第4話 一歩前進?

あの謎の光に包まれてから一週間、色々念じてみたが、特に開花する能力もなかった。

夢なのかと思い込むには毎日聞こえる動物たちの声がうるさすぎた。

少なくとも、この声をオフするやり方を聞けば、元の日常に戻れるのに、連絡をとるために

何度も同じ夢を見ようとしても、夢すら見れず、実は憔悴しきっていた。


頭痛が増えていくだけの一週間を過ごしていたせいか、一週間後、気絶するように眠りについた。


まばゆい光に包まれる。

実はずっと望んでいたこの状況がやってきたことにほっとした。

「ささきみのる、やっと、繋がった。君に色々伝えようにも、この場に来てくれないから何も伝えられずにいたぞ」

「前の君なら頻繁にこちらにこれたはずなのに」

中性的な声は、批判しつつも言葉を続けた。

「もう仕方ないから、君の世界にこちらの部下を送ったし、君たちがよくもっているすまーとほんというやつのめーるというので、連絡をとることにするよ」

姿形の見えない声はスマートフォンの発音やらメールの発音が不穏ではあるが、

実と連絡をとれるような方法を考えてくれていたようだ。

こんな、夢のような不確定よりは随分助かる方法だが、先に伝えておいてくれてよかった。

伝えてくれてなかったら、きっと、迷惑メールと勘違いして、読まずに削除していただろう。

実は口を開く。

「そもそも、どんな力をくれたんですか??」

「フフフ……それはね、お楽しみだよ」

姿形は見えないが明らかに相手はニヤニヤしている声で伝えてくる。

実が次の質問をしようとした瞬間、また大きな光に包まれた。


嘘だろと言いながら、実は目を覚ます。

こちらの聞きたい内容を何も聞けなかった。

あの声が言ってた部下がどんな姿なのか、メールに送られてくるメールアドレス、聞かなければならないことは、色々あったのに、現実世界に戻された。

窓の外では雀が朝を迎えた喜びを能天気に歌っている。

とりあえず、スマートフォンのメールチェックを行う。

今のところ来ているメールには怪しいものはない。つまりまだ、ここには連絡はきていないようだ。


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