第405話 箱庭の夜伽:第一夜#1
緑の箱庭に戻ってみると、アマロックと5頭のオオカミたちが思い思いに草の上に寝そべっていた。
「マフタルは?」
「一人になりたいんだ、とか言ってどこかに行ったよ。」
「はぁ? 相変わらずよく分かんない子ね。」
ファべ子は、、定位置の隅の方で、もう眠っているのか気配がしない。
事実上ふたりっきり。
アマリリスはアマロックの傍らに腰を下ろし、おずおずとその身にすり寄っていった。
こういう時、彼女はいつも遠慮がちに、ある日前触れもなく撥ね退けられることを恐れているように、おずおずとアマロックに近づいた。
いつものクセでアマロックの体の右側からすり寄っていって、右手を覆う硬質な外骨格の感触に、ぞわりと身を震わせた。
しかし魔物の右手はいつもと変わらぬ優しさで、一方で今はむき出しの鋭い爪で彼女を傷つけないよう配慮した動きでアマリリスの髪を撫で、アマリリスはやっと安心することが出来た。
「はぁ。。。」
安心したらしたで、考えることは尽きなかった。
「いつになったらここから出られるんだろう。。」
正しくは、いつという以前にここから出られることがあるのだろうか、と問うべきだった。
「ここから出たいのか。
来るなりメシだ風呂だとずいぶん満喫しているから、ここが気に入ったのかと思ってたよ。」
「なっ、んなワケないでしょ!
一秒だっていたくないよこんなとこッ!!」
心外だが、全面的に否定もできないアマロックの言葉に、アマリリスはムキになって言い返した。
「ふむ。
今すぐにというわけにはいかないけど、
もうすぐ女王と会うことになるだろうし、なるべく早く出られるように交渉してみるよ。」
女王。
その言葉に心がざわついた。
けど
それでもそれぐらいの権力はあるのか?
それにしても、女王。
アマロックと旅してると何だか女ばっか出てくるな、いったいどんなハーレムだよ。
「アマロック💢」
アマリリスは明らかに勝手に腹を立てた、
「おう。」
「”
今どこにいるの?」
さっきまでは、例えば「夜の女王様」的な二つ名の一種かと思っていたけれど、
この城砦に女王がいるのなら、どこかにそういう女が実在しているはずだ。
それが、あたしたちが拘束されたことに関わっているなら、アマロックが知らないはずがない。
「やれやれ君まで
見ての通り、ここの旅団には今のところ白いヤツらしかいないよ。」
「あっこら、はぐらかすなっ!
だいたい女王と会ってどうすんのよ、ここの王様でも狙ってるわけ!?」
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