雪と氷のトワトワト

第153話 雪空の晴れ間

トワトワト半島が、冬には全土が雪と氷に閉ざされる場所だということは知っていた。


だから10月の半ばに降った初雪は、そのまま根雪となり、その上に新しい雪がどんどん積もって行くものだと思っていたが、

それから2、3日は天気が続き、平地からはすっかり雪が消えてしまった。

ただ山の雪はいつまでも残り、日に日に白さが濃くなっていった。

どうやら、麓は晴れていても、山では雪になっていることも多いようだ。


1週間ぐらいするとまた雪が降って、前回よりもどかっと降り積もり、また数日天気が続いた。

ただその間も、着実に冷え込みは厳しくなっていった。

11月に入るころには、毎日のように灰色の雪空が続き、降った雪はもう融けなかった。


晴れ間を待って、クリプトメリアがオロクシュマで雇った平底の運搬船がオシヨロフ湾にやってきた。

臨海実験所建物と船着き場の間にある備蓄場所に、石炭を山と積み上げ、発電機用の燃料のドラム缶を何本も置いていった。


これでもう春まで、特別なことがない限りオロクシュマには行かないし、向こうからもやってこない。

冬のベルファトラバ海は荒れることが多く、全く不可能なわけではないが、船を出すのは危険なのだ。

厳冬期には、北極の方から流氷もやってくるという。

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