第407話 箱庭の夜伽:第一夜#3
獣と魔族に囲まれた少女は、散々な苦難に始まった長い一日をようやく終えようとしていた。
アマロックの魔物の右手の感触にも慣れ、危険な刃を備えたそれを、お気に入りの玩具を抱きしめて眠る子供のように、胸にぴったりと引き寄せ、ゆっくりと眠りに落ちていった。
「アマロック。。。」
答えるアマロックの声がはっきり聞き取れないぐらいの朦朧とした意識で、そこにいるはずの魔族にアマリリスは語りかけた。
「ありがとう。。迎えに来てくれて。」
北国の短い夜を星が巡り、早くも白夜の夜明けが緑の箱庭に満ち始めるころ、アマリリスは夢の中でアマロックとマフタルの会話を聞いたような気がした。
”ご苦労。首尾はどうだった”
”ダメだった、、侵入できずに枯れてしまったよ。やっぱり女王の鍵が要るみたいだ”
”まぁそうだろうな。それが分かったのは収穫だった”
”貴重なものなのに、、1つムダにしてしまった”
”構わん。あと2つ、ちょうど必要な数だけある”
目覚めた時、マフタルが作ってくれた服の名残り、首元の赤いチョーカーが揺れ、かすかな囁きを発した。
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