第479話 ヤナギランの丘#2
城砦の方角から、空中に浮遊してキラキラと煌めく、砂煙のようなものが湧き出ていた。
青空のキャンバスに撒かれた金粉のように見えていたそれは、みるみるうちに大きくなって、
アマリリスの頭上に列をなし、ざーっという羽音とともに通り過ぎていく。
金色の甲冑に身を包み、片翼が身長の数倍はありそうな半透明の
その場に居た全員が、羽ばたきのたびに、真珠貝の殻のようにてんでに光が踊り跳ねる飛翔を見上げていた。
さすがに個々の性別までは判別できないけど、、
どうか、ササユキの願いが叶っていますように、と祈った。
視線を降ろすと、金色の帯の下、一面の緑のツンドラの野にうごめく、赤茶けたホコリのようなものが目についた。
何だろう?
アマリリスは目を凝らし、それからはっと息を呑んだ。
トヌペカもまた、
彼女たちに気づくと、アカシカの群は優美な曲線を描いて針路を変え、涸れ沢を次々に飛び越えて、その先の丘へと走り去っていった。
「さてと。
帰りの船も来たことだし、おれたちはそろそろ行こうか。」
「そだねっ。」
アマロックに続いてアマリリスも立ち上がり、
マフタルとファべ子に、じゃ、またね!と手を振った。
マフタルと、ファべ子もが手を振り返してきた。
去り際にアマロックがマフタルを手招きした。
「
縁があったらまたおまえと組みたいとさ。」
「ありがとう。
でも、魔族と関わるのはもうやめておくよ。」
マフタルは凛として言った。
それは、娘を託された
「そっちの方向性に行ったか。。
まぁお前の人生だ、せいぜい悔いのないように生きるがいい。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます