第360話 古代犀由緒記#3
「ほかの子たちはどうなの?」
ついでだし、さっき不思議に思ったことを聞いておこう。
「?」
「なんて言うのほら、ネズミみたいな小さな動物と、キツネとか肉食の動物が一緒に住んでて、
うっかり食べちゃった、てへ。みたいなことにならないのかな、って。」
バハールシタたちが常に居住者の動向に目を光らせていないかぎり、避けられないように思える。
それにしたって、すばしこいキツネがジャコウネズミの親子を襲うのを止めるのはかなり難しいのではないだろうか。
「ああ。
あるよ、たまに。というか割と普通に
それで誰も気にしない子だったら別にいいんだけどね
たとえばトガりん、トガリネズミのトガりんいるでしょ。
今はいっぱい居るんだけど、前に、オコジョさんがいたことがあって、きれいな白いお姫さまなんだけど、
トガりんを大好物で、片っ端から食べちゃうんだ。
トガりんは虫の幼虫が大好物なんだけど、オコジョさんが食べちゃうから数が減っちゃって、
そうすると、ウジがうようよわいて ――基本的に死体だからさ、このデカブツ―― コバエがうるさくって。
みんな閉口してたんだけど、そのうちイノシシのノブたんが怒ってさ。
きれい好きだから、体にたかるウジを残り少ないトガりんに食べて掃除してもらってた時に、そのトガりんをオコジョさんが食べちゃったもんだから。
怒って、ノブたんがオコジョさんを食べちゃった。
その後しばらくはトガりん天国で、わいてくるウジを片っ端から食べちゃったから食べ物がなくなって、
おなか空かして、このデカブツの肉を齧るようになって、それはよかったんだけど、
うっかり、ずっと同化してたマムシのハミーの尻尾を齧っちゃって。
怒ったハミーがそのトガりんを絞め殺して食べちゃって、それから味をしめたのか、時々動き回ってトガりん食べるようになって、、今はそんな感じ。」
もう聞いているだけでおなかいっぱい。
「あんたたちは何もしないの?
そのトガりんとか、ノブたんとかに、
なんて言うのほら、カイニュウとかチュウサイとか。
そんなに食べるなよとか、怒らないでよ、とか。」
バハールシタはきょとんとしている。
「どうして?
おなか空いたら食べるし、イヤなものには怒るでしょ?」
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