第28話 コミュ障で人見知りな私、緊張しまくる
当然のように私の目の前に今日紹介される男性が座り、緊張が走る。
良い人そうなのはわかるのだけど、昔から年上の男性は苦手だったりするから…。
「もー、こいつってばハクション大魔王ソックリでしょー?そういうボクも
その様子はおかしくてたまらなかったのだけど、昔から初対面の人が一人でもいるとどんなに面白いことがあっても笑うことができないほうだったので、こらえた。
「あれ?ウケなかった?」
「あ、この子多分人見知りしてるんだとおもうわ、そうよね?」
「…はい、すみません…」
申し訳ない気持ちになる。
「謝んなくっていいって!気にしないで!」
ハクション大魔王、いや、
このひとことに私は少しホッとした。
——この人、悪くないかも——
「とりあえずなにか飲み物注文しましょう」
最近はメニューは冊子ではなくタブレットに切り替わっている飲食店が増えていて、ちょっと時代の流れについていけない気がする。
「とりあえず生ビール、ジョッキで!」
「ボクもそれにしよっと」「私もそうするわ」
「あの、ソフトドリンクって、なにがありますか?」
私はお酒は苦手だったりする。
全くダメというほどではないがとくにビールの苦味が苦手で、お酒を注文するとしても甘い味するサワーかカクテルで、それも最近は飲まなくなっていた。
「えっ、飲まないの!?」
「はい、すみません」
ついつい謝ってしまう。
ここは謝るとこじゃないとわかっているのに…。
私は冷たい緑茶を注文することにした。
「とりあえずかんぱーい!」
乾杯の音頭をとったのは
緑茶を飲むためにマスクを外し、
アルコール臭と汗の混ざったようなニオイで、この距離までにおってくるのは飲ん兵衛であることが察せられた。
瞬時、『このニオイいやだな』と思ってしまったがすぐ打ち消した、それだけで人を判断するのは良くないと思ったので…。
「プハーっ!もう一杯!」
そう言ってタブレットで注文した。
「料理はどうしましょうか?」
「キミらに任せるよ」
と、
何事も人に任せられるのは苦手だが、
枝豆に揚げ出し豆腐にお刺身盛り合わせ、串焼きをオーダーすることになった。
「あの、だし巻き卵もいいですか?あと、自家製わらび餅も」
私は思い切って自分が食べたいものを伝える、
「あ、好きだもんね、卵。甘いものにも目がないわよね」
先日の
「へぇ、卵好きなんだ〜、ウマイよな、卵って!甘いもんは酒飲むようになってから食わなくなったけど、久々に食ってみようかな」
——感じのいい人なんだけどな——
「あっ、紹介がまだだったわね!こちら
そういや自己紹介がまだだった。
「はじめまして、よろしくお願いします」
本当はもう少し自己をアピールする
でも私にはこれでいっぱいいっぱいだ。
「ミヤサカミドリさん、どういう漢字かな?」
どうやら
「ミヤサカのミヤは
「あっ、名字じゃなく下のほうの名前の漢字訊いたつもりだったんだ、すまん」
うわ、恥ずかしい…。ここでつい反射的にすみません、って言いそうになるのをこらえる。
「ミドリは、
自分の
「ええと、上が羽で下が卒業の卒です」
こう伝えると大抵の人にわかってもらえる。
「なるほどね、
いい名前と褒められるのは嬉しいが、漢字の上の部分と表現してしまった自分が恥ずかしい。
「恐れ入ります」
とっさに普通にありがとうございますと言えず、こんな堅い言葉で返してしまう。
「そんなかしこまらなくていいよ」
と
「あらあら、この子緊張しちゃってるみたいね」
隣に座っている
このタイミングで個室の扉をコンコンとノックする音が響き、
「失礼します、お待たせしました」
という言葉とともに料理が次々と運ばれてきた。
「ご注文いただいている自家製わらび餅ですが、今お持ちしてもよろしいでしょうか?」
「あ、すみません、食後でお願いします」
「かしこまりました」
いけない、タブレット注文だと口頭で食後にとお願いできないんだった!
些細なことなのに、とんでもないミスをしたような気分になってしまい、消えてしまいたくなる。
——ああ、もうこんな自分イヤ!——
私こんなんで本当に結婚できるんだろうか?
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