第438話 和平交渉#2:うっとこからの条件
なぜアマロックは交渉に
そうして考えてゆくと、
あたし達人間が彼女たちと話す時は人間語を使わざるを得ないとして、アマロックと
あたし達にも会話の内容が分かるようにしてくれている、と考えれば自然に納得できそうなものだけど、何か、、
アマリリスはその考えよりも先に頭に浮かんだ、あたしたちに聞かせるためだ、という直感が、冷え冷えとした感覚を突きつけてくるように思えてならなかった。
怜悧を感じさせる美しさの容姿と、物腰柔らかな言葉遣いにして、
「和平やら言うもんに先どうて、うっとこから条件がありやす。」
「拝聴しよう。」
「まず、昨日来おたくはんが占領してはる、主脈結節第三堡塁はお返しいただきやす。」
「なるほど。」
「あんさん ――異能王はんが一昨日・
「ほう。それはどういった了簡だ。
あれらの砦はもともと
「もともとおたくはんのもの、そしてうっとこがもろたもの。
それを、あんさんが
うっとこは異能やらなしに12砦を陥落させたんやから、これはうっとこの正当な戦利どす。
せやけどおたくはんはどうなんやろな?
異能みたいなチート使て暴利得といて、涼しい顔で和平やら、虫がようあらしまへんか。
あんさん言わはるように、赤の女王が”和平”をもたらす御方なら、そのお裁きは
赤の女王のご使者が異能使て不道理を通す前の有様に戻さんことには、うっとこは承服できひんわ。」
・・・この
しかしアマリリスが同時に強い焦りを感じていたのは、横暴ではあっても、その主張自体には筋が通っているよう聞こえたからだった。
そんな展開を想像して焦っていた。
しかし、
「要求どおり、主脈結節第三堡塁は返還しよう ――ただし、和平成立の後に。
12砦の譲渡には応じかねる。
おまえたちがたった2日であれらの砦を陥落できたのは、異能の脅威に
要はおまえたちも異能チートの尻馬に乗って利を得ていただけのこと、12砦は
どうだ
アマロックの反論は、言われてみれば至極当然で、少し考えれば自分でも思いつきそうな気さえするが、
その数秒前は、
正当不当を判断する感覚がいかに心もとなく、狂わされやすものであるか、アマリリスは
「ほほっ。」
可愛らしい声と仕草に毒を含んで、
「ご自身を脅威とは、つくづく調子のええ御方どすなぁ。
おたくはんは、異能チートなしのうっとこの攻撃受けて、12砦の陥落を許しはった。
ほんで異能チートの助け借りてようようそれを取り戻しはった。
異能チート使てうっとこを攻撃し、 ――陥落させたんは、わずか1砦。
ご自分のもんや思たんなら、最初にうっとこが12砦を攻めたとき、もっと死にものぐるいできばりはったらよかったとちがいますか、うっとこが昨日、第三堡塁でご披露させてもろたように。
うっとこの砦を奪りたいんなら、1コだけなんて遠慮されんと、10でも20でも奪りはったらよかったやないの。
そうできひんかったんは、おたくはんが弱いからやろ。
異能チート使てなお、おたくはんはうっとこに負けとるんよ。
あんさんの異能が助け借りてようよう12砦を押さえてはる、こん状況が
あれあれ、おっかしーな?
また、
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