基本】の各数値が上がるだって。

で、大体の目安で、一般的な街の住民のレベルが15前後で、冒険者や兵士は30~50ぐらい。

騎士になると、60~80辺りだそうで。

王国一の騎士団長で、98という事らしい。

ちなみに、人族の最高レベルは99がMaxと……。

俺の場合、どうやら、あの果物の恩恵で制限を解放されて、更に赤い熊とかの討伐で、相当にレベルアップしていたらしい。


ちなみに、レベルアップすると、なんか身体がムズムズと疼いて、急に力が漲る感じがするらしい。


「ああ、それ、何度も体験しました。

そうか、あれがレベルアップの瞬間だったのか。」

と思わず納得した。


そして、加護の件だが、加護持ちはそれ程多くは無いが、王国にも何人かは居るそうだ。

何か加護を持つと、その恩恵で、スキルが取りやすくなったり、スキルの完熟が早くなったり、健康体だったりと、色々とメリットがあるらしい。

中でも、この世界の創造神である女神エスターシャ様の加護が最高で、今まで歴史上、3人加護を持った人が居たそうな。

創造神以外では、魔法神の加護とか、錬金神の加護とか、鍛冶神の加護とか、主柱以外の神々の加護とかである。

王国内で現在加護を持つ人は、全員主柱以外の神様の加護なんだって。


そうそう、あと無闇矢鱈と人のステータスを聞いたり、教えたりはしないのが常識なんだって。

あとね、『鑑定』って言うスキルがあって、その熟練度にもよるけど、物や人なんかの情報を知る事が出来るスキルらしいんだけど、それがあると、人のステータス情報を鑑定出来たりするらしい。

物を鑑定すると、価値とかが判るらしいから、便利と言えば便利だよね。

野草や木の実とかでも鑑定すれば、食用とか、毒があるとかが判るらしいし。


尤も、鑑定スキル持ちは少ないらしい。

レベルが99がMaxだから、俺の場合、もし鑑定されると騒ぎになるかも……と一瞬焦ったんだけど、どうやら話では鑑定の熟練度?にもよるけど、基本自分よりレベルの高い人のステータスは名前とかぐらいしか確認出来ないんだって。

はぁ~、ホッとしたよ。




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 メンテナンスを行い、一部文章の改善等を行っております。基本的な内容には変更ありません。(2020/05/21)


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