第241話 末永い生を授けよう#1

ブーツの下にようやく、荒い砂利のしっかりした地面の感触をとらえて、アマリリスはホッと安堵の息を吐いた。


見上げれば、岩崖に切り取られた頭上の空には、まだ薄暮のすみれ色を残すものの、さすがに周囲は真っ暗だった。

やっと足下が見えるかどうかのささやかな灯りと、入り江の奥から聞こえてくる音を頼りに、アマリリスは闇の渚を進んでいった。



“*+:。.。・・:。、 。.+・*、、..。oо○”


小波が岩をたたく音。

けれど耳を澄ますと、そこに歌詞とメロディを聞き取ることが出来た。

それは人魚の歌う歌だった。


「末永い生を授けよう

遙か未来に・・・


闇の中から何か照らし出すにはあまりにも頼りない灯火に、その姿は半ば闇に隠れたまま浮かび上がってきた。


浅瀬の水の中、水遊びをする幼い子供のような格好で座り、人魚の少女は一人で童歌わらべうたを歌っていた。


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