第575話 顎を砕き、首をへし折ろうとも
爪先立ちで軽やかに歩いてくる気配も、何の前触れもなく攻撃してくる間合いも、アマリリスは完全に読みきっていた。
事前の仮想訓練通り、大きく尾を振る反動で身をかわす。
鼻先で、横ざまに突進してきた白い牙がカチリと空を噛んだ。
アマリリスは一声も発さず、がら空きになった首筋に襲いかかった。
はじめて聞く甲高い悲鳴が森にこだました。
左顔面から首筋のあたりに食らいついたアマリリスを振りほどこうと、スピカがもがき、前脚が宙に浮いた。
それを強引に引きずり降ろす。
口の中に血の味がした。
これでスピカの耳を喰いちぎり、顔を引き裂いてしまうならそれでいいと思った。
顎を砕き、首の骨をへし折ってしまうなら、それでも構わない。
アマリリスは両後ろ足を踏ん張り、思いきり体をしならせてスピカを投げ飛ばした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます