第270話 つまり、感情ではなく

もしかして、あたしのせい、、?


サンスポットがこんな奇妙な振る舞いを見せるのは、あたしの、自分でもどうしていいかわかんないこの感じが伝わって、

それで彼までも落ち着かない気分にさせているんじゃ。。。


いやいやいや、そんなわけない。

どれだけ自意識過剰なんだか。


オオカミってそんな生き物じゃない。

誰がわずらおうがもだえようが関係ないし気にしない、そんな事があるってこと自体、想像してもみない、そういう生き物だ。

アマロックにしてからが、空腹とか生理とか、ヤったかヤってないかとか、他人のそんな事情をこともあろうに「匂い」ではかるっていう、どうしようもなく破廉恥ハレンチな。。。


あ。

・・・そういうこと?


アマリリスの足が止まった。


つまり、感情ではなく、匂い。

今のあたしからは、いわゆるその、フェロモンとかホルモンとか、そういう系の物質が出ちゃってて、それを吸い込んだせいでサンスポットは様子がおかしいんじゃ、、

そういうことなら、何だかとてもありえそうな気がする。


それも結局は何の根拠もない、自意識過剰の想像に過ぎないのだが、

たちが悪いのは、感情の作用が原因なら、アマリリスは少なくともその感情の動きを自覚することが出来るはずだが、

匂いが原因だとしたら、特異な嗅覚を持つオオカミや魔族には分かっても、人間である、当のアマリリス自身がそれを知覚できないことだった。


何ともばつがわるく落ち着かない。

自分が今どんな服を着ているのか、周りには見えているのに自分にだけ分からないようなものだ。

全裸だったらどうしよう。

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