第492話 星々の継承者#2

ゆっくりと動きはじめた船に並んで、アマリリスは実験所の護岸の上を歩いていった。

しかしそれができるのも突き当りの潮位計のところまでで、船の方も沖に向けて速度を上げはじめていた。

船尾に並んだ3人を、アマリリスは岸壁から見送った。


不思議な時間だった。

去る者も残る者も、お互い騒々しく別れの言葉を叫ぶでもなく、ただじっと、小さくなってゆく相手の姿を見つめつづけていた。


はるか遠い未来、人類がどこかよその惑星に到達するようなことがあって、その星にたった一人だけ同胞を残してくるとしたら、

その別離は、きっとこんな形になるんじゃないだろうか?


突拍子もなく、そんな空想が浮かんだ。

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