第204話 その名は誰が?

「ねぇ、、アマロック。」


今のうちに聞いておこうと思った。


「ん?」


「あなたの名前、”アマロック”ってさ、

誰がつけたの?」


”おおかた適当に音を並べたとか、そんなだろう”


クリプトメリアはそう言っていた。

ところが、意外な答えが返ってきた。


「おれのお袋。」


「え?ウソ。

だって、魔族って名前をつけないんじゃないの?」


「弟の父親だった男が人間でね。

顔合わせの時、人間相手だと名前が要るっていうんで、つけてくれた名前だよ。」


「うっそマジで!

アマロック連れ子でお見合いって、超ウケるんですけど。」


アマリリスは一瞬、状況を忘れてはしゃいだ。

アマロックは相変わらず、静かな口調でこたえた。


「お見合いって、そんな穏やかなものじゃぁなかったな。」


何だかイヤな予感がする。

その件は、それ以上聞かずにおいた。


「何語?ラフレシアの名前じゃないよね?

どういう意味?」


「山の民の、ずっと昔に廃れた支族の言葉でね、

”私の愛するオオカミ”だそうだ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る